『北米では、既に60年代にAIDSの症例が報告されているわけで、カナダの飛行添乗員ガエタン・デュガはたぶん、北米にAIDSを運んできた最初の男ではないでしょう。“そしてエイズは蔓延した”にレポートされているように、彼は北米のバスハウスでの接触感染のネットワークの中心に位置し、性的に親密な接触による感染を証明はしました。しかし、彼が実際に“患者0号”だったことは証明されていません。当時のAIDSに対する政治や社会の否定的な認識と彼が合衆国国民でなくカナダ人だったことが彼がスケープゴートに仕立て上げられた背景にあると考えられます。魅力的な容姿を持った青年が国外からやってきて北米各地のゲイ・サウナを転々とし、エロティックな関係を続けながらAIDSを蔓延させていったという物語は、 AIDSを蔓延させる危険で淫乱なゲイの象徴となるにふさわしかったといえるでしょう。彼の旺盛な性関係が多くのセックスパートナーに病原体を“与えた”のは確かですが、彼のパートナーの中には彼以前にはっきりとした症状が現れていた者がいたこともあり、彼がアメリカで“受け取った”可能性も否定できません。』(ゼロ・ペイシェンスパンフレットより)