私の思うこと
このページを作成するに当たって、HIV関連の資料を探そうと本屋に行きました。そこで愕然としたのは、HIV関連の書籍の少なさと、その古さです。ただでさえ少ないのに。それから、内容が専門家向けにかかれていて、一般の人が読んでもよくわからないということ。マスメディアは、本当にHIV感染拡大に危機感を持っているのでしょうか?“ゲイがかかる病気だから”なんて思っているのでしょうかね。確かに、現在の状況は、男性同性愛者間の感染例が多く報告されているようですけど。
HIVはかかる方が悪い、という風潮も許せません。確かに性感染症というイメージは、ネガティヴな面を強調しますが、病気にかかった人が悪いって、何かおかしくないですか?別に当事者同士が同意の上でセックスするんだから、いいじゃないセックスしたって。欲望にまかせてセックスしてHIVに感染するのと、欲望にまかせて暴飲暴食して糖尿病にかかるのと、そんなに違うの?ちょっと乱暴なたとえかもしれませんが、私の中ではそんな感じです。
ただ、決定的に違うのが、感染するということでしょう。そして感染したら今のところ治らない、というのが一番の問題のような気がします。たぶん、梅毒のように特効薬があれば、誰もこんなに騒がないのではないでしょうか?でも、ペニシリンが発見されて、まだ百年もたってないんです。梅毒トレポネーマが発見されたのも、20世紀初頭のことだし。梅毒がコロンブスによって全世界に運ばれたのが16世紀。それから400年もの間、不治の病だったものが、ペニシリンの発見によってただの性病になりました。HIVもいずれはそうなる、と信じています。だから、少し時代を先取りして、HIVも単なる性病の一種と考えましょう。ちょっと不名誉な病気っていうだけです。
それから、HIVに感染した人たちの態度にも、不満があります。“HIVに感染した人の気持ちがわかるのは、HIVに感染した人だけ”っていうやつ。それって、私の気持ちがわかるのは私だけで、他人にはわからないってことになっちゃいませんか?でもそれは、たぶん事実でしょう。私の気持ちは私にしかわからない。でもそれは私が他の人にわかるように表現しないから。誰かを理解しようと努力すること、誰かに理解してもらおうと努力すること、それはとても素晴らしいことではないですか?たとえ失敗して、相手を傷つけることになるとしても、自分が傷つくことになるとしても、その努力は尊いと思いませんか?だって人と人が真剣に関わり合おうと思ったら、傷つくことがあるのは当然だと思うから。
もう一ついやなのは、感染している人は感染している人同士で付き合った方がいい、という意見。そんなの限定する必要ないじゃない。好きな人ができてお互いが同意するんなら、誰と付き合ったっていいじゃない、と思うのです。感染した人は感染した人の気持ちがよくわかるからつきあいがしやすい、というのが根拠のようですが、癌の人は癌の人と付き合った方がいいんでしょうかね。同じ病気の人と付き合った方がお互いに気持ちがわかるからって結核の人は結核の人と、糖尿病の人は糖尿病の人と、白血病の人は白血病の人と・・・、そんなこと言う人いないですよね。ただHIVに感染した人が、好きな相手にうつすかもしれないって言う不安を抱えて付き合うのはいやだから、って言うんなら話はわかりますけどね。そう、セックスの問題はやっかいですよね。どんなに注意しても完全ではないとしたら、感染している人と感染していない人がセックスをするのは、かなりの勇気がいることだと思います、お互いに。果たしてセックスのない恋人同士がうまくいくものか?という問題もありますよね。でも、夫婦でも結婚して子供ができて長く生活をともにしていくとセックスの回数は減っていくようですから、問題ないのかもしれません。だから、考えましょうセックスについて。
セックスは、自分にとってどんな意味を持つのか、考えてみましょう。セックスをすること自体が自分にとって大切だというのであれば、覚悟を決めてそうすればいい。でも、セーフでね。好きな人とセックスをすることが大切なら、どうでもいいような人とのセックスはやめて、好きは人とだけすればいい。ただし、前にも書いたように好きになる人がHIVに感染していないという保証はありません。そのときはどうするのか?自分が感染したあとに、本当に好きな人ができて、でも受け入れてもらえるか不安で相手のもとに行けないとしたら?
妄想癖があるので、こんなことまで妄想しちゃいました。とにかく感染している人と感染していない人が、敵意を持たず、普通につきあえる社会ができれば感染も減っていくのではないか?欧米の生活スタイルが定着してセックスに対してオープンになってきているのに、意識の上ではまだ昔の日本の考え方を引きずっている、そのアンバランスさが感染を拡大させているのではないか?そんな感じがしています。感染していたら人生が一変してしまうから検査になんか行きたくないという人に、確かに人生は一変するけれども差別や偏見にさらされることはないから、発病する前、早期に発見して対策をとればすぐに死んでしまうわけではないから、検査に行きましょう、そう言えたらいいなって。そう考えています。
最後に、セックスの相手は右手の代わりではありません。相手を右手の代わりぐらいにしか考えていない人は、相手を感染させても何も感じないのでしょう。何たって右手の代わりで人間ではないんですから。そんな人の相手になって感染してしまったら後悔しませんか?相手を右手の代わりぐらいに思って、感染させるのも思いやりに欠けていませんか?とにかくセーフセックスをしましょう。人類最古の職業は売春だ、といわれているくらい、人間はセックスを必要としているのですから、やめることは不可能でしょう。だからセーフでセックスをしましょう。