HIVの感染経路
1.性的接触による感染
世界的な傾向として、異性間での感染が増えています。男性から男性へ、または男性から女性への感染に比べ、女性から男性への感染の確率は比較的低いと考えられているのですが、パートナーの性別にかかわらず、不特定多数のパートナーとの接触がある場合、HIV以外の性行為感染症にすでに罹患している場合、性器や肛門の粘膜が傷ついていたり、潰瘍ができている場合には、HIVの感染の危険は高くなります。
2.母体から子供への感染
HIVに感染している母親が妊娠した場合、その児には1胎盤感染、2周産期の感染、3母乳を介した感染の可能性があります。妊娠期・周産期・授乳期を通じ、母親が抗HIV治療薬を服用していない場合の児への感染の可能性は、約20パーセント程度であると考えられていますが、抗HIV治療によって十分に血中HIV量が抑制されていれば、母子感染の可能性を2パーセント以下へ下げることができます。
3.輸血による感染
現在医療用に用いられる血液は、厳重なスクリーニングを経て供給されています。それでも血液によるHIV感染の可能性はごくわずかではあるのですが、ゼロではありません。先進国での感染の可能性は0.003〜0.007パーセント程度と考えられています。
4.臓器移植・人工授精による感染
わずかではありますが、HIVスクリーニングで陰性だったドナーからの臓器を移植した患者が、HIVに感染した例も、肝臓・腎臓・膵臓移植などで報告されています。おそらくドナーがHIVに感染後、抗体ができる前にスクリーニングを受けてしまったのであろうと考えられています。また、人工授精による感染例の報告もあります。
5.医療行為に伴った事故による感染
医療従事者による、針刺し事故を介した感染の可能性はおよそ0.3パーセントです。逆に、医療従事者が患者に感染させた例も2件報告されています。
6.静脈への麻薬注射による感染
HIVのハイリスクグループ内での使用済み注射針・シリンジの使い回しは、感染の危険を高めます。