HIVの基礎知識
エイズとは何ですか?
エイズ(後天性免疫不全症候群:Aquired Immune Deficiency Syndrome;AIDS)とは、ヒト免疫不全ウイルス(Human Immunodeficiency Virus;HIV)が感染し、10年程度かけて徐々に免疫不全状態に陥り、通常では発症しない弱い病原体による日和見感染症や、悪性腫瘍を併発した状態(エイズの指標疾患)を指します。
エイズとHIV感染症とは別のものですか?
厳密に言えば、別のものです。HIV感染からの長い病気の経過の中の、最後の状態をエイズと呼ぶのが正しいのです。
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染してから、どれくらいでエイズを発病するのですか?
平均では10年前後ですが、個人差が大きく、1年以内でエイズを発病してしまう感染者から、無治療で25年以上を経過しても、全く病状の進行しない感染者(長期未発症者)まで、いろいろです。
この病気の進行の早さの違いはどのような理由によると考えられていますか?
様々な因子が報告されていますが、もっとも大事な因子の一つは、血中のウイルス量です。だから、治療によってウイルス量を減少させることで、病気の進行を食い止めることができるのです。
治療によって、治るのですか?
今の段階では、完治することはありません。しかし、適切な時期から適切な治療を開始し継続すれば、「HIV=死」ではなくなったと言っていいかもしれません。HIV感染症の段階で発見できれば、ほぼ確実にエイズ発病を予防できるような治療法が確立しています
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)に感染したら、すぐに治療を始めるのですか?
ウイルスに感染して、すぐに治療を始めるということはありません。一応CD4リンパ球が血液1μL中に500個以下、または症状がでたらと言われています。しかし、飲みにくいたくさんの薬を時間通りに服用する必要があるので、医師と相談の上で決めることになるでしょう。
治療はいつまで続けるのですか?
完治することがない以上、死ぬまでです。この点が、この病気の怖いところです。今の問題点は、治療の長期化に伴う治療薬の慢性毒性や、薬剤を飲み忘れると薬剤耐性ウイルスが出現してしまうのではないかという、目に見えぬプレッシャーを継続していることにあります。治療10年目の「飲み疲れ」から、鬱状態になる場合もあります。
HIV感染症の感染経路は?
HIVの感染経路には、1)性的接触による感染、2)母体から子供への感染、3)輸血による感染、4)臓器移植・人工授精による感染、5)医療行為に伴った事故による感染、6)静脈への麻薬注射による感染などがあります。血液・体液を介した接触がない限り、日常生活においてHIVに感染する可能性は非常に低いと考えられています。また、昆虫など媒介生物を介した感染の報告も現在のところはありません。
HIV感染を予防するにはどうしたらよいですか?
HIVは、血液や精液または膣の分泌液に多くありますので、セックスをするときにはコンドームを使用することです。それでも100パーセント安全ではありません。
コンドームを使用しないでセックスをしてしまいました。翌日に検査に行った方がよいですか?
HIV感染の診断は、基本的にはHIV抗体検査によって行います。HIVに感染してから、HIVに対する抗体が検出できるようになるまで4週間位かかります。この4週間の間は、抗体検査をしても陰性となってしまいます(ウインドウ期間)。保健所などの検査では、個人差も考慮して最長のウインドウ期間を3カ月としています。ですから、リスクのあるセックスの後3カ月してから検査を受けるようにしましょう。