腸捩れ風アグレッシブ
ARI AMBROSE / EARY SONG



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 僕が勝手に作り上げた系譜に従えば、彼アリ・アンブローズは、アーチ・シェップを祖父としベニー・ウォレスを父とすると思っている。親戚にはエリック・ドルフィーがいるという具合だ。彼らに共通するのは、腸の捩れるような突拍子もなく音階を上下するフレーズを特徴としながらも、実はジャズの伝統を重んじているということだと思っている。アンブローズのは前にピアノ・レスのを一枚書いた。
 この腸捩れ旋律は何故か飽きが来ないし嫌気が起きない。ジャズにとってとても大切な要素である躍動感が籠もっているし、それがメカニカルなフレーズによって醸し出されているからではないかと思っている。アグレッシブなんて便利な言葉があるが、それに当たるのだろう。ジャズの可能性の中で、こういう腸捩れ旋律が廃れることなく維持されるというのは、どういうわけだろうと思わないこともない。
 が、突如3曲目に来て事態が一転して、硬派ジャズが軟弱化しボサノヴァのリズムになってしまい、あれあれと思っていると、やはり彼はベニー・ウォレスを父とするだけあって普通にはどうも吹けないようだ。ここが味だろう。微妙にアウトすると云えば聞こえは良いが、調子を外すのである。フリーキーになると云った方が正確かも知れない。
 スタンダードのTHE SONG IS YOUにして同じく。行儀良く正しくは好まない。表現として納得いかない。どうもそういうことらしい。かなり急速調で吹きまくるのだが、キーがやっぱりアウトして聞こえる。
 バラードのVENUSは、テナーとしてはか細く吹く音色がコルトレーンをイメージするが、情感深く味わいがある。そうコルトレーンが吹いたセントラル・パーク・ウエストに近い雰囲気だ。ここだけ若干他と異なる。
 EARY SONGもか細い音色で、ミディアムテンポの躍動感のある調子で来るが、やっぱり出た腸捩れフレーズの連続技。アグレッシブさが徐々に増して来て捩れに捩れるあたりが良い感じ。
 最後も冒頭同様テーマの捩れがそのまま維持されて、ぐるぐる巻きにされる感じである。キーもフリーになったり戻ったり。余計なお世話だが、勘弁してくれという人もきっといるのだろうが、僕は好きだ。
 彼と共に演奏するリズムセクションことに触れるのは、屋上屋を架すというものでアグレッシブに決まっている。

ARI AMBROSE :ts
GEORGE COLLIGAN:p
JOE MARTIN:b
RICK MONTALBANO:ds
SteeoleChase
Nov 1999
1.WAITING
2.WHAT IS THE MEANING
3.USELES LANDSCAPE
4.THE SONG IS YOU
5.VENUS
6.EARY SONG
7.TWINS