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BILLY HARPER / ON TURE IN THE FAR EAST VOL.2
BILLY HARPER-ts
EDDIE HENDERSON-tp
FRANCESCA TANKSLEY-p
LOUIE SPEARS-b
NEWMAN T. BAKER-ds
April 22 1991,TAIWAN
1.PRIESTESS
2.TRYING TO MAKE HEAVEN MY HOME
3.MY FUNNY VALENTINE
4.DESTNY IS YOURS
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PRIESTESS/GIL EVANS
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長持ちするパイプを吸いながら、最近こんなのを聴いている。
ビリー・ハーパー。
70年代の終わり頃に、フリー・ジャズからフュージョンへと時代の流れが移り、混沌とした状況のなかで骨のある新人として登場したようだが、名前こそ聞いたことがあっても、手にとって聴いてみたことのないミュージシャンの一人だった。
ジョン・コルトレーンの影響をもろに受けたという印象の彼のテナーは、ジョージ・アダムス等にも類するスピリチュアルなタイプで、誰かが書いていたが「完全燃焼」型の猛烈にうねる演奏を披露する。
このライブアルバムで、ハーパーと共にフロントに位置するトランペッター、エディ・ヘンダーソンもまたその存在を知らなかったが、70年代のBLUE
NOTEにアルバムを残しているようだった。
冒頭のPRIESTESSを最初聴いた時、「あ、聴いたことある」と驚いたが、それがギル・エヴァンスのオーケストラのアルバムであるを思い出すのに少々時間を要した。タイトルも同名のPRIESTESSである。
メンバーを見ると、ハーパーこそ名を連ねていないが、主なところでマービン・ハンニバル・ピーターソン、ディビット・サンボーン、ルー・ソロフ、そしてジョージ・アダムスというところである。
記録を調べると、ハーパー自身もギル・エヴァンスのオーケストラに参加していたらしい。
何かが見えるようで見えないもどかしさを感じるが、コルトレーン、ハーパー、アダムス、そしてギル・エヴァンスというライン上に因縁めいたもの覚える。
長尺な演奏が4曲という構成で、ぶつけてくるフレキシブルなエネルギーに聴き惚れてトランス状態になりかける。
IMPULSE時代のコルトレーンを思わせると言えば、当たっているようで当たってない気もするが、やはり精神性の面で共通するものがある気がする。
テナーのトーンは、コルトレーンというよりアダムス寄りの豪放さがある。
参考にと引っ張り出したコルトレーンのLIVE AT THE VILLAGE VANGUARDを聴いて、おお、いいなと感じいってしまったが、どうやら今の僕のテンションがこういうところとピントが合うようだ。
今時IMPULSEのコルトレーンやハーパーでもねえだろうと言われそうだが、今時もあの時もないのがジャズの奥深さで、自分のテンションに応じて時代やスタイルを超えて聴くことが出来る幅があるから長く聴き続けられる音楽だろう。
「そもそも論」はさておき、エディ・ヘンダーソンというトランペッターも一聴の甲斐があると思った。
そう、そもそもが一聴してみても損はないと思って買い求めたアルバムだったのだ。が、今この時になって漸く懐に入りこんで来たというタイミングで聴いている。中山康樹著『ジャズを聴くバカ、聴かぬバカ』というのは、そういう意味なんだろうなと、今になって意味合いがわかった気がした。
エディだが、2曲目の25分に及ぶ一番長い演奏の中間あたりからミュートをつけて吹くのだが、これが実にリリカルで、マイルスを思わせるスリルもあって感じいってしまった。
ともかく、自分の今の気持ちの在処がこういうのにあるんだなと捜し物が見つかったような気がした。
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