BLUE NOTEの光と影
       気配り


LEE MORGAN / CHARISMA

LEE MORGAN:tp
JACKIE McLEAN:as
HANK MOBLEY:ts
CEDER WALTON:p
PAUL CHAMBERS:b
BILLY HIGGINS:ds
September 29.1966
BLUE NOTE 4312
1.HEY CHICO
2.SOMETHIN' CUTE
3.RAINY NIGHT
4.SWEET HONEY BEE
5.THE MUPPHY MAN
6.THE DOUBLE UP





 夏である。夏は夏らしくあって欲しいと涼しい夏を恨ましげに思う勝手さは、暑い土地の人には考えられないことなのだろう。夏と言って思い出すのは、暑いさなか、友人家族とテニスに興じたことがある。お互い下手くそだから、ただただボールを追ってへとへとになる。只でさえ暑いのに、動き回るから汗びっしょりになってしまったものだ。これでどちらかが、上手いとラリーが続いてそんなに疲れもしない。上手い人は、上手に相手の打ちやすいところにボールを落としてくれる。まさに「ツボにはまる」という感じである。

 このアルバム、カリスマというタイトルはモーガン自身がつけたものではないだろう。ジャズマンとして成熟仕切った彼のことを周りがそう思ったに過ぎないのだろうが、彼自身はそんな周りの期待をどう思っていたのだろうか。しかし、いかにも彼はこの当時、音楽性の面で高いセンスを活かしてオリジナルを書き、周りに良く気を配った抑制のきいた演奏を行っていて、彼とともに演奏する者も彼のセンスに刺激されて存分に自分持ち味を出すことが出来る。全く理想的な創造の世界だ。

 ど派手にやっても良いような感じのものが多いが、絶妙なコントロールが各人に行き渡って深みがある。それを実現出来るメンバーがよくも揃ったものだというところだ。もっと我が儘に自分を出しても良いかなとも思うが、誰ひとり浮いた演奏をする者などいない。この統制された頂点にモーガンがいるとすれば、まさにカリスマというに相応しいではないか。
 バラードのRAINY NIGHTは素敵だ。クリフォード・ブラウンを彷彿とする言っては、ありきたりになるがそう言わざるを得ない。瑞々しさが行き渡った見事な演奏である。

 ピアソンの作であるSWEET HONEY BEE。当時日本の歌謡曲にもこんなのがあったのではないかと思うが、お洒落なテーマである。
 THE MURPHY MANで漸くハードバップらしいはち切れた演奏となる。ディジー・ガレスピーのもとで修行した彼の片鱗が覗く。マクリーンが脇に廻っている感じがあって、さすが役をわきまえているというところだ。



 
 

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