BLUE NOTEの光と影
       いつものあれ・・・


HANK MOBLEY / HANK MOBLEY QUARTET

HANK MOBLEY-ts
HORACE SILVER-p
DOUG WATKINS-b
ART BLEKY-ds
BLUE NOTE 5066
1955.3.27

1.HANK'S PRANK 2.MY SIN 3.AVILA AND TEQUILA 4.WALKIN' THE FENCE 5.LOVE FOR SALE 6.JUST COOLIN'





 糞暑い夏には、アイスが欲しいし、冷やし素麺が美味しいし、木陰が恋しいし、麦わら帽子が似合うし、太ったオヤジは暑苦しいからみたくないし、・・・と言ったのは、去年の夏だったが、猛暑の今年も基本的には変わりがない。
 
 ジャズをながく聴き続けるには、ひとつに人それぞれ「いつものあれ」というのを持っていて、それが出てくるのが楽しみであれこれ聴いているのだろう。それは、意外にたわいもない「あれ」でしかないのだが、間違いなくそれがでてくる為に、ジャズというものに釘付けとなる。
 誰それのいうこともなく、ピアノのシングル・トーンの硬い音色だったり、テナーから漏れるファファファという息であったり、シンバルのクワーンとかカチン等の響きだったり、ブラシがスネアにあたるストンという音だったり、ベースの弦がゴリッと鳴ったりと、全くそんなのに命かける必要もないのに、それを求めてあれこれ散財して聴いているわけである。
 そんなのくだらないと思わないのが、長年ジャズを聴いているものの習性かも知れない。

 もうひとつ思うのが、何百枚アルバムを持っていようがそれぞれに「違い」がある。どれが一番だなんてあまり思わず、寧ろ漫然と聴きながらも「違い」を頭のどこかで感じている。それが愉しくて聴き続けているのではないか。「違いがわかる」とよく言うが、あれが良くてこれは駄目など言い出すのも、問題はアルバムの方にあるというより、聴いている側にこそあるのではないかと思っている。
 
 このところ立て続けに5000番台のアナログ盤を入手した。嬉しいのはそればかりでなく、他にもBLUE NOTEばかりのアナログ盤を結構手に入れた。
 ジャズを目で聴くというわけである。ジャケットに目を細めながら聴く幸せ。これまたジャズ・ファンの至福である。
 このモブレー盤も本当はアナログでといきたかったが、そうはうまく話の筋道が通らないところが些か按配が悪いがしかたない。そのうちアナログに買い換えようか。アナログからCDに買い換える人もいれば、その逆もあるのだから、世の中上手い具合に出来ている。
 でもこの盤はR.ヴァン・ゲルダーがわざわざCD用に24bitでリマスターしてくれたものだから捨てるわけにはいかないな。
 なにせ音のスピードが速い。もたもたしていないところがイイ。モブレーのテナーはもたもたしてるという風評があったのは、アナログ時代の人がいったんじゃなくて、CDが出始めの頃のことなんじゃないかと密かに思っている。
 ところがこれは、ビ・バップ調のものものもあるから速いんじゃなくて、録音のテクニカルなところであって、さすがヴァン・ゲルダーという胸のすく快感があるわけだ。

 僕はこのアルバムでは、3曲目のAVILA AND TEQUILAというのが気に入っている。つまりアヴィラでテキーラ飲もうというわけで韻を踏んだタイトルなわけだ。この名調子に酩酊する。
 僕はジャズ聴くとき酒など断じて飲まない。曲と演奏に酔う・・・。これが一番・・・?

 
 

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