"Dream Weaver"Charles Lloyd
Atlantic

1.Autumn Sequence
 a)Autumn prelude
 b)Autumn leaves
 c)Autumn echo
2.Dream Weaver
 a)Meditation
 b)Dervish Dance
3.Bird flight
4.Love ship
5.Sombrero Sam








"Forest Flower" Charles Lloyd

1.Forest Flower-Sunrise
2.Forest Flower-Sunset
3.Sorcery
4.Song of her
5.East of the sun





















"Journey Within" Charles Lloyd

1.Journey Within
2.Love No.3
3.Memphis Green
4.Lonesome Child
a ) Song
b ) Dance

         Keith Jarrett


"Dream Weaver"Charles Lloyd

Charles Lloyd (ts,fl) Keith Jarrett (p) Cecil McBee (b) Jack DeJohnette (ds)Mar. 29, 1966 & Mar. 30, 1966 & Sep. 18, 1966 & Oct. 29, 1966

 
もの哀しげなフルートの音から始まるこの盤ですが、何と言っても「枯葉」の名演が売り物。壮絶なロイドのフルートとデジョネットのドラムが絡み合うジャズ桃源郷。それに更に絡んでくるキースのピアノはこの頃から充分大物になることを予測させました。マクビーのベースも効果的。弦が見えてくるような響きです。まさに8分間息をのんで聴き入ってしまいます。ジャズ・ファンならこの「枯葉」を聴かずに死ねるかという程のものです。次がタイトル組曲"Dream Weaver"。aが"Meditation"と言うだけ合って瞑想的な導入です。この時代こういうのが流行ったようです。フラワー族とかいうヒッピーの固まりみたいな人たちに愛された種類の曲です。bも似たようなニュアンスのかなりアバンギャルドなもの。キースも瞑想的なリズムを繰り返しながらソロを展開します。かなりロイドの趣向に合わせたソロになっています。「おっコルトレーンか?」と思わせる3曲目"Bird flight"。こういうの70年代のジャズ喫茶では良くかかっていました。暗い店内で目を閉じてうつむき加減にリズムをとっているという光景を思い出します。初心者ならすぐに席を立って出ていってしまうような類の演奏です。そう思ってもプライドが許さないとじっと聴き入っている振りをしていた人もいました。「俺はジャズ通だ」って風に。懐かしいですな。4曲目はぐっと来るバラードです。濃いのです。コルトレーンの「ネイマ」に似た曲です。すっかりキースのことを忘れていましたが、ここでは叙情的な旋律のソロを弾いています。そう彼は旋律の人なのです。もうこの頃からその芽生えがあったのですね。この曲は後年ペトルチアーニと組んでやっていた記憶があります。確かではありませんが。最後はちょっとフォーク・ロック調の曲。これまたロイドが得意としたタイプの曲です。この流れをキースは後年引き継いだ傾向があると思っています。キースの原点はフォークだと言った人がいましたが、そうなのかも知れません。


"Forest Flower" Charles Lloyd at Moterley  Atlantic

Charles Lloyd (ts,fl) Keith Jarrett (p) Cecil McBee (b) Jack DeJonette (ds) September 18, 1966

 引き続きロイド盤です。1966年のモンタレィでのライブ盤です。これまた組曲形式の曲から始まります。幾分ボサノバ・タッチの"Sunrise"ですがいい曲です。キースも気持ちの良いフレーズを弾きます。ロイドは次第に高揚してくる気持ちを顕わに吹きまくります。それに応えてデジョネットがもの凄いドラミングを展開します。観衆も拍手をせざるを得ません。後半どこから"Sunset"なのかわからない感じですがフリーキーな吹き方にもなってくるロイドのソロをキースも引き継いではちゃめちゃに弾きまくります。もう止まらないという感じです。最終章は次第に冷静さを取り戻して余韻を長い間引きずりながら静かに終わろうとします。いつ終わるの?と言うほどキースもピアノの弦を指で弾いたりして遊びます。観衆もやんやの拍手です。3曲目はキースのオリジナル。複雑なフレーズを含んだ曲です。キースもロイドのフルートもアドリブはハチャメチャ。こういうのをジャズ喫茶では「追い出し盤」というのです。「長居はするな!早う帰れ!」と言わんばかりの演奏です。4曲目はセシル・マクビーの曲で幻想的なイメージです。こういうのは好きです。演奏も落ち着いたバラード演奏になっています。こればかりやるのも良くありませんが、ハードな曲の後にこういうのが来ると一服の清涼剤になります。キースも沈静した旋律を展開します。この盤では一番好きな曲であり演奏です。最後はお決まりのスタンダード。必ずスタンダードを1曲はアルバムに入れるロイドです。オリジナル曲を持ち味とするロイドですが、スタンダードを彼流に味付けして聴かせるのも彼ならではです。これは10分以上の長尺演奏。どう展開していくのか息を呑んで聞き耳を立てるという具合です。きっと面白いことをするぞと期待しながら聴いていると割とマジなキースのソロだったりして、これまた唸らせます。でも後半やっぱり山下洋輔風のゲンコツおよびハチャメチャ弾きが入ったりしてマクビーのベース・ソロに引き継ぎます。マクビーは探索的な弾き方です。そうしてテーマに戻って終焉を迎えます。


"Journey Within" Charles Lloyd
Atlantic

Charles Lloyd (ts,fl) Keith Jarrett (p,ss) Ron McClure(b) Jack DeJonette (ds)
Live recording, Filmore Auditorium ,San Francisco, October 29, 1966

 
またしても幻想と狂気の入り交じった世界に引きづり込まれるようなライブでの演奏が待ち受けていました。大音量で聴くとそのおどろおどろしい空間に包まれます。原始の世界あるいはアフリカあたりの原住民がいる土地に足を踏み入れたような気持ちにさせられる演奏が11分以上続きます。これがこの盤の出だしです。次はキースの曲ですが、長いピアノ・ソロが続きます。マジで弾いているのかそれともおちょくっているのか、「おい、キース」と一声かけたくなります。ペダルを踏みならしたり、ピアノの弦を弾いたりアバンギャルドなソロが延々と続きます。ロイドと心中するつもりなのか、いや後のキースのソロの原点といえるのか・・・そんな演奏です。B面の出だしに入ってやっと音楽らしいものにたどり着いた気分になります。しかしロイドのテナーは荒々しい演奏です。キースは漸く正気を取り戻したように正攻法の演奏をします。今回はマクビーではなくロン・マクレアがベースを担当していますがそのソロが後に続きます。ラストはロイドも冷静さを取り戻したようにテーマを吹きます。次も幻想的なロイドの曲です。もう会場はマリファナの煙る怪しい場と化しているのではと想像させられる音楽です。ここでのキースはソプラノを吹いています。ロイドのテナーと共に怪しい世界を創り上げています。叫び声も入り交じったもの凄い世界です。マクレアがアルコで弾いていますが、これまた妖気漂うものです。途中から弦を弾き出します。ウィントン・ケリーとマジなピアノ・トリオ盤"Full View"をやった人とは思えない豹変ぶりです。