"Somewhere Before"

1.My Back Pages
2.Pretty Ballad
3.Moving Soon
4.Somewhere Before
5.New Rag
6.A Moment For Tears
7.Pout's Over
8.Dedicated To You
9.Old Rag



"Life Between The Exit Signs"

1.Lisbon Stomp
2.Love No.1
3.Love No.2
4.Everything I Love
5.Margot
6.Long Time Gone (But Not Withdrawin)
7.Life Between The Exit Signs
8.Church Dreamms











"Death and the flower"

1.Death and the flower

2.Prayer
3.Great Bird




"The Köln Concet"

1.Part T
2.Part Ua
3.Part Ub
4.Part Uc
        Keith Jarrett

"Somewhere Before" Vortex

Keith Jarrett (p) Charlie Haden (b) Paul Motian (ds) October 30-31, 1968

 さてここからがキース自身のアルバムが中心になります。
何と言っても出だしの曲"My Back Pages"が印象的だったのです。言わずと知れたボブ・ディランの曲です。ですから彼の原点はフォーク・ソングだと言われる所以です。しかし今聴きなおすとこの曲よりは他のトラックの方がお気に入りです。例えば次の"Pretty Ballad"等はバラード好きの私には堪りません。この盤以降からは好きなトラックだけを紹介していきます。ですから次の曲等は無視いたします。ロイド時代のアバンギャルド奏法の演奏は飛ばしていきます。黄金のトリオ、Gery Peacock, Jack DeJohnetteによるスタンダーズ・トリオを「奇跡のピアノ・トリオ」と評価している私にはその路線で評価を進めることにします。紹介する側として意に反したものを出す気にはなりません。ですのでタイトル曲も私には紹介する気にならないのです。シンプルに行きましょう。その方が真摯という気がします。今回はシンプルだとしても後に続くアルバムから続々と良い盤が登場することは言わずもがなです。でも5曲目"New Rag"等は面白いトラックです。こういうのも紹介の意義はあります。さて次はタイトルを見ただけでもう私の嗜好にあっていることを予測させますが、さすがに美しい曲です。ヘイデンのベースも効果的です。至福の瞬間です。ヘイデンに関しては殆ど知識を持ち合わせていません。ですが彼の作曲力は"First Song"を聴けば予測がつきます。8曲目はスタンダード曲ですし、演奏は後年のスタンダード演奏の端緒を感じさせます。


"Life Between The Exit Signs"
Vortex

Keith Jarrett (p) Charlie Haden (b) Paul Motian (ds)
New York, July 8-9, 15-16, 1971


 おやメルドーかいとジャケットを見せずに誰かに聴かせたらきっと思う1曲目。でも中盤に来たらキースだと気づくフレーズとうなり声。ヘイデンのソロも訥々としながらも聴けるトラックです。2曲目のバラード調の曲はヘイデンのソロも聴けるナイスなトラックです。キースは後年のスタイルとは少し違いますが、この時期の演奏法もなかなか良いです。エヴァンスのスタイルとも一線を画した奏法です。4曲目はエヴァンスも"How my heart sings!"で弾いた曲ですが、全く違うスタイルで聴けて嬉しいトラックです。同じ曲でもスタイルを変えられるのがジャズというもの。ビギナーの方、そこのところに興味を持ってください。(なんて偉そうですね)5曲目もステキなテーマが飛び出す"Margot"。このソロは後年に引き継がれるスタイルです。短い演奏ながらステキです。次は紹介しようかどうするか迷う演奏です。やっぱりやめます。聴かなくて結構。7曲目はタイトル曲。もうこの頃から興に乗ると唸っているんですね。良い旋律のところと紹介したくないところが混ざった演奏です。まあヘイデンのソロもあるので聴いてみてください。ポール・モチアンのことは何も語っていませんでしたが、この時期エヴァンスのトリオからは全く離れています。エヴァンスの方はマーティン・モレロを起用しています。


"Death and the flower"MCA

Keith Jarrett (p,ss,..) Dewey Redman (ts,prc) Charlie Haden (b) Paul Motian (ds,pec) recorded Oct.9,10.1974.NY

 所謂アメリカン・カルテット・シリーズの1枚です。「混沌の中から劇的展開」をするアルバム群の代表的なものです。この時期エレクトリック・ジャズが台頭していた中で、アコースティックに拘ったのは貴重と言えるかも知れません。私がジャズを聴き始めたのがこの時期ですから、ジャズ喫茶にいくとこういう盤が良くかかっていたのを覚えています。後年、アート・アンサンブル・オブ・シカゴなんてものにも手を出した時期がありましたが、振り返れば似たよう雰囲気があります。デューイ・レッドマンのテナーが切なく効果的に旋律を展開しているのが印象的です。


"The Köln Concet"ECM

Keith Jarrett (p) Jan.24.1975,Germany

 キースのソロ・アルバムの代表作。発売当時はジャズ喫茶はこればりかかっていたようです。私は、当初ピアノ・ソロというものにはなるべく手を出さないようにしていたのですが、後年のLP3枚組の"Concerts"というアルバムを聴いてからソロ・ピアノにも開眼しました。ですが本作を入手したのはつい最近のこと。やはりこれも一度は聴いておこうと意を決して購入しました。心地よさとダイナミズムを併せ持った演奏です。ナルシズムと揶揄される傾向もありますが、それはそれで彼の魅力でもあります。全曲聴くと60分以上になるのは少々我慢がいりますが、どこから入ってもそれなりの充実感もありセレクトして聴くか、やはり組曲としてのドラマ性を愉しむのもいいのでしょう。一空間を潤すBGMにも最適です。ヒーリングとは違い緊張感もありじっくり聴きこなすことを私は薦めます。聴き終った余韻が充実した映画でも観た感じに近いものを感じます。