秋葉原観光案内

第17話


前書き
でこビュー:「前回までのあらすじぃ! 謎の声の主と主人公であるシンシアは、全く落ち度のない作者がフェミニストであることを良いことに、理不尽な言いがかりをつけ、乱暴の限りを尽くし、あげくの果てに穴を掘るという単純作業を強いたあげく、そのままコンクリート積めにしようとしたのだった!!前書きにつづくっ」
謎の声:「・・・あらすじってのは普通、本編の概略を書くのよ?後書きのあらすじ書いてどーすんのよ(溜息)。まあ、後書き後の話も混じってるみたいだけど?」
でこビュー:「まったく作者の気も知らずに、ブツブツ・・・」
シンシア:「様子はどうですか?」
謎の声:「ダ〜メ。すっかり拗ねちゃって。さっきから愚痴ばっか。」
シンシア:「やっぱり、やりすぎだったんじゃあ・・・」
謎の声:「平気だって。事実、ピンピンしてるじゃない。ほら!作者らしく進行くらいしたらどうなの?」
でこビュー:「えー、この作者(=でこビュー)はフィクションであり、実在の人物や団体とは一切の関連がありません。その証拠に人間は埋められたら死ぬものだから!良い子のみんなは絶対真似してはいけませんよ。法治国家での犯罪はリスクが大きすぎますからね!」
謎の声:「その理由ってどうなのよ・・・」
シンシア:「ええと、フィクションなんですか、これ?」
でこビュー:「あ、いや、その辺は場面設定的に微妙な問題だから、自分で言っといて何だけど、お願い。流して。」
シンシア:「はぁ。」
謎の声:「ねえ、セ・・・じゃくて、シンシアちゃん、ちょっと。」
シンシア:「何ですか?」
謎の声:「ごにょごにょごにょ」
シンシア:「ええ!・・・でも・・・はぁ、わかりました。」
謎の声:「うんうん、扱いやす・・・じゃない。素直で助かるわ。」
シンシア:「ご、ご主人様、元気だして。」
でこビュー:「そ、そんな単純な手に・・・」
シンシア:「えいっ(抱きつき)
でこビュー:「乗らいでかー!!かっ」
謎の声:「か?」
でこビュー:「解説せねばなるまいっ!でこビューのメンタルポイントは、創作を通じて消耗することもあれば、回復することもあるのだっ!」
シンシア:「はあ、そうなんですか。」
でこビュー:「そうなのだよ。」
謎の声:「それでオチは?」
でこビュー:「ない。・・・まずかったかな?」
シンシア:「とにかく、本編スタート!」


でこビュー:
 「本編!?」
 「あんた、このまま番外編にする気?」
 謎の声の主はニッコリと微笑んだ。
 少なくとも、目、以外は。
 これは目が笑ってないってレベルではない。
 目だけ怒っている、と表現したほうが妥当だろう。
 「あ、いえ、今始めるトコです。」
 危険を察知した私は、速やかに場面を切り替えることを選択した。
(
承認 A017-003-01)

(
執行 A017-003-02)
シンシア・ナルセ:
 僕は寝返りをうつと、まだボーっとした頭で夏美の整った横顔を眺めた。否、みとれた。
 無表情なその顔には、しかし真剣さが張り詰め、どこか凛とした美しさを放っている。
 「起きたのか?まだ眠っていていいのだぞ。」
 「あ、うん。」
 とりあえず適当な返事をかえす。
 なんか疲れた。
 とても長い長い夢を見ていたようで、状況が今ひとつ把握できない。
 でも、夏美の真剣な顔なんて、そうそう見れるものじゃないよね。
 いつもそんな顔してれば、変人なんて言われな・・・
 いや、そんな場合じゃないんだ。
 昔、アスさんの家族を殺したかもしれないジェス・レーヤーさんから通信があって、その後ろには幽霊らしき少女がいたんだ。
 そして今、銀河コラボ・リンクスは、そのジェス・レーヤーさんの手中に堕ちようとしている。一応これは銀河的大事件らしい。
 ジェス・レーヤーさんはロアス教授というか、夏美を尊敬してるみたいで、仲間に引き入れたがっていた。
 そして、夏美は仲間に加わるかの解答を3時間にする、と・・・
 「あれからどのくらいたったの!」
 「ああ、30分くらいだ。」
 夏美は画面から目を離さないまま答えた。
 あと2時間30分か。起きたほうがいいよね。
 僕は勢いをつけて、でもようやく上半身のみ、起き上がった。
 貧血のような感覚が頭を襲う。
 僕はぼんやりと部屋を見渡した。
 「アスさんは?」
 僕の問いに、夏美はようやく画面から目を離した。
 「起きるなりそれか。まったく、シホのファザコンぶりは・・・」
 「違うよ!」
 夏美の言葉を慌てて遮る。
 「だって、この部屋にいなかったから!」
 「松岡もいないだろうに。・・・まったく、あいつも報われんヤツだ。」
 夏美は大げさに嘆いてみせた。
 「なんで松岡くんが報われないの?」
 「解らなければそれでいい。」
 「??」
 「まあ、松岡なんぞにシホはやらんがな。」
 画面に目を戻しつつ、夏美はボソリと呟いた。
 「そ、それ、どーゆー意味かな?」
 「言葉のままだが?」
 冗談、だよね?
 夏美は僕の正体を知ってる、つまり、男だって知ってるわけだし。
 それに夏美の正体は地球に調査に来たロアス教授、つまり男。
 銀河コラボ登録時の性差判定の結果、女性と登録されてしまい、潜入用のスーツも不本意ながら女性のスーツしか購入できなかったらしい。
 ・・・あれ?
 性差判定の結果、女性ってことは、やっぱり夏美は女性ってこと?
 いやいや、性差判定の結果は不本意だって言ってたから、やっぱり男だよ!
 「そうそう、90分後には銀河コラボへ乗り込むから、なるべく休んでおけ。」
 「あれ?30分+90分で2時間だよね?返答するのって3時間後だったんじゃあ・・・」
 「ジェスの奴は急いでいたようだからな。
 幸い、シホのおかげて転送ポートの遠隔コントロールができる。
 忙しそうなジェスの手を煩わせるのは気の毒だから、こちらから出向くことにしたのだ。
 ジェスのヤツ、大慌てで喜ぶぞ。」
 ええと?
 「お前が曲解する前に言っておくけどな。ロアス教授はジェス・レーヤーに不意打ちをかけるって言ってるんだ。アス・ナルセも子供探偵もアンドロイドも行くって言ってるぜ。もちろん、俺もな。」
 金子さんが、なにやら大きめのライフルのようなものを触りながら言った。
 金子さんは妙に嬉しそうで、なにやら玩具を貰った子供を連想させるものがある。
 「とにかく顔洗ってくるね。」
 とにかく頭をはっきりさせないと。
 僕はベットから抜け出すとドアのノブに手を掛けた。
 「道中気をつけてな。」
 「・・・夏美、何言ってるの?」
 「言葉のとおりだ。注意してな。」
 「う、ん?」
 ドアを開け、一歩を踏み出そうとした僕の足が何かにとられ、慌ててドアにしがみつく。
 ギィ〜〜〜
 ヘンな風に力をかけられたドアがキシんだ音をたてながら開き続け、何かに足をとられたままの僕はズリズリとゆっくり倒れるというか、ヘンな姿勢で開け放たれたドアにしがみついた姿勢になった。
 「見っ・・・よく見えなかったから!」
 どうやら廊下にいたらしい松岡くんが叫ぶように言うと、そのまま逃げていく。
 あれ?
 「ズボンを上げろ。」
 夏美の声がかかる。
 夏美はあいからわず画面に目を向けており、金子さんが僕に後頭部を向けていた。
 「パジャマのズボンが下がり気味だったからな。だから気をつけろと言ったんだ。脱げかけたパジャマに足をとられたようだが、転ばなくて良かったな。」
 「だったら最初にそれを指摘してよ!!」
 「ああ、次はそうしよう。とにかくズボンを上げろ。寝ぼけてるお前の為に丁寧に解説すると、左足で脱げかかったズボンの裾を踏んだまま右足を踏み出した結果、足でズボンを脱いだような状態になっている。その結果、ショーツが丸見えだぞ。」
 大急ぎでズボンを引き上げる。
 「そっ!それを最初に言ってよ!!」
 「だからズボンを上げろと言っただろう。」
 作業のほうに意識が向いているのか、さっきから夏美は上の空という感じで応答している。
 あれ??
 「なんで、あたしパジャマなの?」
 「体を調べるついでにな。」
 「なななにしたの!!」
 「だから調べたと言っただろう。体温の低下が酷かったのだ。無理はするなよ。」
 画面から目を離して心配そうな目をむける夏美。
 そんな顔をされたら、これ以上文句を言えないじゃないか!!
 「とにかく顔を洗って来い。普段より更にボケでいたのでは、もはや会話が成り立たん。」
 「・・・わかった。」
 僕は不満に思いながらも頷くと、洗面所に向かった。


金子裕也:
 俺はいつから「気配りの人」になっちまったんだ?
 アス・ナルセの部屋の前で俺はそんな疑問にかられた。
 なにせ俺は今、アス・ナルセにシンシアが目を覚ましたことを伝えようと、ここまで足を運んでしまったのだ。
 それも、ごく自然に。
 こんなのは俺のキャラじゃない。
 まったく、最近調子を崩されてばかりだ。

 ・・・ま、それもこれも今日までか。
 俺は今日、俺へ圧力をかけ続けていたクソッタレな依頼主をブチのめし、本来の路線に復帰する。
 仕事とはいえ、俺は銀河的犯罪ってやつに加担してしまっていたわけだが、今回のケースにおいては責任のほとんどが銀河人側に発生するらしい。
 なんでも、技術レベルの差による交渉圧力がどうたらこうたらと解説された。
 無罪放免とはいかないものの、とりあえずアス・ナルセとシンシアが俺に有利な証言をしてくれて、かつ、俺が自身の記憶の消去に同意すれば、それでケリがつくらしい。
 ・・・そうなると、俺の中ではアイツは会ったことさえもないヤツになるのか・・・
 俺は妙な思考を振り払うと、多少乱暴にドアをノックした。
 今は目の前のクリティカルな問題に集中すべきだ。
 そして、それができるくらいには自制が効くつもりでいる。
 「入るぞ」
 ノックをしても返事がなかったので、俺はドアを開けた。
 「何酒なんか飲んでるんだ!」
 「ああ、ナノマシンで酔いを一瞬で消せるんですよ。」
 「な・・・そ、そうなのか。さすがに便利なもんだな。」
 「一杯どうですか?」
 「いや、いい。そうゆう便利なやつは一度テストをしてからじゃないと安心できない。」
 「ですか。」
 アス・ナルセはコップになみなみとつがれたウイスキーを一気に飲み干した。
 「強いんだな。」
 「いや、飲む前にアルコール分解用のナノマシン使いましたから。」
 「それって酔えるのか?」
 「酔えませんね。気分だけです。」
 意味あるのか?
 いや、実戦を前にナーバスになっているのかもしれない。
 そりゃそうだ。カタギなわけだからな。
 アス・ナルセは銀河の様々な場所を転々としてきたらしいのだが、スペース・オペラの脚本家がイメージするよりは、銀河は平和ってことなのだろう。
 おっと、今がそのスペース・オペラ的事件の真っ最中なんだったな。
 「まあ、荒事は本職である俺が担・・・そうそう、つい言いそびれちまった。」
 「なんですか?」
 「シンシアが目をさました。とりあえず、いつもどおりだったぞ。」
 「そうですか。」
 アス・ナルセから笑みが漏れた。
 「・・・会いに行かないのか?」
 「あわせる顔がありませんから。」
 そう言って再び笑う。でも今度は寂しげに。
 「あいつのことだから、気にしてないと思うぞ。」
 「でしょうね。だからこれはボクの心の問題です。」
 妙に落ち着いていやがる。
 さっきとはエライ違いだ。
 そういえば、俺も数十分前までは、コイツに腹を立てていたんだっけか・・・
 「僕は嬉しいんですよ。昔、僕はただ結果を聞くことしかできなかった。でも今は違う。僕はここにいて、できることがあるんです。」
 「ま、ほどほどにな。死なない程度に頑張るってのが重要だと、俺は思うぞ。それに荒事は俺の担当だから、交渉関連やええと、学術関連?・・・まあ、よろしく頼むよ。」
 「気遣いは無用です。覚悟はできてますから。」
 少し気になるな。
 怖気づいて体が動かないのは論外だが、危険を恐れることは重要だ。
 信念は時にそれを狂わせる。
 ・・・臆病者と言われそうだな。
 まあ、それでもいい。
 理想論的行動が可能なのは達人や熟練者。そして、確かに少数は存在している天才だけだというのを覚えておいたほうが良い。
 特に、天才が少数しかいないって点が重要だな。
 人は自分を天才と誤認しやすい傾向がある。
 少しばかりの運に恵まれ、自身の能力を見誤り、平常心と思考停止の区別すらつかずに、死にかけた奴を俺は良く知っている。
 そいつは他ならぬ俺自身だからだ。
 凡人より天才の数は少ない。だったら、目の前の鏡に映る男が天才である可能性より、凡人である可能性のほうが、遥かに高いだろ?
 なに、凡人には凡人のやり方ってもんがあって、総合的に見れば天才のそれに劣るものではない。得て不得手のバランスが違うだけだ。
 「えーと、なんだ。あんたはシンシアの側を離れないのがいいと思うぞ。いざと言うとき、あいつを守れるしな。」
 なんてな。
 不安定ではあるが、正直、あいつが一番強い。
 そこが一番安全だろう。
 ・・・心配してるわけじゃないぞ。
 被害を最小に留めるのは、俺のプロフェッショナルとしてのこだわり、いやいや、アス・ナルセは大事な証人だった。
 心配になるもの当然だ。俺の将来がかかってるわけだからな。
 などとおかしな思索にふけっていた俺は、予想外の言葉に間抜けな声をだずハメになった。
 「シンシアは連れて行きません。」
 「うえ?」
 「シンシアにはここに残ってもらいます。」
 「ちょ、お前!最大の戦・・・いや、アイツを連れて行かなくてどーすんだ!!」
 「保護者として、危険な場所にシンシアを連れ出すのは容認できません。」
 アス・ナルセは静かだが決意に満ちた目で言い切った。
 「保護者ってあんた・・・」
 それでは戦力が半減なんてもんじゃない。
 俺は頭を抱えた。


後書き
でこビュー:「死亡フラグキターーー!!」
金子:「作者がそんなコト言っていいのか!?」
でこビュー:「いやー、アスは困りものなのですよ。どうもネガティブに行動しがちで。根本が良い人すぎる。」
金子:「おい、ちょっと待て。」
でこビュー:「なんですか?」
金子:「俺も作者なんて普通によんでたけど、ココはなんなんだ?」
でこビュー:「えーと、後書き?」
金子:「だから後書きってなんだよ!」
でこビュー:「とにかくアスのことは君に任せた!」
金子:「すまんが解るように話してもらえないか?全く話が見えん。」
でこビュー:「最近、忙しくて筆が進んでませんが、ラストまで書くだけ書くので、物好きな人はまた読んでやってください。」
金子:「なんだか解らんが、物好きゆーな!」
でこビュー:「でわ、また次話でお会いしましょー」
金子:「・・・だからナンなんだこれは」
謎の声:「落書きって言うのよ。(ぼそっ)







謎の声:「さてと、本当に何やってたのかな?あたしを呼ばないで。」
でこビュー:「ええと、これには構成的な理由が・・・」
謎の声:「問題無用!」
でこビュー:「だったら、なんで聞いたの!」
謎の声:「罪状認否よ!ちなみに、否認しても無駄よ!あ!コラ!逃げるな!!」
でこビュー:(ダッシュ!)

 

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