プロジェクトRINA

第2章 再起

俊介のアパートの謎の大爆発から3ヶ月、その跡地には新しくマンションが再建されていた。
しかし俊介の消息は以前わからないままだった。
この事故での犠牲者は大家だけだった、幸い他の住人は留守だったのだ、そしてその後リナがどうなったのかとゆうと・・・

しばらく気絶していたがようやく気がつくリナ、ここではもう俊介ではない、精神状態は半分は俊介が支配している、あと半分はリナ(女性)がコントロールしている、身体はリナで1つの身体に2つの精神が入っているようなものだ。
石が学習したためリナの精神が残っている、自分の身体の機能をさらにコントロールできるようになったのだ。
リナ「ここは、どこ?」
周りには広い草原が広がっていた、少なくとも元いた町ではない、立ち上がって回りを見回しても人の気配すらない。

これからは俊介とリナは魂を共有しているため、心の中で、お互いに会話できるのだ。

俊介(俺どうなったんだ、そっか、リナと同化して、そっから意識が飛んで・・)
リナ(俊介)
俊介(リナ、どうして、きみはたしか、あのとき)

リナ(同化してリナはこうして一緒になれたんだよ)
俊介(そっか、でも、ここはどこなんだ?)
リナ(リナもわからない、前に住んでいた町じゃないわね)
すると、背後から、なにやらこっちに接近してくる
俊介(何だろう、なにか来る)
リナ(意識を目と耳に集中してみて)
俊介はいわれるままに、意識を集中させてみる、ピアスが光る、ゴーグルに接近する物体との相対距離を示す。
俊介(すごい、こんなことできたのか)
リナ(そ、驚いた?で、こんどは服をイメージしてみて、今、私は服着てないのよ)
俊介(え?マジ、そっか、どんなのがいいかな)
とっさのことだったので、いつものメイド服をイメージすると、意識が投影されて服が出る。
接近する物体は荷馬車だった、ゴトゴトこっちに接近してくる、帽子を被った男が乗っている。
リナ(声、かけてみたら?)
俊介(そうだな・・でも、日本語通じるかな?)
リナ「すみませーん。」
すると荷馬車が止まる。
男「なんだ、娘、変わった服着て、ここで何してる?」
俊介(おお、通じた)
リナ「あの、ここはどこなんですか?」
男「なんだ、よそもんか、ここはライムランドだ。」
リナ「ライムランド・・ですか?」
俊介(ライムランドってなんだ?)
リナ(わからない)
男「おめえ、こんなところで何してるだ?いつまでもこんな危険なとこにいたら盗賊に襲われるぞ。」
リナ「ここって、盗賊とかいるんですか?」
男「んだ、用がないなら、おら行くぞ。」
俊介(どうしよう、俺たちもいつまでもいたらやばいな)
リナ(そうね、このおじさんについていってみない?)
俊介(そうだな)
リナ「あのー、できれば、私もつれていってもらえませんか?」

男「んったなこといったってな、金はあるのか?」
リナ「すみません、お金もってないんです。」
男「ならだめだ、すまんが諦めてくれ。」
俊介(困ったな、どうしよう)
リナ(こんなときこそ、女の武器を使わなきゃ)
俊介(え?どうゆうこと?)
リナ(いいから、ここはリナにまかせて)
するとリナはいきなり服をめくりだす。少し色っぽいしぐさをしてみる。いわゆる色じかけだ。
魂を共有する二人は身体のコントロールできるのも二人なのだ。
俊介(な、なにしてんだよリナ)
リナ(相手は男よ、色じかけで落ちないわけないわ)
すると、馬車の男はしばらくこっちのほうを見ている、俊介もリナも男の態度に集中する。
男「わかった。つれてってやるから、後ろに乗りな。」

リナ(ほら、やっぱ、男はこれに弱いのよ)
俊介(そっか?なんか俺にはそうは見えなかったが)
そうして男とともに、近くの村までついて行くことになった。草原を抜け、森林地帯に入る。
日もすっかり暮れてきていた。
男「お前、どこからきたっぺ?」
リナ「私もわかんないんです、気がついたら倒れてたので。」
男「おらサムってんだ、よろしくな、お前の名前は?」
リナ「リナっていいます、こちらこそよろしくお願いします、サムさん。」
男「そっか、リナってゆうのか、リナは男か?」
リナ「はい?」
俊介(なに、このサムって人、俺のことわかったのか)

リナ「どうゆうことですか?」

サム「リナ、本当は男なんだろ?」
リナ「私は女です。」
するとサムは急に馬車を止める。リナのいる、ほろの中に入ってくるサム。
リナ「何するんですか?」
サム「ここはライムランドだ。男は女の、女は男のキグルミを着ているんだ。」
すると、サムは自らの頭の後頭部に両手をあていっきに開く。顔が大きくよじれる。
全身一体型のキグルミになっているようだ。
中から、金髪の女の顔が現れる。顔にはうっすら汗ばんでいる。タンクトップを着ているようだ。
俊介(なんだ?男の中から女の人が出てきたぞ)
リナ(どうなってるの?)
俊介(それはこっちが聞きたいよ)
動揺するリナをよそ目に女は、完全にキグルミから身体を出す。サムの外見は中肉中背の30代の中年男だが、中身の女はまだ若いようだ。
女「さ、私も正体を見せたんだ。あんたも見せな。」
リナ「正体もなにも私は、なにも着てません。」(本当は着てるけど)
女「そんなはずない。この世界の人間は皆こうのはず。例外なんてあるはずない。」
リナ「どうゆう事なんですか?」
女「国王の命令なの。国王の命令は絶対だから。」
リナ「国王?」
リナ「サムさんは、この命令をどう思ってるの?」
女「サムってのは、男の名前だろ。あたいはメリッサ。」
リナ「メリッサさん。いい名前ですね。」
メリッサ「お世辞はいいよ。リナ、あんた本当に女なのか?」
リナ「ええ。まあ」
メリッサ「あんた、もしかして異世界の人間じゃないのか?」
リナ「異世界?」
そう、俊介とリナは爆発の衝撃で次元の扉がなんらかの原因で開いてしまったのだ。すなわちここは異世界なのだ。
俊介(ってことは、俺たち異世界に来たってことか)
リナ(そうみたいね)
メリッサ「なに、さっきからぶつくさ言ってんのさ。異世界から来た人間はこれで2人目だな。」
リナ「私の他にも異世界から来た人がいるんですか?」
メリッサ「噂じゃ、国王の側近の錬金術師がそうだって、そいつが王にこの法律を提言したらしい。」
リナ「錬金術師?」
メリッサ「怪しげな技でいろんなもん作ってるんだ。」
リナ(科学者みたいなものね)
メリッサ「このキグルミもそいつが作ったもんでさ、それにあわせて法律もできたってわけなんだ。」
リナ「その錬金術師の名前は?」
メリッサ「たしか、カイザって名前だったな。」
俊介(カイザ・・カイザってまさか、Drカイザか)
リナ(まさか・・そんな、Drカイザがこの世界にいるってゆうの)
俊介(わからない。けど、リナのこともあるし、この人たちのキグルミもそのコピーみたいなもんかな)

Drカイザも来ていたのだ。最初の爆発でこれも同じ現象が起こっていたのだ。 
ではなぜ遺体が発見されたのか、異次元空間のねじれがこの国にも起きたのだ。Drカイザと入れ違いにこの世界の人間が一人、現実世界に飛ばされたのだ。
爆発による二次災害で火災に巻き込まれて、そのまま死亡してしまったのだ。あわれと言うか運がなかったと言うべきか。
メリッサ「そっか、異世界の人間か、本物の女なんだな。」
リナ「ええ、まあ。」
メリッサ「じゃあ、あたいの村に連れて行ってやるよ。話はそれからだ。」
メリッサはまた、サムのキグルミを着る。全身一体型のキグルミの着脱はそう難しいわけではない。
着る構造はリナのものとそう変わらないらしい。あっとゆう間に着替えてしまう。
サム「さ、いくぞ。あ、そうだ。男のときはサムって呼んでくれ。そう決まってるんだ。」
リナ「そうなんですか。」
馬車のたずなをふりかざし、森林地帯を駆け抜ける。
俊介(悪い人じゃないみたいだな)
リナ(うん、メリッサさんいい人みたい)
しばらくして、いきなり馬車が急に停止する。勢いでリナも壁に叩きつけられる。
俊介(なんだ?)
サム「襲撃だ。盗賊だ。」
俊介(盗賊?マジか)
身を乗り出すと、周りに数人の盗賊らしき人間に囲まれている。顔は隠されていてわからない。
盗賊たちは、剣や斧、弓などで武装している。
サム「出てきちゃだめだ。ひっこんでろ。」
盗賊「有り金置いて、とっとと失せな。命は盗らないでやる。」
サム「わかった。金は出すから、ほら。」
金が入った袋を盗賊に投げる。盗賊団の一人が確認する。
盗賊「なんだ、これだけか。もっとあるだろ、出せ。」
サム「それだけだ。それ以上は出せない。」
盗賊「後ろの荷台になにかあるだろ、持ち物全部だしやがれ」
サム「やめろ。金は出しただろ。荷物など、どうでもいいじゃないか。」
盗賊「うるさい。おい、調べろ。」
盗賊の一人が荷台のほろを開けて中を調べようとするが、サムが必死に抵抗する。
しかし、後ろから、殴られて気絶する。
盗賊「お頭、女だ。見たこともない服を着た女がいるぞ。」
お頭「なに?女。引きずり出せ。」
盗賊に強引に手を引かれて、荷馬車から降ろされる。そのまま地面に叩きつけられる。
リナ「痛ーい、なにすんのよ。」
お頭「うるさい!お前変わった服着てるな。」
リナ「あんた、何者?ってゆうかレディーになにすんのよ。」
するとお頭が被っていた、フードをとる。すると髪の長い女性が立っていた。すると盗賊が全員フードをはずすと、全員が女だった。
俊介(女?いや、この世界じゃ、逆なんだよな、ってことは)
リナ(男ね)
お頭「私はたとえ相手が女子供であろうとも容赦しない。」
リナ「女の子には優しくしろって親に習わなかったの?」
お頭「ははは、私の親は私を生んですぐ私を捨てた。金がなくて私を売ったんだ。小さい頃から一人でやってきて、今はこの盗賊のお頭さ。」
リナ「それはそれは、ご苦労様です。では、私はこの辺でお暇します。ごきげんよう。」
と、どさくさに紛れて、この場を逃げようとしたが、盗賊の一人に捕まった。
お頭「なにどさくさに紛れて逃げようとしてんのよ。」
リナ「やっぱりばれてました。」
お頭「当然、お前だってここの世界の人間ならわかってるだろ。」
リナ「ええ。」
お頭「なかなか、かわいいな、脱げ。」
リナ「は?」
お頭「私が着ることににする。これも飽きてきたころだしな。」
リナ「なに、自分勝手なことばかり言って、それに私はこの世界の人間じゃないの。」
お頭「なに?この世界の人間じゃないだと?」
リナ「ええ、だから、私は誰も着てません。」
お頭「そうか、じゃあ、お前がこの世界の人間ではないと言う証拠はあるのか?」 
俊介(まいったな、証拠なんてないぞ)
リナ(落ち着いて、ここは逃げるしかないわね)
俊介(逃げるってどうやって、相手は武器を携帯してるんだぞ。下手に動けば殺られるぞ)
お頭「どうした、証拠がないのではどうしようもないな。」
俊介(くっそー、あ、そうだ。リナ、ここはさっきの色じかけでいけるかもしれないぞ)
リナ(そうね。見かけは女だけど、ほんとは、よしやってみる)
リナはその場に脚を横に崩してみる、スカートを太もものあたりまでめくりあげる。少し上目づかいで、お頭を眺める。
リナ「いいこと、しようよ。」
それを見て、お頭は大声で笑い出す。部下も笑い出す。
お頭「ははは、面白いな、気にいった。」
リナ「え?それじゃあ、逃がしてくれるの?」
お頭「なわけないだろ。アジトに連れ帰って、ゆっくり遊んでやる。おい、連れてけ。」
と部下に命令を下すと、部下がリナに縄をかける。縄がリナの身体にくいこむ。口に布をつめられて、目隠しをされる。
リナは言葉にならない言葉をはっするが、それは盗賊には女の呻き声にしか聴こえない。
お頭「悪く思うな、アジトの場所を知られるわけにはいかないんだ。少し苦しいかもしれないが、我慢しな。」
盗賊「お頭、こっちの奴はどうします?」
お頭「そいつも連れて行く、帰るぞ。」
そのまま、リナとサムは盗賊のアジトへ連れて行かれる。暗くしめっている洞窟の牢屋に監禁されてしまった。
しばらく気絶していたサムも気がつくと、自分がいる状況を把握できなくて、周りを見回す。
サム「ここは?俺たちはどうなったんだ。」
リナ「捕まったの、捕虜みたいなものね。」

俊介たちにはふに落ちないことがあった。なぜDrカイザがこんなキグルミを作り、国民全体に着ることを命令させたのか。

その真の目的とは一体なんなのか。

リナ「ねえ、サムさん、なぜカイザはこんなことをするのでしょう?」
サム「これも単なる噂なんだが、この世の終わり、ラグナロクが迫ってるらしい。」
リナ「ラグナロク?」
サム「神々でさえ生き残ることが難しいとされる世界の終末ラグナロク、全世界が一瞬で消えてなくなるそうだ。」
リナ「まあ、それは大変ですね。」
俊介(って人事じゃないぞ。この世界に俺たちもいるんだ。そんなのがおきたらやばいぞ)
リナ(まあ落ち着いて、なんとか回避する方法があるはずよ)
リナ「そのラグナロクを回避する方法はないんですの?」
サム「一つだけある。この国の伝説、異世界より来たらんもの。神秘の七つの石揃わん時、これ世界を救くわん。こんな言い伝えがあるんだ。」
リナ「神秘の七つの石?」
サム「だから、俺も最初、リナが異世界の人間だって聞いてからびっくりしたよ。ラグナロクが回避できる、生き残れると思ったからな。」
リナ「そうですか。」
俊介(やっぱ俺たちの事なんだぜ異世界の人間って、でも神秘の七つの石ってのがわからない)
リナ(もしかして、リナの身体にあるエネミーストーンのことじゃないかしら)
俊介(なるほど、あ、でも、俺たちの石は六つだぜ、あと一つは?)
リナ(わからないわね)
盗賊「おい、なに話してるうるさいぞ。」
リナ「サムさん、神秘の石について教えてください。」
サム「俺も詳しいことまでは知らないが、その石の一つをカイザが持っているとゆう噂だ。七つの石の中でもっとも大きく力の強い石だそうだ。」
すると、盗賊の一人が棒でサムを殴る。倒れこむサム。
リナ「なにするんです?」
盗賊「うるさいと言っているのがわからんのか、黙らせてやる。」
リナ「待ってください。そんな乱暴しなくてもいいじゃない。」
盗賊「うるさい。邪魔だてするとお前も痛い目をみることになるぞ。」
リナは手を縛られているためサムにすりよってサムをかばう。
リナ「無抵抗の人間をいたぶってなにが楽しいんです。」
盗賊「お前もどうやら痛い目をみたいみたいらいしいな。」
そういって盗賊は棒を振り上げる。リナも思わず目を閉じる。
お頭「待ちな、私の許可なくその娘に手をかけるんじゃないよ。」
盗賊の棒がリナに当たる瞬間に止まる。
お頭「娘を私の部屋に連れてきな。もう一人のほうは、お前の好きにしていいよ。」
盗賊「は、わかりました。」
リナ「そんな、サムさんも一緒に。」
お頭「あいにく私はあんたに用があるんだ。こいつは情報を漏らさないために連れてきただけだ。」
リナ「サムさんは怪我をしてるんですよ、怪我人をほっておくなんて。」
お頭「心配しなくてもいい、怪我はそのうち治る。」
そういってそのままリナとサムは引き離される。そしてリナは盗賊のお頭の部屋に招かれる。
洞窟の穴を改装してあり、中にはベッドや机など、豪華な装飾品がある。
お頭「まあ、そこに座りな。」
リナはそのまま、そこにペタンと座る。あいかわらず手は縄で縛られたままだ。
リナ「お頭さん、縄を解いてください。痛くてしょうがないんですけど。」
お頭「そうゆうわけにはいかないんだ。それと私はリンダって名前だ。よく覚えておくんだな。」
リンダはそう言うと、リナに近寄る。手をリナの顎に手をかける。そのままリナにキスする。
リナ「あぅ・・うう。」
リナも突然の事なので声にならない。初めてのキス。リンダの柔らかい唇がリナの口に密着する。
リンダ「どうだ?少しは気持ちよくなったか?」
リナ「私、女の人とキスするの初めてだったから・・」
リンダ「私は毎日やってるぜ。でもお前とのが一番よかったな。でも不思議だ。お前には生身の人間の感覚がなかった。でもそこがいいんだなきっと。」
俊介(そういえば俺とリナってキスしてなかったな)
リナ(そうね、ってことは私のファーストキスはリンダさん?)
リンダ「リナが本当に異世界の人間なら、ラグナロクを回避できるかもしれないな。」
リナ「サムさんも言ってました。世界の終末ラグナロクが近いと、そして異世界から来た人間がそれを救くうのだと。」
リンダ「言い伝えによれば、そうゆうこになっている。しかし、異世界から来た人間はリナ、お前だけじゃないからな。」
リナ「Drカイザ、いや錬金術師のカイザですね。」
リンダ「そうだ。彼もまた異世界からきた人間だとゆう、高度な錬金術でこの世界を支配しようとしている。」
リナ「彼になぜそんな力があるんですか?話によれば神秘の石を持っているとか。」
リンダ「そうだ。錬金術とは、物質を分解し再構築すること。原則として、対価交換の法。なにかを得るためには、それにふさわしい対価を支払わなければならない。だが、奴はそれを無視できるのだ。」
リナ「それは、どうゆうことです?」
リンダ「神秘の秘石、賢者の石、奴はそれを持っているらしい。」
リナ「賢者の石?」
リンダ「自然の摂理を無視した力がその石だ。奴はなんらかの方法で賢者の石を手に入れ、国王に自分の絶対忠誠を誓った。国王のオーディンは、自分の支配権拡大のため近年、隣国に侵略を計画しているらしい。それには大量の兵が必要になる。そこでオーディンはDrカイザと賢者の石で兵隊を生み出したんだ。」
リンダ「しかし、万物の摂理を無視した代償は国を荒廃させる結果になってしまった。人間の精神を大量に必要としているのだ。」
リナ「それでは、代償を払っているじゃないですか。賢者の石はなんの犠牲もないはずでは?」
リンダ「そうだ。一説では賢者の石ではない別のものだと言う噂もある。だが、このままでは、確実に国民は苦しい立場に追いやられる。なんとかしないと。」
リナ「あなた、盗賊なのに、よくそこまで知ってますね。」
リンダ「盗賊といってもそれは、表向きにすぎない。国王オーディンの絶対的支配から国民を守るために結成された、レジスタンスだ。」
俊介(なんか話がどんどん大きくなってきたぞ)
リナ(私たちは異世界からきたメシアになってるのね)
リナ「では、国王に抵抗してきたんですか?」
リンダ「そうだ。だが、オーディンには近づけない。奴には腕ききの部下がいるからだ。」
リナ「腕ききの部下?」
リンダ「破壊の使途フレイ、戦慄の覇者バルキリー、戦場の神ワルキューレ、こいつらがオーディンの側近にいつもはりついているため王宮に近づけない。オーディンもまた世界に3つしかない神器の一つグングニルの槍を持っているんだ。」

リンダの説明を聞いていたが、だんだん事の重大さが身にしみてきた俊介とリナしばらく呆然となる。
リナ「で、リンダさん。そのオーディンに勝つ方法は?」
リンダ「優秀な部下に神器の槍、いままで何人もの罪もない人間が犠牲になってきた。これ以上犠牲者を出したくない。が、今の我々の力では国王はおろか、城に近づくこともできん。城の周囲にはなにやら見えない壁のようなものが天高くはりめぐらされているのだ。」
(空間絶断フィールド、外部からのいかなる攻撃もシャットアウトさせる高性能バリア)
俊介(そんなのにどうやって勝つんだよ無理だよ城にも入れないんじゃ)
リナ(そうね)
リンダ「だが、方法はなくはない。この世界のどこかにアスランとよばれる古代民族がいる。彼らには、神器の一つ、ドラゴンオーブを持っている。ドラゴンオーブの力も絶大なものだ。」
リナ「じゃあ、そのアスランさんに会ってドラゴンオーブをもらいましょう。」
リンダ「そんなことができたらとっくにやっている。彼らは遊牧民族だ。この世界を絶え間なく移動しているんだ。今、どこにいるのかもわからん。」
俊介もリナも落胆の色が見えはじめる。万策ついて、もはやどうすることもできないまま世界の終末を迎えるのか。
俊介(だめだ、どうにもなんないよ)
リナ(俊介のバカ、なんで諦めるの。私たちにだって出来る事はきっとあるはずよ)
リナ「私に出来る事があるなら、協力します。」
リンダ「はは、そうか、救世主のお前ならなんとかなるかもな。」
リンダも重いため息をつく。
リナ「神秘の七つの秘石には及ばないかもしれませんが、私、残りの六つの石持ってます。」
リンダ「なに?それは本当か?」
リナ(俊介、見せてあげましょう、私たちの力)
俊介(ああ)
ピアス、腕輪、脚輪にはめ込まれたエネミーストーンが光を放つ。意識を石に集中させる。
リナの服がメイド服から、ブルーメタルの甲冑にかわる、羽飾りの兜、剣と盾がでる。
そう、俊介がスペースランドで着た月の使途アルテミスだ。
リナ(俊介、これは?)
俊介(覚えてる?二人でいったスペースランドで見ただろ)
リナ(でも、あのときは俊介さんトイレで、知らないはずじゃ?)
俊介(実は、あれ着てたの俺なんだ。今まで黙ってて、ごめん)
リナ(えー、リナ全然わからなくて、一緒に写真とっちゃたよ)
あまりの唐突な出来事に唖然とするリンダ。目の前の見知らぬ女の姿が変化してしまったのだから。
リンダ「お前、それはどうゆうことなんだ?」
リナ「これが私の力。私には六つの秘石の力で自由に衣服を変化させることが出来るんです。」

リンダ「それが救世主の力。Drカイザにも匹敵する力かもしれない。望みはまだある。どうだ私たちの仲間にならないか?そして、国王の支配から国民を救いだすんだ。」
リナ「私にどこまでできるかわからないですが、これ以上誰かの涙は見たくないですから、微力ながら協力させていただきます。」
リンダ「わかった、我々も全力で協力しよう。盗賊なんか辞めて、レジスタンスとしてこれから堂々と名乗るぞ。」
リナ「もうすこしこのまま盗賊のほうが、こっちも動きやすいでしょう。そうしてもらえませんか?」

リンダ「悪政オーディンを退けて、新しい国王を選出するんだ。」
リナ「新しい国王ですか?」
リンダ「ああ、ここだけの話だが、王宮の地下神殿にこの国の真の王が監禁されているとゆうんだ。」
リナ「真の王?」
リンダ「オーディンはその王の側近だったのだが、神器を手にいれ部下とともに下克上をおこしたんだ。その時の王とその部下がいまだに地下神殿に監禁されているらしい。」
リナ「オーディンを倒し、先代の王を復活させればいいんですね。」
リンダ「そうゆうことだ。だが、そうたやすくできることではない。」
リナ「ところで、地下牢に監禁されたサムさんを解放していただけませんか?」
リンダ「わかった、今すぐ開放する。」
しばらくして、部屋にサムが入ってくる。リナの姿をみて驚く。
サム「リナ、その姿は?」
リナ「これは私の石の力です。待ってくださいね。今もとの姿に戻ります。」
甲冑から、メイド服に切り替わる。
サム「リナも盗賊になるのか?」
リナ「いえ、表向きは盗賊ですが、この人たちは、命をかけて国民をオーディンの支配から救うため戦っているんです。私はこの人たちと共にオーディンに戦いを挑みます。」
サム「なんだって、よーしわかった。俺も一緒に戦うぜ、俺も、もうこんな生活いやだ。頼む俺も一緒に戦わせてくれ。」
リンダ「おう。仲間は一人でも多いほうがいいしな、頼むぜ。」
リナ「サムさんの故郷はいいんですか?下手したら生きて帰れないかもしれませんよ。」
サム「なーに、こんな状態だ命なんて惜しくない。俺の命、あんたたちに預けた。」
リンダ「よし、力強い味方もついた。早速、作戦会議だ。」
盗賊団の名前はスラッシュ、幹部も含めて100人の部隊構成になっている。少佐以上の階級の人間が緊急招集された。
リンダ「みんなにはもう伝わっていると思うが、我々に非常に強力な味方がついた。右が異世界からきた救世主リナだ。そして、仲間のサムだ。」
リナ「よろしくリナです。微力ながらみなさんと共に自由を勝ち取りましょうね。」
リンダ「まだ、ここから、国王の城までは遠い。まだ、このアジト発見されてないが、出撃のときにこのアジトを完全に留守にはできない。何名かを残していく。」
リナ「どこへ行くんですか?」
リンダ「遊牧民族、アスランを捜索する。彼らから宝玉ドラゴンオーブを受諾するのが今回の作戦だ。」
サム「なるほど、神器ドラゴンオーブなら、いけるかもな。俺はもう一つの神器、神剣エクスカリバーがどこにあるか知ってるぜ。」
リンダ「なに、神剣エクスカリバーだと、それはどこにあるんだ?」
サム「まあまあ、そう慌てなさんな。エクスカリバーはここから南に100キロほどいった断崖の孤島パルザン島にあるといわれている。」
リンダ「南に100キロか、けっこう遠いな。情報によれば、アスランは北北西の方向にいるとゆう話だ。」
リナ「正反対の位置ですね。どうします?」
リンダ「これからの戦いで神器の存在は不可欠だ。どちらも揃えたい。なので、グループを半分に分けて両方いただく。」
会議は3時間以上にのぼった。議題はグループ編成の話になってきた。南のパルザン島にはここから5日以上、北のアスランに合流するのは最低でも10日以上かかるらしい。
リンダ「南の神剣エクスカリバー奪取にはやはりサムが付いていったほうがいいだろ。頼めるか?」
サム「おう、任せとけ。で、兵隊はどのくらいもらえるんだ?」
リンダ「ざっと40人、隊長はサムでいいな。」
リンダ「北のほうは、やはりリナがいたほうがいいだろ。救世主なら彼らも素直にオーブを渡してくれるだろう。」
リナ「もし、上手くいかなかったら、どうするんです?」
リンダ「その時は・・」
リナ「その時は?」
リンダ「力づくででも聞き出す。」
リナ「暴力はよくないわ。」
リンダ「冗談だ、でもなんとしてもドラゴンオーブを手にしなければいけない。」
リナ「そうですね。」
俊介(いいのかリナ?危険な旅になるぞ)
リナ(平気よ。リナ、俊介と一緒ならどこにでも行くて、言ったじゃないずっと一緒だって)
ここで時間概念の説明。前作でもいったとおり、リナのエネルギーはエネミーストーンに備蓄されている。事実そのエネルギーは7日しかもたない。この事実は変わらないが、ここでは俊介たちがいた世界とは時間の流れが違うため、この世界では、10年は動ける。
リンダ「よし、そうゆうことで、出発は明後日だ、各自準備せよ、解散。」
サム「リナ、こっからは別行動になるが、無事でいろよ。」
リナ「うん、サムさんもね。」
サム「おう、俺は殺されたって、死なないさ。不死身のサム様をなめるなよ。」
リナ「私もがんばるから、神剣のほうは任せたわ。」
リンダ「さ、飯だ。おい、酒を持ってこい。」
すると、どんどん料理が出てくる、酒も出てくる。あっとゆう間に大宴会が始まった。
リンダ「今日はリナが来た、めでたい日だ。大いに盛り上がれ。」
盗賊「おー。」
リンダ「おう、ほら、リナもたんと食っておかないとリキが入らないぞ。腹がへっては戦ができぬとゆうだろ。」
リナ「私たちは戦いに行くわけではないので、私は結構です。」
リンダ「なんだ、私の酒が飲めないのか?」
リナ「そうゆうわけではないんですが、私、お酒だめなんです。」
俊介(飲めっていったって、飲めないしな)
リナ(そうね)
飲むことも食べることもできないリナはしばらくして、席をたつ。外に出ることにした。その日は満月だった。
俊介(へー、この世界にも月があるんだな)
リナ(そうね、綺麗)
俊介(にしても、とんでもない事に巻き込まれたな。ここに来て、いきなり世界の滅亡だとか戦争だとか)
リナ(ほんと、前の世界がどれだけ平和だったかがよくわかるわね)

出発前夜
リナはなかなか寝ることができずにいた。少し気分を変えるため外に出ることにした。
俊介(いよいよ明日なんだな)
リナ(そうね。俊介、怖いの?)
俊介(バカゆうな、俺が怖いわけないだろ)
サム「どうしたんだ。こんな夜更けに女一人で出歩くなんて無用心だぞ。」
リナ「サムさん、すみません。なかなか、眠れなくて。」
サム「明日だもんな。リナと別れるのは辛いがこれも世界のためだし。」
リナ「私もサムさんと別れるのは辛いです。」
サム「ま、すぐ、会える。俺は必ずエクスカリバーを手にいれるんだ。」
リナ「私もがんばるね。・・でも。」
サム「でも、なんだ?」
リナ「私、みんなが思ってるほどできないかもしれない。この世界に来たのだって偶然だし。いきなり、世界の終末とか、異世界の救世主とか、短い間にいろんなことありすぎて、みんなが私によせる期待に押しつぶされそう、無力な自分が怖いの。」
サム「リナ・・、そんなに自分一人で抱え込むなよ、お前は一人じゃないんだ。俺
たちがいる。リナはリナに出来ることをすればいいのさ。」
リナ「私が出来ること?」
サム「そう、リナはリナじゃないか。周りからのプレッシャーにビビルことないさ。その場で、出来ることに全力をかたむければいいんだ。」
リナ「ありがとう、サムって、本当はいい人なのね。」
サム「おいおい、本当はって、なんだ、ってことは今まではいい人じゃなかったのか?」
リナ「だって、顔怖いし、最初私にも冷たかったし。」
サム「がっくり。だけど、今は違うだろ。」
リナ「そうね、見直した。」
サム「よかった。」
すると、急にサムが抱きつく。
リナ「なに、どうしたの。サム?」
サム「離れたくない。俺、最初会ったときから、リナのこと好きだった。」
リナ「サム・・気持ちはうれしいけど、今は戦争だし、サムの気持ちに答えてあげられない。」
サム「ほんとは、リナと一緒に行きたかった。」
リナ「これが終わったら、考えとく。」
サム「そうか、これが終わったら。」
そして、リナとサムは軽いキスをして別れる。
俊介(どうして、あんなこといったんだ。俺たちは元の世界に帰らないといけないんだぞ)
リナ(だって、サムさんの気持ちをないがしろにするわけにはいかなかったし)
俊介(それにしても、リナが俺以外の人間とキスするの2回目だな)
リナ(どうしたの?ひょっとしてやいてるの)

俊介(そんなんじゃないけど・・)
俊介(でさ、俺たちもなんか武器とか使えないかな?)
リナ(戦闘用じゃないからね。鎧に変化したときにでる剣が今の私たちのたった一つの武器ね)
リナ「はあー。」
石に意識を集中して、鎧に変化させる。
リナ(なに?いきなりどうしたの?)
俊介(俺たちに出来ること。ただ持ってても仕方ないだろ、剣の修行するんだ)
出発の朝
リンダ「よーし、いよいよ、出発だ。俺とリナは北のアスランに、サムと副首領は南のパルザン島に合流地点は東のキーグル山脈だ。」
リナ「みなさんの力で必ずこの国を元の平和な世界に戻しましょう。」
盗賊「おー、リナ様、ばんざーい。」
そこに一人の盗賊が走りよってくる。花束をリナに渡す。
リナ「これは?」
盗賊「我々、救世主リナ様ファンクラブのものです。ちなみに私、会長で会員ナンバー1なんです。我々は常に、リナ様のご武運を祈っております。」
リナ「私のファンクラブ?ってそんなのあるんですか?」
リンダ「ここ3日で発足したらしくてな。みんなリナが好きなんだそうだ。」
リナ「ファンクラブなんて作ってくれたなんて、私とーってもうれしいです。ありがとう。」
盗賊「我々、リナ様ファンクラブは命をかけてリナ様をお守りします。」
リナ「ありがとう。でも、みなさんもどうぞご自分の命を大切にしてくださいね。」
盗賊「そしてこのたび私たちはリナ様親衛隊を結束しました。」
リナ「親衛隊ってそんなオーバーな。」
盗賊「いえ、やらせてください。みなもそう思っております。」
リナ「いいんですのリンダさん?」
リンダ「うーん、やつらもやる気になってるみたいだし了承してくれないか?」
リナ「わかりました。私もみなさんの足をひっぱらないようにがんばりますから、一緒にがんばりましょう。」
そこにサムと副首領がくる。二人とも膝をつき頭を下げる。
サム「我々も全力で神剣エクスカリバーの奪取に挑みます。どうかリナ様もご無事で。」
リナ「なにあらたまってるのサムさん。私たちは友達じゃない。頭あげてよ。」
サム「いえ、今はこうさせてください。では、我々は一足先に現地にいきます。」
リンダ「よし、出発せよ。」
そして、サムと副首領の一段は南のパルザンに向けて旅だった。
リンダ「よし、我々も出発だ。いくぞ。」
こうしてリンダとリナは北の遊牧民族のアスラン捜索にアジトをあとにした。旅の道は険しい極寒の地の断崖や、深い谷が進行を妨げる。
そして、2日目のことであった。一行はとある、深い渓谷にさしかかったときのことである。急に回りを囲むように何者かが一行を取り囲む。
リンダ「なんだ、てめえら?」
山賊「俺たちはこの辺をしきってる山賊様よ。お前らここらのもんじゃねえな。命が惜しかったら持ち物おいてさっさと消えな。」
リンダ「山賊だー、上等じゃないか。私たちは盗賊だよ。やろうってのかい?」
山賊「なに、盗賊だ。へ、女ばっかじゃねか。笑わせる、ヤローども出て来い。」
すると、岩陰から100人はいるであろう山賊が出てくる。どれも、屈強な男ばかりだ。
俊介(げ、これはまずいな。どうみたって俺たちの倍はいるぞ)
リンダ「頭数だけ多けりゃいいってもんじゃないよ。お前らの親分をだしな。」

すると、目の前の大きな岩の頂上に一人の男が立っていた。そしてそのまま飛び降りた。
俊介(げ、まじか。あの岩どうみたって、5メートルはあるぞ)
しかし着地に失敗し地面に落ちる。
山賊「お、親分、大丈夫でがすか?だからいったでしょ、無理だって。」
親分「うるさい。今のは俺が予想してた風が若干右に吹いてしまったからだ。」
リンダ「ははは、無様だな。それで親分か。」
親分「だまれ俗物。俺は山賊の首領イーグル。お前は誰だ?」
リンダ「私かい?私は盗賊スラッシュの首領リンダさ。ここを通してもらいたいんだけどね。」
イーグル「俺たちがだまってここを通すわけないだろ。ここでたっぷり遊んでやる。」
リンダ「ふん、どうやら正攻法ではいかないみたいだね。みんなやるよ。」
リナ「待ってください、喧嘩はいけません。ここは話し合いで解決しましょう。」
リンダ「だめだ、こいつらは話し合いでどうにかなる連中じゃない。」
イーグル「なんだ、お前は。みたこともない服を着ているな。」
リンダ「聞いて驚け。リナはこの世界を破滅から救うため天からかの使者リナだ。」
すると、山賊がどよめく。山賊もその辺に事情は知っているため、みんな驚く。
リンダ「へへ、みんなビビってる。」
イーグル「それでは異世界から来たと言うのか。」
リナ「はい、ですからここはこの世界に住むもの同士手を組み合って国王の支配からこの国の人を救いましょう。」
すると、山賊たちは大声で笑いだす。
リナ「なにがおかしいんですの?」
イーグル「世界の平和なぞ我々はどうでもいいのだ。破壊と殺戮を繰り返す事こそが我々の生きがいなのだ。国王などどうでもいいのだ。事実ラグナロクで世界がどうなろうとも我々にはどうでもいいこと。どうせ滅亡するなら、今こうして生きがいであることをやったほうがいいだろうが。」
リナ「それは間違ってます。世界が消滅したらあなたがただって生きてはいられないんですよ。」
イーグル「わからない娘だな。いーか、俺たちはもう命など惜しくない。どうせみな消滅する運命なら堅苦しく生きてるなんていやだ。好きなことをやって生きたいんだ。」
リナ「そんなの絶対間違ってます。こんなときだからこそ世界のみんなが力をあわせるべきではありませんか。」
イーグル「ははは、さすがは異世界の人間だ言うことが違う。お前たちのいた世界はよっぽど平和だったんだな。だがここは違う、この世界じゃ悪が勝つんだ。もう何百年も戦争をしているんだぞ。」
リナ「私のいた世界でも戦争はありました。しかし、戦争は悲しみしか生み出しません。反戦運動も世界規模で展開されています。みな平和を願っているんです。だから戦争はやめてください。」
リンダ「リナ・・みんな、リナの言うとおりだ。戦争をこれ以上長引かせるわけにはいかない。」
イーグル「口で言ってもわからないらしいな。なら力でわからせやる、はあー。」
するとイーグルの身体からオーラのようなものがでてくる。そしてなにやら一人でブツブツ言っている。
俊介(なんだ?なにするつもりなんだ)
リナ(俊介みて、イーグルの身体の周りに高エネルギー反応があるわ。なにか撃ってくる)
まばゆいレーザーのようなものがこっちにものすごい勢いで飛んでくる。
リナ「みんな、伏せて。」
イーグル「ははは、もう遅いわ。」
レーザーはこっちの兵隊数人を吹き飛ばしていった。光線が通過したことを確認しておそるおそる顔をあげてみる。
背後には運悪く負傷してしまった兵士が倒れている。
イーグル「どうだ、俺のマーダーキャノンの威力は。」
リナは負傷した兵士にかけより、手を握る。
リナ「大丈夫?」
兵士「う・・俺は、最後にリナ様の腕の中で逝けて幸せだ。ぐふ」
そのまま息絶える兵士、リンダもかいほうしているが、こっちをむき、首を振る。
イーグル「ははは、どうだ。」
リナの拳に力がこもってきた。
俊介(あいつ、許さねー)
リナ(俊介、落ち着いて、戦っちゃいけない)
そんなリナの静止も聞かずに、すくっと立ち上がる。石に意識を集中して鎧の姿に変化し、剣を構える。
イーグル「なに、いきなり姿が変わったぞ。」
リンダ「やめるんだ、相手が悪い。」
しかし、そんな言葉は聞こえていなかった。
リナ「罪もない人を傷つかるなんて」
イーグル「ははは、いい光景だな。」
リナは剣を振りかざしてイーグルに斬りかかっていく。しかし、剣など習ったこともない俊介の剣さばきなど戦い慣れたイーグルにとっては赤子の手をひねるようなものだ。
リナの剣を紙一重でかわしていく。かすりもしないことに俊介も焦りがでてくる。
イーグル「なんだその剣は、この素人め。ふん。」
剣をはじき飛ばされる。すかさず至近距離でマーダーキャノンをあてにくるイーグル。すかさず盾を構える。
マーダーキャノンが至近距離で発射され盾にあたる。リナごと後ろに押し戻される。
俊介(うわあああ、くっそう)
リナ(俊介、盾がもうもたない、そのまま受け流して)
10メートルほど押されたところで少しふんばって盾にエネルギーを盾にためこんで、盾ごと投げ捨てる。
イーグル「ははは、なかなかやるな。だがもう丸腰でどう俺と戦うつもりだ。」
俊介(くっ、どうしよう)
リナ(もう無茶して、もう少しでやられちゃうとこだったよ)
俊介(まだだ、まだ終わらない、格闘なら)
リナ(ちょ、ちょっと、格闘なんて、私の身体がもたないよ)
リナの言葉を無視して、イーグルに立ち向かうことになった。

イーグル「なにをしたって無駄だ。」
リナ(俊介、落ち着いて。だめ、こうなった俊介は止められない。私もここまでやられたらやるしかないわね)
リナ「いくよ。」
リナとイーグルの格闘戦が始まった。手を出すことができないでいるリンダと兵士たち。
リンダ「リナ・」
兵士「首領、リナ様は俺たちのために戦ってくれてるんだ、俺たちも。」
リンダ「お、おう、俺たちは、残党のやつらを相手にするぞ。何人動ける?」
兵士「35人です。」
リンダ「よし、二手に分散し反撃だ。俺はリナを援護する。」
しかし、格闘戦でもいままで、喧嘩などやったことないので勝負にならない。一方イーグルは百戦錬磨の戦士だ。格闘も慣れている。
次第に追い詰められる。イーグルの回し蹴りがリナのかた口をかする。
リナも体勢を崩して、地面に膝をついてしまう。 
スーツなので血がでることはないが、内部にはその衝撃を伝える。膝まずいてしまうリナ。
俊介(さすがに、やばいな、もう身体がゆうことをきかなくなってきた)
リナ(これ以上やられるとまずいわね)
リナの首をイーグルが掴む。片手で持ち上げる。ほどこうとバタバタしてみるがびくともしない。
リナ「あう・うぐ・・、放しなさい。」
イーグル「ははは、俺は女が苦しむ姿を見るのが好きなんだ。」
するといきなり手を放す。2メートルの高さから地面に落ちる。こんどは髪をつかまれて無理やり持ち上げられる。
イーグル「ただ、いたぶるのでは面白くないだろ。かわいがってやる。」
数人の山賊がリナの手足に縄をかける。手足を縄で拘束され動きがとれなくなった。
リナ「なにすんの?ほどいてよ。」
イーグル「ほほーよく見たらいい女じゃないか」
鎧の下半身は膝まであるロングスカートになっている。膝からは脚部の鎧がある。
イーグルはナイフでスカートに切れ目をいれる。
イーグル「はは、いい眺めだな。」
隠したいが手足が縛られていて動きが封じられている。抵抗するがそのぶん縄が身体にくいこんでくる。
イーグル「そのあがく姿もかわいいな。」
リナ「後でどなっても知らないからね。」
イーグル「お前に後でなどない。」
そのまま地面に仰向きで寝かされると、イーグルが迫ってくる。すると右足の縄に少し緩みがでた。

イーグルはそれに気がついてはいない。リナの身体の上に四つんばいになる。
イーグル「さあ、お楽しみの時間だ」
だんだんとにじりよってくるイーグル。右足の縄に若干の緩みがでていたので脚が動く。
リナ(いい、俊介、イーグルがちかずいたらおもいっきり男の弱点を蹴って)
俊介(え?男の弱点?あれか、でもなんか気がひけるな)
リナ(なに言ってるの。はやく)
地面にねかされているリナの真上に四つんばいになるイーグル。そこにリナの渾身の蹴りがイーグルをとらえる。
イーグル「ぐわー、こいつ。」
ダメージをうけた部分をおさえて、痛がるイーグル。
リナ(ふふ、やったわ。これが一番効くのよ)
俊介(あー、わかるなー。同情するよ。イーグル)
怒り狂ったイーグルはリナの胸元まで接近してきた。

イーグル「おのれー、こうしてくれる。」
両手をリナの腕から背中にまわして後ろで手をクラッチさせて締め上げる。
イーグル「ははは、俺の必殺技の一つイーグルクラッチだ。いままでこいつを抜けたものはいない。」
豪腕のイーグルはリナを抱えたままギリギリと締め上げる。
俊介(って言うか、ただのさば折りじゃないか)
リナ(そんなことどうでもいいじゃない)
そのまま、リナの華奢な身体ごと締め上げていく。特殊スーツで守られているとはいえそうとうな痛みだ。
リナ「きゃあー。」
ギリギリ力をいれていくイーグル。筋肉や骨がきしみだしてくるのがわかる。その衝撃と痛みに一時的に気絶してしまうリナ。
イーグルの手に矢が刺さる。リンダが援護で射出した矢がイーグルを捕らえる。リナを放す
リンダ「それまでだイーグル。私が相手だ。」
矢を腕から抜くイーグル。傷口から血が吹き出る。
イーグル「お、おのれ、ふざけた真似を、お前から血祭りにしてやる。」
リナ(俊介、俊介、しっかりして)
しかし、大ダメージを負って気絶したままでリナの呼びかけにも答えない。
リナ(身体のコントールをリナに切り替えれば、まだ動ける)
俊介が気絶した今、身体を動かせるのはリナだけだ。しかしリナはコンピュータの精神だ。実際に身体は俊介のため、動かすのはかなりのエネルギーを必要とする。
リナ(お願い、リナに力をかして)
エネルギー出力をあげてみることにする。
石に意識を集中させる。6つの石が光だす。俊介の身体を無理やり動かすのに全体のエネルギーの約30%を使っている。全出力の残り70%で起動する。
立ち上がるリナ。服を変化させる。鎧がブルーメタルカラーからエナメルブラックに変化する
黒と金の複合したラインで形成された。急激なエネルギー放出で火花が出ている。ちょうど俊介とリナが同化したときのように、周りの金属が変形しはじめる。
晴れていた空に黒雲がかかり、中心に乱気流の渦が形成し始める。普段は青い宝玉が赤に変化している。地面につき刺さった剣を引き抜く。剣を上下に一振りする。剣が変化する。ゆっくりとイーグルのもとに近寄る。リンダもしばらく交戦していたが、一瞬の隙をつかれ弾き飛ばされてしまう。リンダがリナの足元まで地面をなでるように飛ばされた。
リンダ「う、リナ、そ、その姿は」
リナ「ありがとう。ここからは私がやるから、リンダさんは休んでて。」
リンダ「悪い、そうさせてもらうよ。」
そのまま気絶するリンダ。他の兵隊も苦戦をしいられているようだ。
イーグル「なんだ、また姿を変えたってか。無駄だ、俺には勝てん。」
リナ「それはどうかしら。やってみないとわかんなくないかしら?」
イーグルは三度、マーダーキャノンを発射しようとする。
イーグル「これで最後だ。仲間ともども消えてなくなれ。」
リナ「無駄よ、リナには効かない。」
イーグル「能書きはあの世でほざくんだな。」
そのままリナにマーダーキャノンを発射する。
しかし、リナの身体に当たる前に光の盾のようなものにはじかれる。はじかれた光弾はそのまま空に消えていく。
それに驚いたのはイーグルだった。焦るイーグルにゆっくりと近づいていくリナ。恐怖を感じたのか近寄るリナに対して後退するイーグル。
リナ「あなただけは絶対に許さない。俊介を傷つけた罪は重いわ。」
イーグル「ふん、俺には関係ない。」
次第に追い詰められていくイーグル。逃げられない岩場の壁に背をつける。
リナ「もう逃げられないわね。覚悟なさい。」
イーグルは地面に突き刺さった斧を振りかざしてリナに斬りかかる。その攻撃を剣で受け止め上段にはじきとばす。そのまましゃがみの下段からイーグルの右腕を切り落とす。
イーグル「ぐわー、く、くっそー、覚えてろ。」
リナ「二度とリナの前に出てこないで。」
イーグルと山賊はそのまま渓谷に消えていった。鎧が普段のメイド服にもどる。空も黒雲がとれて日がさす。しかし、激しいエネルギーを消費してしまったためリナの髪がオーシャンブルーからエメラルドグリーンになっていた。
激しい戦いを終えたが、俊介もリナも相当ダメージを負っていた。そのまま倒れてしまった。
リナが目覚めたときはもう夜になっていた。宿営地にテントを設営されて、リナはそこに寝かされていた。
リナ(俊介、俊介・・)
俊介(う、あれ、俺どうなったんだ?)
リナ(イーグルにやられて気を失ってたんだよ)
俊介(そっか、俺、あのときイーグルに捕まって・・で、どうなったんだ?)
リナ(リナもわからない。でも、俊介が無事でよかった)
俊介(そっか、無様なとこ見せちゃったな)
リナ(ううん、俊介が無事ならそれでいい)
そこに、リンダが入ってくる。
リンダ「よ、やっと目が覚めたか。すごい大怪我を負ったのにもう、動けるのか。さすがだな。」
リナ「あのあと、どうなったんですか?イーグルは?」
リンダ「それが俺にもわからねえ。気がついたら奴らはいなくなってたし、リナも倒れてたんだ。」
リナ「そうなんですか。」

リンダ「そうだ。俺がイーグルに攻撃を受けてから気絶する前にリナを見たんだ。そのときのリナはなんかいつもと雰囲気が違ってた。なんていえばいいのかな。鎧の色が違ってたんだ。」
リナ「え?そうなんですか。私もよく覚えてなくて。」
俊介(どうゆうことなんだ。俺も覚えてないぞ。鎧が変化したなんて)
リナ(・・・)
立ち上がろうとしたが腕に力が入らないばかりか激痛がはしる。イーグルのさば折りで骨折していたのだ。
リンダ「お前の腕は骨折してたんだ。応急処置はしといたが無理はするな。今は休め。」
そのままリナを休ませることにする。
リナ「リンダさんありがとう。感謝してる。」
リンダ「よせよ、照れるじゃないか。」
少しの沈黙をはさむ。お互い次の言葉を捜している。
リンダ「さっき衛生兵から聞いたんだが、リナ。お前普通の身体じゃないみたいだな。」
リナ「え?どうゆうこと。」
俊介(バレたかな?)
リナ(どうかな)
リンダ「皮膚組織が俺たちとは違うなにかでできているらしい。リナ、お前いったい何者なんだ?」
リナ「リナ、私は普通の人間です。異世界の人間はみんなこうなんです。」
リナ(俊介の嘘つき、そんなわけないでしょ)
リンダ「そうなのか、そうだよな。俺たちだって、リナからみればかわったことしてるわけだし。」
俊介(ふーなんとかごまかせた)
リナ(もう、あとでどうなっても知らないよ)
リンダ「あの・・その、なんだ。」
リナ「なんです?」
リンダ「私さ、今夜はずっとリナの側にいて見張りしてるよ。敵、くるかもしれないし。」
リナ「そんな、私なら大丈夫ですからリンダさんがお休みになって。」
リンダ「いや、やらせてくれ。それと、私のことリンダでいいよ。私たちはもう友達なんだし。」
リナ「リンダさん・・」
リンダ「リンダでいいっていったろ。あのときももしリナがいなかったら、スラッシュは壊滅してただろうし、リナは命をかけて戦ってくれた。」
リナ「私もリンダの矢がなかったら、あのまま締め殺されてたかもしれないし。」
お互い傷をなめあう二人、次第にいい雰囲気になってくる。
リンダ「私、リナのこと好きだ。初めてキスしたときから。」
リナ「リンダ・・」
リンダはリナの身体の上によってきた。
リンダ「キスしていい?」
小さくうなずくリナ。ランプの炎をけして、リナとリンダの夜はふけていった。
一夜明けて出発することになった。リナの怪我も石の力でなんとか立てるくらいまでは回復した。
一行は35人になっていた。深い山間の小さな町にたどり着く。
男「俺たちの町になんか用ですか。そんな武器持って、用がないならさっさと出て行ってくれ。」
リンダ「私たちはこの町に危害を加えるつもりはない。聞きたい事があるのだ。」
男「聞きたい事?」
リンダ「私たちは訳あって遊牧民族のアスランを探しているのだが、彼らが今どこにいるか知りませんか?」
男「はて、アスラン?聞いた事もないですな。」
リンダ「そうか。で、もう一つ頼みがあるのだが、我々はここから西の果てより旅してきたのだ。兵糧も底をつき、部下たちも手負いの傷がある。補給と休養も含めてこの町で休ませてもらえないだろうか。」
男「見てのとおりこの町の人間はみな女子供ばかり、みな怖がっております。どうか別の町にしてもらえないでしょうか?」
リンダ「金は出す。頼む、一晩だけでいいんだ。」
男「わかりました。明日の朝には出て行ってくれますね?」
リンダ「わかった、約束しよう。」
町の宿屋には入れないため、少し町はずれにテントをはることになった。リナは食料の買出しに行くことになった。
リナ「み、みなさん、そんなにゾロゾロついてきたらみんな怖がってますよ。」
盗賊「いえ、私たちリナ様親衛隊は常にリナ様の側でリナ様の身を護る事が使命です。」
ある程度の買出しを済ませると、リナはこっそり親衛隊の目を盗み町外れにでるリナ。
俊介(ふーやっと抜け出してきたな)
リナ(そうね)
すると、物陰から誰かの気配を感じる。
リナ(俊介、だれかいる)
俊介(わかってる)
リナ「誰です?さっきから私についてきて、姿を見せて。」
すると、物陰から男が出てくる。その男には殺気のようなものを感じた。
男「やれやれ、バレてましたか。気配は消していたつもりでしたが。」
リナ「あなたは誰ですか?」
男「人の名を聞くときはまず自分から名乗るのが礼儀じゃないかな?」
リナ「そうね、私はリナっていいます。あなたは?」
男「僕かい?僕はロキって言うんだ。よろしくリナさん。」
ロキと名乗ったこの男。まるで女のようないでたちに加えてかなりの美形だ。
ロキ「リナさん、町を案内しましょう。」
リナ「お願いしますロキさん。」
そうしてリナとロキはしばらく一緒に町を観光する事にした。
ロキ「それにしてもリナさんはなんとも珍しい服を着ているんだね。」
リナ「私のいた世界では結構有名な服なんですよ。」
ロキ「私のいた世界とは?」
俊介(まずいな)
ロキ「それはどうゆう事なんですリナさん。よかったら僕にだけ教えてもらえませんか?」
リナ「ここでは、なにかとまずいので、人がいない所でお話します。」
リナとロキは町外れの小高い丘にきた。ここからは風景が綺麗で町が一望できるのだ。
木の幹に腰を下ろして話はじめる。
リナ「私は異世界からきたんです。そこで今のリーダーに出会ったの。」
ロキ「異世界、リナさんは異世界からきたんですか。」
リナ「国王の独裁を阻止すべく宝玉ドラゴンオーブを求めて旅をしてるのです。」
ロキ「ドラゴンオーブ?あの伝説の神器の一つドラゴンオーブですか?」
リナ「そうです。」
ロキの身体がブルブル震えはじめる。
リナ「大丈夫?ロキさん。」

ロキ「いえ、なんでもありません。異世界とドラゴンオーブ、そしてラグナロク、そこに現れた救世主ですか。なんとゆう運命のめぐりあわせなんだ。」
リナ「そうね。私もいきなりこの世界にきていろんなことありすぎて。」
ロキ「そうですか、大変ですね。」
リナ「ロキさんはこの町でなにをしているんですか?」
ロキ「僕はこの町で学校の教師をしております。」
リナ「ご両親と暮らしているのですか?」
ロキ「両親はいません。幼いころに・・」
リナ「ごめんなさい。」
ロキ「いえいえ、いいんですよ。」
ロキは立ち上がり丘からの絶景を眺めている。
ロキ「両親がいなくなって僕は親戚中をたらいまわしにされて、それでも教師になりたいってゆう夢があったので、一生懸命勉強してやっと教師になれたんです。」
リナ「それでは夢が叶ったんですね。」
ロキ「ええ、でもそれも今日で終わりにしようかと思います。」
リナ「なぜです?せっかく夢が叶ったのに。」
ロキ「オーディンのやり方は前々から好きではなかった。私は、政治はみなのためにあるべきだと悟りました。」
リナ「そのとおりです。正しき政治で国民を幸せにするのが国王の役割のはず。」
ロキ「オーディンはただ自分の私腹を肥やすために他国ともう何年も戦争をしています。でも戦争ではなにも変わらない。国民はどんどん苦しい立場におかれ今もこうして苦しんでいる。」 
しばらくなにも話さないまま二人は風景をぼんやり眺めていた。リナも俊介もロキの生い立ちを聞いてなにも言えずにいた。
リナ「教師を辞めて、これからどうするんですか?」
ロキ「旅にでようと思います。自分探しの旅。」
リナ「だったら、私たちといきませんか?」
ロキ「え?」
リナ「あ・・ごめんなさいでしゃばっちゃって。ロキさんにはロキさんの都合があるんですよね。」
ロキ「そうですね、今はついていくことはできません。世界で苦しんでいる人を助けるんです。」
リナ「そうですね。私は私でこれからがんばりますから、ロキさんもがんばってください。」
ロキ「なんか、初めてあった気がしませんね。」
すると、遠くから犬のようなものが鳴き声をあげてこっちにくる。ロキになついているのか、じゃれている。
リナ「ずいぶん、飼いならしてるんですね。ロキさんの飼い犬ですか?」
ロキ「ええ、こいつが、山で怪我してるところを僕が助けて。それから、ずっと僕と二人っきりで今まで暮らしてきたんです。」
しばらく、一緒にあそんでいた。その犬は、銀色の毛並みで、ときどき見せる歯には鋭い牙を覗かせる。
リナ「ロキさんこの犬の名前は?」
ロキ「ははは、こいつは犬じゃないんです。狼なんですよ。」
リナ「狼なんですか、どうりで牙がするどいのね。」
ロキ「こいつの名前はフェンリルっていいます。銀色の毛並みが綺麗でしょ。」
リナ「フェンリルちゃん、よろしく。」
なでてみる。するとフェンリルはしっぽを振ってリナの顔をなめる。そこにリンダがリナを呼びに来る。
リンダ「おーい、ここにいたか。おっと、お邪魔だったかな。」

リナ「いえ、そんなことは。で、どうしたんです?」
リンダ「食事の時間だ。あれ、この人は?」
リナ「ロキさんっていいます。こっちがフェンリルちゃん。ロキさん、私たちのリーダーのリンダさん。」
ロキ「よろしく、ロキです。」
リンダ「よろしく、リナみんなが待ってる。帰るぞ。」
リナ「じゃあ、私、キャンプに帰ります。またどこかで会えるといいですね。」
ロキ「そうですね。思ってればきっとあえますよ。」
リナは抱えていたバスケットから、パンを出して、フェンリルにあげると、フェンリルはおいしそうに食べる。
ロキ「ありがとうございます。きっとフェンリルも喜んでます。」
そのまま、リナはロキと別れ、スラッシュの宿営地にもどると、親衛隊がこっちにくる
親衛隊「リナ様、ひどいですよ。途中でいなくなるなんて。」
リナ「ごめんなさいね。ちょっと一人になりたくて、おわびに・・チュ」
リナは親衛隊の頬にキスしてあげた。あまりのうれしさに気絶してしまった。
リンダ「やっちゃった。リナも大胆なことするな。ま、いい、さ。飯だ。明日も早いからな。」

  第2章 終わり(第3章 につづく)