「移身」

作:ecvtさん & Tira




(第1話)

PiPiPiPiPi
――


「う〜ん……」


枕元に置いていた小さな目覚まし時計の電子音が耳に届く。
窓から太陽の光が差し込む部屋。
カーテンをしていないのでとても明るいが、それでも勇樹の目を覚ますには不十分だったようだ。
手を伸ばし、目覚まし時計のスイッチをOFFにする。


「ふあぁぁぁ〜」


まだ全然眠気が取れない勇樹は欠伸をしながら、ぼやける視界で目覚まし時計を見ると、デジタル表示が『9:29』から『9:30』になったところだった。


「……9時30分か……ん?9時30分〜っ!」


ハッとした表情でベッドから飛び起きる。
既に学校が始まっている時間だ。しかも1時限目は終わっている。


「くそ〜、しまった。目覚ましのタイマー、戻しておくの忘れたっ!」


昨日の日曜日は、ツレと一緒に映画を見に行くので9時30分にタイマーをセットしていたのだ。
それを7時30分にセットし直す事を忘れていた勇樹。
両親は勇樹が起きる前に家を出て行かなければならない仕事についているので、起こしてくれないのだ。


「あ〜あ。今から行っても……というか、もう行く気ないしな」


飛び起きてはみたものの、もう学校へ行く気になれなかった勇樹はボサボサになっている髪の毛を掻きながらベッドから出ると、

「ふああ。小便にでも行ってもう一眠りするかな」

と言って、部屋を出ようとした。

だが――


「あっ!」


勇樹自身、何が起こったのか分からなかった。
足元に転がっていたガラスのコップ。
そういえば昨日の夜にツレが来て、菓子を食べながらジュースを一緒に飲んだんだっけ。
すっかり忘れていた。
そのガラスのコップを踏んだ勇樹がズルッと足を滑らせて――


ゴンッ!


床に後頭部を思い切り打ち付けてしまったのだ。
痛いと叫ぶ瞬間さえなかった。いや、痛みを感じる暇さえなかったというべきか。

一瞬、天井が見えたかと思えば目の前が真っ暗になり――

勇樹は気を失ってしまったのだった。




(う……う〜ん)


どのくらい時間が経ったのだろうか?
勇樹はうめきながら目を覚ました。


(ああ、びっくりしたな。足元にコップが転がってたなんて。ん?)


後頭部を擦りながら起き上がった勇樹だったが、何となく違和感を感じる。


(あれ?)


起き上がったはずなのに、足元には自分の身体があるのだ。
しばらくその身体を見ていた勇樹。


(えっと……あれ?これって俺の身体だよな。どうしてここに寝たままなんだ?じゃあ俺は??)


そう言って、自分の身体を見てみる。
すると、なぜか裸で透けているのだ。


(えっ!?ええっ!?な、何だよこれっ。俺、裸になってるっ!ていうか、透けてるよっ!)


びっくりして後ずさりした勇樹だったが、それは後ずさりと言うよりも、むしろ後ろに飛んだという表現のほうが正しいかもしれない。
フッと足が浮いて、そのまま後ろに水平移動した感じだ。


(げっ!お、俺……宙に浮いてる……)


何が何だかさっぱり分からない。
しかし、これってもしかしてテレビで見たことのある――


(ゆ、幽体離脱ってやつか?これは)


しばらく考えてみる。
そして部屋の中を飛び回ったり、壁に頭をめり込ませてみたり。
今の勇樹は、明らかに生身の身体ではなかった。


(……やっぱり幽体離脱してるんだ。俺、魂が身体から抜け出ちゃったんだ……)


そう結論付けた勇樹。
誰もいない部屋。一人でうんうんと頷いている。


(そうか、じゃあテレビでやってた様な事が出来るかもしれないぞ。こんなチャンス、二度とないかもしれないからなっ。イシシシ)


妙にいやらしい笑い方をした勇樹は、スッと部屋の壁を通り抜けると、寮の外に出た。
そして、ふわふわと宙を浮きながら、学校へと飛んで行ったのだった――







(ええと、何処に行こうかな)

学校に着いた勇樹は、校舎の中をうろうろと漂っていた。
誰も勇樹の存在には気づかない。
それがまた面白い。


(あ、保健室か。ちょっと入ってみるかな)


そう呟くと、勇樹は保健室のドアをすり抜けて中に入った。
白い壁。そして2台のベッド。
その横にある机では、村上祥子(むらかみ しょうこ)先生が何やら書類を書いているところだった。
セミロングの黒い髪に白衣を纏っている。

(村上先生だ。相変わらずスレンダーな体つきだよな。へへ、早速試してみるとするか!)


勇樹は村上先生の周りをクルクル飛び回った後、背後に近づいた。
そしてそのまま座っている村上先生の背中、白衣の中に勢いよく飛び込んだのだ。


「夕方までにこの書類を間にあわせ……えっ!?あぁぁ」


次の瞬間、勇樹は村上先生の身体を乗っ取っていた。


「やったぁ!ホントに乗り移れるぜ!俺がスカートはいてるよ!いいのかなぁ……」


白衣を脱いで村上先生のスレンダーな身体を見た勇樹。
書きかけの書類を放りだし、ガニ股で、物珍しそうに自分のスカートをまくってみたり、シャツの中をのぞき込んだり、胸を揉んでみたりを始めるのだった。
その後、周りを気にしだし保健室のカーテンを全て閉めた。


「へへへ、すげぇよな。俺、ほんとに村上先生に乗り移ってるんだ」


そして部屋の隅に置いてあった縦長の鏡に自分の身体を映し出すと、


「ウッフーン、わたし、村上 祥子なのよ」

と言いながら、鏡に向かって色々と ポーズをとってみた。
ニヤニヤと笑いながら、しばらく鏡に映る姿を見ていた勇樹は、改めて白いブラウスに包まれた胸を揉み始めた。
ブラウスと、その中にあるブラジャーの生地が擦れ合い、カサカサと音を立てている。


「柔らけぇ……村上先生の胸、こんなに柔らかいんだ」


村上先生がいやらしい手つきで胸を揉んでいる姿が鏡に映っている。
そんな先生の姿を見て興奮した勇樹は、ゆっくりとブラウスのボタンを外し始めた。
勇樹がやりたいように、村上先生の手が、そして指が動く。

一つずつボタンを外し、黒いスカートに仕舞い込んでいたブラウスの裾を引っ張り出した勇樹。
すると、日焼けした村上先生のお腹が披露された。
水着はビキニをつけているのだろうか。
ちょうど肩紐のところだけ白くなっている。
そして、ブラジャーに包まれた胸の周囲に小麦色と肌色の境目が出来ていた。


「へぇ〜、村上先生って結構日焼けしてるんだ」


白いブラジャーがちょっとまぶしく見える。
そのブラジャーのフロントホックを外すと、プルンと震えた胸が露になった。
ブラジャーに包まれていたところだけが妙に白く見える。


「これが村上先生の胸かぁ。へ〜え……、あんなに痩せてるのに結構大きいんだな。直に揉むとすごく柔らかいや」


村上先生の手を使って、その柔らかい胸を揉む勇樹。
しばらく揉んでいると、乳首がプクッと膨れて硬くなってくる。


「あ、乳首が勃ってきた。どれどれ、あっ……すげぇ。乳首ってこんなに気持ちいいのか。あうっ!」


鏡を見ながら、両手の指で村上先生の乳首を摘んでみる。
すると、ビクッと身体が震えて全身に快感が走るのだ。


「うあっ!身体が自然に震えるよ。こうやって捏ね繰り回したら……はうっ、んううぅぅっ」


乳首を摘んで、引っ張ったり円を描いてみたり。
鏡に映る村上先生がいやらしい表情で勇樹を見ていた。


「はぁ……村上先生。すげぇ気持ちいいよ。乳首でこんなに気持ちがいいなら、こっちの方も……」


乳首を弄んでいた手が、スカートの裾を捲り上げてゆく。
パンストは穿いておらず、村上先生の生(なま)太ももが露わになり、ノッペリとした股間を覆っているピンク色のパンティが見え始めた。


「わ、ピンク色のパンティだ。それにしてもちっちゃいな」


刺繍などは入っておらず一枚300円くらいで売っていそうな、ごくごくシンプルなパンティ。
もちろん、勇樹に値段のことなんて分かるはずないのだが。
横に伸びているから余計に小さく見える。


「村上先生の……女の股間だよ。これって俺が自由に見てもいいんだよな」


村上先生の声でそう呟いた勇樹は、左手でスカートを捲ったまま、右手でパンティのゴムを引っ張ってみた。
その中を覗き込むようにしてみる勇樹。


「わ……縮れ毛がいっぱいだ」


モジャモジャとした黒い毛が生えている。
その毛に右手の指を滑り込ませてみると、中に割れ目があることが分かった。
その割れ目に指を食い込ませてみる。


「わわっ! な、何だよこれっ。ココ触ったらすげぇ身体が震えたっ!」


思わず叫んでしまった勇樹。
その後、保健室の中には村上先生のいやらしい吐息だけが聞こえていた。


「あっ、あうっ、はぁ〜。ココがすげぇ気持ちいい……はぁ、はぁ、うっ……はぁっ」


クチュ、クチュという音が聞こえ始める。
それは村上先生の身体が感じ始めている証拠だ。
そして、身体がいやらしい事をしたいと願っているのだ。


「うっ、はぁ、はぁ、あうっ……いっ……ああっ」


知らないうちに涎が垂れてくる。
なんていやらしい仕草だろう。
あの村上先生がこんな事しているなんて。
そう思いながら、村上先生の身体が放つ快感を楽しんでいた勇樹だが――





????(第1話)……おわり

第二話へ

あとがき

ecvt
さんが掲示板に書き込まれたストーリーに加筆して仕上げた作品。
もともと「必殺の薬」での展開のためにこんなのどうですか?という感じで書き込まれた内容ですが、それが非常に具体的であった事、そしてecvtさんの文章力を見て、ecvtさん独自の作品としてまとめたほうが面白いのではないかと思いました。
で、私が序盤と山場のところだけ加筆すると言うことで始まったのです。
この作品、結構長くなるかもしれませんね(^^

それでは最後まで読んでくださった皆様、ありがとうございました。
ecvt
さん&Tiraでした。