リターンでガールよ! 

 

第2話

「ただいま~!」

 大きな声をだしながら玄関のドアを開けて入っていく・・・・・・

「おかえり~ 香澄」

 ドアの奥のほうから母親らしき人の声が聞こえてきた

 この娘の母親を早くみたくなり、靴を脱ぎ廊下に上がった

 声がするほうへ進む香澄だが途中の居間のところで、弟の裕太が起きだして泣きだしてしまった

 「ほら~ 香澄 お姉ちゃんでしょ 裕太を静かにさせてちょうだい」

 「え~ なんか面倒だな~ やりたくないよぉ」

 「あらそう やりたくないならやらないでもいいわよ、そのかわり 当分おやつ抜きにするからね」

 「え? そっ そんなぁ そんなのってないよぉ ママ~!」

  あちゃ~、逆効果だったわね、騒がしいのが倍になっちゃったわよ

 「ウエェ・・・ ウヴェェェン・・・ ヒックヒック・・・」

 「ほらぁ もう泣かないの お姉ちゃんでしょ! まったくもうどうしようもないんだから・・・」

 「だって・・・ だってママは、香澄ばかり怒るんだもん」

 「そんなことはないわよ、もうここはいいから部屋に行っていなさい、あとでオヤツ持って行ってあげるから」

 「えっ! ほんと? わかった! じゃあ部屋に行って、かすみは着替えて待ってるねっ」

 そう言い終わると同時に、2階にある自分の部屋へ駆け上がって行った・・・

 「はぁ~ どうしてあの娘は演技が上手いんだろうなぁ これもTVで子役で出演しているせいかしらね」

 「あっ そうそう のんびり考え事している暇はないわ、裕太を寝かせなくちゃ・・・」

 

 タッタッタッタッ・・・・ ガチャ

「ふ~ やっと部屋に着いたわい」

 溜め息とともに幼稚園バックを投げ出して、ふと全身が写る大きな鏡に気づく・・・

 「ほほぅ 交換前にも見たが、この娘は幼稚園児だけあって小さくって可愛いのぅ・・・」

 「どれ 園児服を脱ぎながら、感覚を覚えていこうかな」

 トゥルルルル・・・ トゥルルルル・・・ トゥルルルル・・・

 あっ 電話が鳴っている

 「はい 青木です!」

 「もしもし~ あ お母さんですか? マネージャーの松本です」

 「どうも いつもお世話になっています」

 「いえいえこちらこそ 香澄ちゃん頑張ってもらって助かっていますよ」

 「あ そうそうお母さん、これから収録がありますので 香澄ちゃんを迎えに行きますので仕度のほうお願いします」

 「はい わかりました。よろしく おねがいします」

 「では、失礼します」

 さてと、香澄に準備させなきゃ

 「かすみ~ 松本さん、今から迎えにくるから準備しておくのよ!」

 準備? ああこの娘の記憶をたどっていくと、子役をやっておるのがわかってきたのぉ

 いきなり仕事をしてばれるんじゃないだろうな

 「はぁ~い わかった。着替え終わったら下に行くね~」

 まあ子役だし、無邪気さをだしておれば多少の失敗は大丈夫じゃろ。

 

 ピンポ~ン ピンポ~ン!

 「は~い」

 「あ 松本です。香澄ちゃんを迎えにきました」

 「いつもすみません。いま、香澄が降りてきますので少し待っていてくださいね」

 「はいはい」

 ダダダダッ・・・・ ドンッ!

 「あっ おくすりの松本さんだ!」

 「おいおい 香澄ちゃん、僕は薬屋さんじゃないってばぁ・・・」

 「え~ うっそだ~ まつもとって言ったら おくすりやさんじゃない」

 少し プーたれてみせている

 「もう 香澄ったら、ふざけてないで早くいきなさい」

 ビクッ!

 「う~ん じゃあ行こうか 松本のお兄ちゃん!」

 やれやれ・・・・

 「では お母さん、香澄ちゃん連れていきますので」

 「はい、香澄をよろしくお願いします」

パタン・・・ ガチャ!

 

 「ほら、香澄ちゃん。シートベルトするっ!」

 「はぁ~い」

 松本さんは、○○社製のマーチを発進させた・・・

 わしは、脳に記憶されている情報を取り出すのに必死だった。

 どうやら松本という男は、今年大学を卒業した新人らしい。

 この娘にとってはオジサンの部類に属するが、母親から お兄ちゃんと呼ぶよう言われている。

 たしかに大学を出たばかりで、幼稚園児から「おじさん」と呼ばれたら精神的ショックは大きいだろう。

 あれこれ考えているうちに、TV局に着いてしまった。

 「香澄ちゃん 着いたよ~」

 「わあ~ やっぱりTV局って、大きいねぇ~」

 「そりゃあそうでしょ、小さい家とかが入るスタジオとか、収録やそれを放送する設備がいっぱい入っているからね」

 「そっか~ そうだよね、でも TVカメラって どうしてTVに映ることができるのか不思議だよね」

 「ん~ よしっ! それじゃあ 収録が終わったら二人で質問しようか?」

 「うん そうしよう!」

 こうして二人は、話しながらTV局の受付を通り入っていった・・・・・ 

 

 第三話へ

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   2001年に作成された作品です。

 あるHPに掲載されていたんですが、仮掲載以外不可(笑)になりましたので、CD-ROMに入れっぱなしでした。

 この作品は、長期連載を目的に作成しています。

 番外編(未公開)も作成してますので、その作品は別の投稿先に掲載させていただきます。

 番外編も長いですよ。

投稿先は、ゆいゆい日記で案内します。