ナンチャッテあかずきんちゃん

 

 

 

 

 

 

 

 

 昔々ある所にルキアという名前の女の子がいました。けれども、彼女は村の人々から『あかずきんちゃん』と呼ばれていました。何故なら、ルキアちゃんはおばあさんからもらった赤い頭巾がお気に入りで、毎日のように身に着けていたからです。

何といってもこの頭巾、二本の長い耳がキュートなウサ耳仕様のチャッピー頭巾なものですから。ルキアちゃんは大好きなおばあさんがくれた大好きなチャッピー頭巾・・・もとい、赤頭巾のおかげでいつもご機嫌でした。

そして村人達はそんなルキアちゃんの可愛さにメロメロだったのです。

 

 

 

「あ〜、朽木・・・じゃなくて、あかずきんちゃん。ちょっといいかい?」

「はい!何でしょうか、お母さん。」

 

 そんなある日のことでした。家にいたルキアちゃんはお母さんに声をかけられました。ルキアちゃんのお母さんは白くて長い髪が素敵な優しそうな人です。ただ、ちょっと病弱で吐血してお布団やシーツをよく汚すのが玉に瑕ですが。ついでにそのせいで村のお医者さんである卯ノ花先生によく怒られていたりもしますが。

でも、とても良い人なんですよ。

そんなお母さんに話しかけられたルキアちゃん、ビシッと畏まってお返事をします。オプションは当然おでこにビシッと手を掲げた敬礼です。

 

「いや、そんなに緊張しなくても。一応、母と娘なのだから、もっと気さくな感じでいいと思うぞ。敬語も無しでいいんじゃないか?」

「ですが、浮竹隊長に対してそんな・・・。」

 

何だか二人とも冒頭から問題発言の連発ですね。そのあたりのことは銀河系より広い心で皆さん聞かなかったことにしておきましょう。

とにかくあの態度はきっとルキアちゃんがお母さんをとても尊敬しているからでしょう。いきなり話しかけられて緊張してしまったようです。けれどもお母さんは仲良し親子として、ハートフルかつフレンドリーな遣り取りを望んでいました。意志の疎通というのは親子間であっても難しいものですね。会話とふれあい、とても大事です。

――――――――――失礼、話がそれました。

 

「あかずきんちゃん、俺達は今、上司と部下じゃない。お母さんとその娘なんだ。だから遠慮はするな。そうだ!一緒にお菓子でも食べよう。あかずきんちゃんが好きな白玉もあるぞ?」

「い、いただきます!」

 

どこからともなく、お母さんが大量のお菓子を取り出しました。その中にはルキアちゃんの大好きな白玉餡蜜、白玉善哉、白玉フルーツポンチほか、もっちもち系のお菓子がいっぱいです。保存とかどうしてるんでしょうね。

恐る恐るお菓子に手を出したルキアちゃんですが、食べている内に自然と顔がほころんできたようです。それを見つめる浮竹隊長はお母さんというより孫を甘やかすおじいちゃんのようです。まあ、お父さんでもいいですけどね。

え?浮竹隊長の性別がアレですって??そんなのは関係ありません。パロディですから。例え父性に溢れるお母さんでも、細かいことはスルースルー。

 

「とにかく、あかずきんちゃんにお願いしたいことがあるんだが、いいかい?」

「な、な〜に?お母さん。」

 

お菓子タイムの効果があったのでしょうか。ややぎこちないですが、ルキアちゃんも上手くお返事できたようです。ヨカッタデスネー。

 

「森に住んでいる病気のおばあさんに届け物をしてほしいんだ。このバスケットの中に全部入っているから、途中でひっくり返さないように気を付け・・・ゴガハァ!?」

「キャー!血が!!お母さん、しっかり〜!?」

 

何かセリフの途中でお母さんが吐血してしまいましたが、まあいいでしょう。

正直おばあさんよりお母さんの体調の方が現状心配です。おばあさんのお見舞いよりもお母さんの看病の方が優先項目な感じです。

そんな訳で、ルキアちゃんは大急ぎで主治医の卯ノ花先生へ助けを求めに行きましたとさ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、お母さんを卯ノ花先生に預けたルキアちゃんは、おばあさんの家へお見舞いに行くことにしました。別におばあさんへの届け物がお母さんの遺言だと思ったからではありません。まだ生きてますから・・・多分。

敢えて理由をつけるなら、お母さんの用意したお見舞いの品に食べ物があったからというのはあります。こういう物は放っておくとすぐに悪くなってしまいますからね。

でも一番の理由は大好きなおばあさんに会いたいということでしょう。ルキアちゃんは赤頭巾をプレゼントしてくれたおばあさんが大好きですから。

 

「おや、あかずきんちゃんじゃないですか。こんな所でどうしたんですか〜?」

 

森へと向かう道をテクテクと歩いていたルキアちゃんは下駄帽子が何とも怪しい、村人の浦原さんに出会いました。

 

「何だ、浦原か。貴様こそ、どうした。」

「あたしッスか〜?あたしは夜一さんのミルクを買いに、隣村へ行った帰りッスよ。」

「そうか。私はこれからおばあさんの家へお見舞いに行くのだ。」

「おや、そうでしたか。森の奥にある家ですから、道中お気をつけて。オオカミが出るという噂もありますしね。」

「心配無用だ。私はそうヤワではない。」

 

浦原さんの忠告にルキアちゃんは強気な返事をしました。

何故ならプリティソゥキュートなルキアちゃんは、ああ見えて陸●圓明流張りの体術の持ち主なのです。その実力は、例えるならば、某天に立つ発言をした元ヨン様眼鏡のオールバックを倒した某死神代行を蹴倒すほどでした。

オオカミなんて返り討ちですよ、アッハッハー。

 

「まあ、貴様の話は助言としてありがたく受け取っておこう。夜一殿によろしくな。」

 

そう言って、颯爽と森へと姿を消したルキアちゃんの背中は非常に男前でした。それでいて赤頭巾のウサ耳がユラユラしているのはラブリーです。ある意味視覚的なツンデレと言えるのかもしれませんね。

 

 

 

 

 

 

 

続くのだピョン(チャッピー風に)

 

 

 

 

 

 

 

 

2011/10/31 UP