2013'0910

シングルコーン・スピーカ・システムでも、3chプレシジョン・システム同様に20Hz〜20kHzの可聴帯域全域で理想的な振幅特性と 良好なサインショット応答波形が得られるシングル・プレシジョン・システムだ。

シングル・プレシジョン・システム
20Hz〜20kHzの可聴帯域全域で理想的な振幅特性と位相特性を同時に実現するためにSSC-Xドライブするシングル・コーン・スピーカの 振幅特性を予めフラット化しておく。振幅偏差は38dBに及ぶMG100HR-S型スフェリカル・スピーカ・システムをフラット化するデバイスとして、ここではパラメトリック・イコライザを導入し ている。

 MG100HR-Sスフェリカル・スピーカ・システム

 

MG100HR-Sスフェリカル・スピーカ・システム振幅特性 

FBQ2496型パラメトリック・イコライザ
バンド幅を1/60〜10オターブ幅と細かく制御できるパラメトリック・イコライザとして20バンドのFBQ2496型をチョイスした。各バンド独立に20Hz〜20kHz、1/60オクターブ・ステップ と周波数も細かく、ゲイン設定も-25dB〜+15dBまで0.5dBステップと綿密に設定できる。

 

FBQ2496 バンドウィズ:1/60〜10オターブ、ゲイン-20dB,-10dB,+15dB

補正量
16バンドを使用して MG100HR-Sスフェリカル・スピーカ・システムをフラットにした設定だ。バンド1、2は周波数を20Hz同一として補償量を+27dBにした。

  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16
Freq(Hz) 20 20 299 685 1k 2.51k 3.99k 4.68k 4.68k 5.02k 5.26k 6.03k 10k 14.9k 16.4k 20k
Gain(dB) 12 15 1.5 -3 4 -2 1 -2 -1 3 -4.5 2 2 -12 7 -7
Bandwidth(oct) 2 5 1 1 0.33 3 0.10 0.11 0.25 2/60 1/60 0.33 1.5 0.5 0.14 0.2

補正特性
可聴帯域全域でフラットな±3dB以内に収まり、中域のサインショット応答波形も改善された。ところが帯域外特性が急峻に減衰するため特に低域 に見られるようにサインショット応答波形は大幅に乱れてしまう。入力の音楽信号通りにプロポーショナルな波形再現を目指すには振幅特性の改善だけでは不十分なことがあらためて分かる。

FBQ2496補正振幅特性 

 

FBQ2496補正サインショット応答波形 

 

FBQ2496補正位相特性(赤)

SSC-Xドライブ・コレクション設定
SSC-Xコレクションエリアを周波数レンジを10Hz-20kHz、グループデレイON、カット&ブースト±8dBとすることで、可聴帯域全域で良好なサインショット応答波形が得られる。

SSC-X コレクション

シングル・プレシジョン・システム総合特性
FBQ2496補正とSSC-X補正による総合特性だ。20Hz〜20kHzの可聴帯域全域で直線的で理想的な振幅特性と直線的な位相特性が同時に得られ ている。入力である音楽信号と同じ音響出力がスピーカから得られたわけだ。

プレシジョン・ドライブ・位相特性 (赤)

 

プレシジョン・ドライブ振幅特性

 

プレシジョン・ドライブ・サインショット応答波形

コンクルージョン
公称10cmの小口径シングルコーン型スピーカ・システムから可聴帯域全域で理想的でフラットな振幅特性と同時に良好なサインショット応答波形を得ることができた。可聴帯域下限の20Hzまで減衰無いレスポンスはライブ会場に居るような演奏会の雰囲気や熱気まで十分に再現してくれる。

とはいえ、 超低域に成分が豊富なパイプオルガンやコントラバス・マリンバ、パルシブな至近距離の花火などのチェック用ソースからそれなりの音量を得るのはさすがに苦しい。 ダイアフラムのストロークが稼げる口径の大きなスピーカ・ユニットを採用すればばこの問題が改善されるにちがいない。