腰 痛

 

〈腰痛の原因〉

 

私たちは両足にかかる負担を均等な荷重で歩行や走ったりしているわけではありません。必ずといってよいほど、左右の足で違った支え方をしています。どちらか一側は体の平衡を安定させていくために働き、反対側は効率よく動くための運動足として働きます。その足の機能が交互に両足に働くことによって足の筋肉は強化され、そしてその強化は筋肉の疲労を伴います。特に運動足として働いた足は疲労が増加されます。積み重ねにより慢性疲労のおこし、骨盤も疲労足に引き寄せられ転位や腰椎の歪みを生み出します。

また、人体は重力に対して正しい姿勢を保とうとするために、傾斜した骨盤から始まる背骨は垂直を保とうとします。しかし、背骨の下部である仙骨は腸骨と共に骨盤を形成しており、その結合部である仙腸関節はほとんど動きのとれないものなのです。そのため、仙骨も一体としての骨盤として一緒に傾きます。その傾きを補正するために、比較的動きのとれる腰椎が曲がることになります。これが脊柱の補正弯曲です。この補正はさらに上位で補正される場合もありますが、もっとも強調されるのが腰部です。つまり無理な姿勢の中心点が腰部となるため、腰部を支えている筋肉が強い負担を受けて疲労が増して、ついには腰椎間の連結を正しく保てなくなります。このような経過を得て、腰痛へとなります。

 

 

 

〈現代の腰痛〉

 

腰痛は誰でもなる症状です。腰痛の中でも最もよく起こるのが「腰痛症」と言われるタイプです。

現代はデスクワークなどで長時間すわり仕事をする人などに多く、お尻の筋肉の緊張と疲労が積み重なって起こると考えられます。

特に長時間すわり同じ姿勢でとり続けるために背骨の筋肉の緊張と坐骨結節の緊張によって腰の筋肉がかたくこわばっているために起こします。

 

 

 

〈現代のギックリ腰〉

 

以前は慢性的な腰の疲労に加わり寒い環境にいることが続いたため体が冷えて起こる『環境』よる起因が多かったのですが、現代は、もちろん前記の起因もありますが、精神的なストレスによる心身の過緊張と過労のストレス発散のための暴飲暴食の繰り返しで体重増加による腰の負担など『ストレス』が原因でギックリ腰を引き起こす方が多いと実感します。

このような方は入浴をして体が温まったり、まとまった休みができ休養をして心身の過緊張が急激に緩んだためにギックリ腰を起こしています。これは身体が「身体を休めなさい。でないともっと悪くなりますよ。」と痛みとして知らせてくれているのかもしれません。

 

 

 

<背骨の負担で起こす腰痛>

 

脊椎分離症

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『脊椎分離症』とは、脊椎の上関節突起と下関節突起の間で分離してしまっている状態を言います。レントゲンを撮るとこの骨の部分が切れているように映ります。分離が最も起こりやすいのは第5腰椎で、次に第4腰椎が続きます。

しかし、分離ある人がすべて腰痛を起こすわけではなく、自覚症状を全く訴えない人もいます。

原因として以前はこの切れ目は先天的な異常と考えられていましたが、現在ではストレスが重なって疲労骨折を起こしたためという説が有力です。

特に成長期に激しいスポーツをした人に多く10代から痛みがあらわれます。


脊椎すべり症

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『脊椎すべり症』は分離した脊椎が前方にずれた状態を言います。すべりの程度がひどいと下肢に放散痛やしびれなどが起こります。また、脊椎の関節突起に分離がないのに脊椎がすべっている状態の『脊椎偽性すべり症』もあります。分離のあるすべり症が第5腰椎に対し、『脊椎偽性すべり症』は第4腰椎に多く起こります。

50〜60代の女性に多く出て、腹筋の弱い人や太っている人にも多く出てきます。

すべり症は、下肢の疲労と緊張からくる硬化によって腰に負担をかけ、骨盤と椎骨を力学的作用で引き、すべり症へと起こすので下半身の緊張と硬化をとることでやわらぐこともあります。

整体で行えるのは、主に『脊椎すべり症・偽性すべり症』で、脊椎が前方にずれている状態の施術が中心になります。

 

 

 

〈内臓の病気よって起こる腰痛〉

内臓の病気が原因で腰痛をおこすこともあります。内臓からくる腰痛は、安静時も痛むのが特徴です。

 

腎臓病おこる腰痛

重苦しい腰痛とともに、尿の出が悪くなり、排尿時に痛みがあれば、膀胱炎や腎盂炎の疑いがあります。

 

結石による腰痛

腎盂結石や尿路結石は、血尿と腰の片側の激痛を伴うのが特徴です。痛みは冷や汗をかくほど激しく痛みます。

妊娠中の女性でトイレを行かないようにするために水分をあまり取らなかったために腎結石が原因による腰痛を引き起こした女性が来店したことがありました。水分をしっかり補給しましょう。

 

肝臓病でおこる腰痛

慢性肝炎は、初期にははっきりした症状がなく進行しますが、背中から腰にかけて筋肉が硬くなり、鈍い痛みを起こすこともあります。

 

婦人病でおこる腰痛

子宮や卵巣、卵管などの病気でも腰に関連痛がおこります。妊娠中は、そり腰のために腰痛もおきやすくなります。このほかに、胃腸に病気、特に胃炎で腰部の筋肉が硬くなり、腰痛をおこすときもあります。このような場合は専門医の受診を優先して下さい。

 

 

 

〈対処法〉

この予防法は、外見上は運動していないように見えるが、長時間、持続的に、ある特定の姿勢を保持することで支持運動が骨盤にかかり腰部の筋肉に負担を受け、疲労が積み重なっておこる腰痛を指します。例えば、椅子での座位姿勢や立位姿勢が長時間続いたために、腰に痛みはないがだるさや重みを感じている場合です。

あくまでも対処法であって根本治療ではありませんのでご注意ください。

 

@ 軽く叩いてほぐす

お尻と股関節周りそしてふとももの外側を軽く、まんべんなく叩いてほぐして下さい。叩いてほぐすことで上半身の荷重によっておこった骨盤周辺の筋肉の疲労を緩和します。

 

A 温めて血行をよくし筋肉の緊張を和らげる

カイロを貼って殿筋の緊張と血行不良を無くすことで神経性の筋肉の緊張を緩和させます。下記の図のように市販のカイロを貼ってみてはいかがでしょうか。是非お試し下さい。

 

(1)骨盤全体を温める

image 骨盤の中央にある仙骨の位置に一枚を貼り温めることでことで骨盤全体の血行をよくし緊張を緩和させます。

(2)お尻から太ももの外側が冷えて痛む場合

imageお尻から大腿部の外側にだるさや痛みを感じる場合、坐骨結節部周辺の筋肉が過緊張起こしている可能があるかもしれないので、左横図のようにちょうどお尻のえくぼができる位置にカイロを貼り温めてください。

(3)腰全体が重だるい

image腰全体が重くだるいという方は、左右腰の真ん中の辺りに一枚ずつ貼ってください。温めることで腰椎筋群の緊張が緩和されていきます。その辺りには鍼灸で腰痛治療によく活用されているツボがたくさんあり、腰が冷えて重だるさを感じる方には効果があると思います。

 

 

 

〈ギックリ腰を起こした場合〉

まずは安静にして体を休めること。

痛めた直後は炎症を起こしているかもしれませんので冷湿布などで患部を冷やしたほうが良いかもしれません。

痛みがひいてくればカイロなどを貼り温める。

ギックリ腰を起こすたびにコルセットを巻いてその場を凌ぐ方をいらっしゃいます。腸骨上と腰椎をギュッと縛るように固定されています。このような巻き方では、固定してしまうことで骨盤と腰椎の動きが制限され、腸腰筋を拘縮させ柔軟性を低下させていきます。そのような方ほど、癖のように事あることでギックリ腰を起こしているようです。

 

imageコルセットを巻く場合は骨盤を安定させ、筋肉の動きを制限させないように下図のような巻き方が良いのではと私は考えています。

股関節大転子の上に位置し、下腹部を覆うように巻く。

コルセット自体は悪いわけではないし、巻くことで安心感が得られるのであれば、それはそれで良いのかもしれません。

 

 

〈施術を受ける目安〉

いつも腰に重みや痛みを感じ、起床や歩行時でもつらい時は調整が必要と思われます。