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肩の痛み、四十肩/五十肩

 

肩の痛み、四十肩/五十肩の正式な病名は『肩関節周囲炎』と呼び、肩関節を構成する骨、関節包、腱が一種の炎症を起こした状態です。老化現象によるものと考えられています。


一般的には、

@ 腕が上がらない

A 腕が後ろに回らない

B 肩の付け根に痛み、激痛がある

B 寝ていても肩が痛んで眠れない


といった症状を起こし、症状が合併して起こるケースが大半です。また、痛みだけでなく手指にかけてしびれ感を伴うこともあります。

 

 

肩の痛み、四十肩/五十肩を引き起こすメカニズム

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@ 肩甲骨の転位

肩甲骨は肩関節と協調して動き、それによって腕がスムーズに動きます。体勢のゆがみ、腕の疲労・過緊張によって肩甲骨が転位、特に内転位をすると肩甲骨周辺の筋群の拘縮と肩関節が内側に引き寄せられ肩周りの筋肉、腱が拘縮することで肩甲骨と肩関節の柔軟性と可動域が低下され腕の動きが悪くなります。

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A カフ筋(肩腱板)の拘縮

カフ筋(肩腱板)は肩甲骨上腕関節の周囲組織のことで腕の中心的働きをする棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋の4つの筋肉で構成され、肩甲骨と上腕骨をガッチリとつなぎ合わせ腕を自由に動かせるようにしています。

このカフ筋が、筋肉の緊張、カフ筋の圧力、カフ筋の血行不足などで硬く、もろくなると考えられます。

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B 上肢帯筋群の拘縮

上肢帯は、上腕骨以下の自由上肢骨を体幹の骨に結びつける帯の役目をする骨の総称で、鎖骨と肩甲骨とからなります。上肢と体幹を取り巻く筋肉が、上肢の運動によって上肢関節と筋肉と靱帯の緊張と拘縮に連鎖し肩関節にゆがみを作り、カフ筋をさらに硬直させることになります。

 

肩に痛み、四十肩/五十肩を訴えられるお客様の肩の状態を観察すると、肩関節が上に引き上げられ、腕が内側へ緊張が続いていることで肘が後方へ、上腕骨頭が前方へと力の作用で転位し肩甲骨、肩関節を拘縮させています。

 

このような状態が慢性化されることで、肩の痛みや四十肩/五十肩を起こすと考えられます。

 

 

肩の痛み、四十肩/五十肩を起こす要因

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*体のバランスの崩れ

体全体の左右のバランスの崩れから引き起こします。まずは体のバランスの崩れから始まっていくと考えてよいでしょう。

身体の重心の変異によって骨盤の転位が始まり、その影響で体勢のゆがみが起こり、肩甲骨、肩関節へとゆがみが移動することで起こります。

 

*運動性疲労

野球、水泳など腕をよく使う運動で筋疲労によって肩甲骨が転位と拘縮を起こしているために肩に痛みをおこします。

またテニス、バトミントンのようにラケットを振るスポーツでも軸足の大きな負担が加わることで骨盤が安定せずに肩に負担が波及し、腕の運動疲労も重なって痛みがおこります。

 

*肩の血行不良

寒冷によって肩の血流が悪くなり、血行不良を起こしたために肩関節の腱が拘縮し痛みがおこることがあります。

 

*運動不足

腕・肩の運動不足による筋肉と腱の拘縮で起こります。現代は業務で長時間のパソコン作業をすることが当たり前で軽微な動きでキーボードやマウスを操作し続けることで腕・肩を常に緊張させた状態にし、腕・肩を大きく運動させることが少なくなっています。腕・肩全体が過緊張に陥り、冷えによる血行不良で肩関節を拘縮させてしまっている人が多く見受けられます。

 

*顎関節のゆがみ

顎の関節のゆがみや顎の食いしばりによる緊張、噛み合わせの不具合から首が横に傾き、首の筋肉の収縮によって肩の関節が引き上げられることで肩に痛みが発生することがあります。この場合、肩と同時に顎のゆがみを解消させることで肩の負荷が軽減され、徐々に改善に至るケースがあります。

 

*腱の断裂

肩の酷使によって『腱板断裂』を起こしている場合があります。『腱板断裂』は老化による腱板の断裂で、右肩によく発生することが多いようです。四十肩/五十肩と違うところは運動痛はありますが挙上運動ができることです。原因ははっきりとわからないようですが、おそらくは肩の酷使から疲労の蓄積、血流障害による腱の拘縮、または体質的に腱の繊維が細く、筋力が弱いことが原因ではと考えられます。

肩の酷使と説明していますが、必ずしも激しい運動を続けたためだけで起きるわけではなく、例えば配膳の仕事をされる女性が長年の静止性の軽微な労働疲労の蓄積によって肩に負荷がかかり続けたことで腱の断裂に至った例があります。

いつも痛みが続いているのであれば、病院でMRI検査を受け専門医の診断うけることをお勧めします。診断によっては手術をすることになります。

 

*その他

横向きで就寝し腕を床に圧迫し続けたために肘と肩鎖関節を強ばらせることで肩の筋肉を硬くさせ慢性化し痛みをおこす場合もあります。その場合は頭も下がっているので、さらに肩の圧迫が強まっています。横向きに寝た際に頭が平衡になるくらいの高さの枕で寝て、肩と肘の負担を和らげることです。

 

 

対処・予防法

痛みが強いからと安静にしすぎると肩の筋肉と腱を拘縮させ反って悪くさせます。肩を温め、痛みが我慢できる範囲で腕を前後へ振るなどの簡単な運動をして肩の筋肉と腱を和らげていくほうがよいでしょう。

 

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また、肩の緊張をやわらげる方法として、軟式テニスボールなどの柔らかめのボールを用意し、ボールを脇で絞るをように挟んで下さい。

腕と肋骨の間隔を広げることで肩周辺と脇の筋群の緊張をやわらげ解消することができます。肩こり解消にも効果があります。

 

長時間のパソコン作業など労働で腕を酷使される方は、上記の予防法を行ったり、マッサージクリームを利用し肩、肘、脇をベタベタ感が無くなるくらい擦り込み揉みほぐし、腕全体を大きく回し運動させて、その日の肩のこわばりを解消し予防をして下さい。

 

 

体のバランスを正し、ゆがみを解消させることが治癒へのカギ

 

肩の痛み、四十肩/五十肩の特徴の一つとして片側に痛みが発生し痛みが無くなり治ったと思えば、次第に反対側にも同様に痛みを発生させてしまうことです。これは片側の肩のゆがみと拘縮を体のバランスをさらに崩したために肩にかかる負担を反対側に移動させただけのことです。治癒には至っていません。改善するどころか、さらに悪くなっていると考えたほうが良いでしょう。


肩甲骨、肩関節だけみるのではく、バランスの崩れからくる体の全体のゆがみと筋肉も拘縮を解消させ、体を正すことが改善へのカギだと思います。


どのお客様もそうなのですが、何回か施術を受け、ある一定の期間があいて、いつの間にか「肩が痛くなくなり動くようになりました」とお聞きすることが多いです。