日本でCBXというとCBX400Fのことを指す。 125から750までのラインナップがあるのだ が、免許制度もあり主力はこの中型だった。 だが海外でCBXとはCBX1000のことだ。見 ただけで圧倒されるその並列6気筒エンジン は、まさに次に来るものなしの究極のXにふ さわしかった。 一方日本のCBXは、4気筒ツインカムエンジ ン、モノサス、前後インボードディスクブレ ーキ、と先進的な新機能を満載して登場した ものの、コンパクトな車体と明るいカラーリ ング、それと曲線的デザインからくる柔らか さも手伝って、それは「きれいな」バイクで あった。クロスしたエキゾーストパイプは 造形美の極みとも言えた。私の記憶に残るの は、エンジンが回転を高めるにつれて、エキ ゾーストノートが、重低音から「クオーン」 というミュージックに変わるときの心地よさ だ。 CBXはその後、CBR400F、CBR400R、CB-1、 CB400と、後継機種が続いたが、Xを冠する モデルは出ていない。その意味ではCBXはひ とつの究極ではあったのだろう。Xの次に来 るものは、はたして生まれてくるのか。それ とも、Xはすでに一人ひとりのライダーのも のになっているのか。私のXは、記憶の中で、 ある旋律と重なってよみがえる。 タイヤ鳴らして 走りすぎるバイクの音 なつかしい 時の流れは 照れ臭いよね 胸がせつなく鳴った ( I'm here 小比類巻かほる)