回想のCBナナハン (00.6.10)


限定解除しても大型バイクを買わないでいた私だが、公道を大型バイクで走った経験もないままではなんだからという、いささかセコイ動機で、中古で買ったCB750Fに少し乗っていたことがある。動きさえすればいいからと、できるだけ安い掘り出し物をバイクショップにお願いしたものだ。

CB750Fは限定解除試験で合格したときに当たったバイク。いかにもナナハンの代名詞のようなバイクだが、重いし、大きいし、しかもすでに新車で買うことも出来ないモデルだから、とくに欲しいとは思わなかった。だが試験で合格したせいもあり、愛着というか因縁を感じてしまった。まあ、久しく乗らないでいたナナハンの公道練習用なんだから中古でいいや。ナカガワで乗っていたバイクもみなポンコツだったし。とにかく動きさえすれば、どんなバイクでも乗りこなす自信もあった。

十年ぶりに跨がった大型バイクだが、走り出したらすぐに感覚が戻ってきた。バイクのパワーが今さらながら400と違うことに驚く。アクセルをちょっとひねるだけなのに、スピードメーターはくるりと回って80kmを越えてしまう。60の読み違いではないか、とメーターを思わず見直したものだ。体感速度と、加速度感がさすが750ccだ、中型の比ではない。考えたら、府中試験場では60km以上は出しようがなかった。

ポンコツナナハンだけあって、不具合もずいぶんとあった。とくにエンジンのかかりが悪く、よくバッテリーが上がってしまい、押しがけで大変な思いをした。とくに気温の低い季節は汗だくになった。動き出したらその重さを感じさせないが、240kgもの重量は支えるのも気を抜けない。

なんとか走ってくれたから、「おれのところに来て良かったね」と言い聞かせながら近場を乗り回していた。それがある日、甲州街道の新宿駅南口の信号で停止したときに、エンジンが前触れ無く止まって動かなくなった。急いで歩道まで押して退避した。ジェネレーターが発電していなかったようで、バッテリーがすっかり上がっていた。街中で、しかも停止時で良かった。走行中なら危ないところだった。ツーリング先だったらどうしようもない。もう寿命でこれまで、と判断して廃車にした。

いつもは新車で購入してエンジンの慣らしも必ず行うので、自分のバイクはほんのちょっとした調子の変化も、生き物のように感じることができた。とくにCBXは毎日乗っていたせいもあって、天候による気圧の違いでエンジンの調子が微妙に異なるのが分かったものだ。そう思うと、やはり中古でも古すぎるモデルはツーリングには怖くて使えない。

今では大型の免許を取得すると、ナナハンではなくて、いきなりリッターマシンに乗るライダーが多いことだろう。そもそも750はモデルが少ないので選択に幅がない。オーバーナナハンも、重量は以前のナナハンと変わらないこともあるのだろう。パワーは大きいほうがそれはらくちんではあるが、私には1000でも750でも、あるいは600でもいいから、200kgを切るモデルがジャストフィットだ。保管場所さえできれば、HONDAのFireStormが欲しいな、と思うこの頃。それはいつのことやら。それまで公道教習車の訓練成果が維持されているだろうか。







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