高速二人乗り解禁を機にバイク保険を考える (05.3.27)


高速道路を走っていると、4月1日から二輪の高速二人乗りが解禁になるとの告知があちこちに見られます。バイク雑誌なども、あらためて二人乗りのマナーやテクニックについて特集を組んでいます。これを機会に、タンデムで遠出する機会が増えて、バイクの楽しみ方が広がることを喜ぶとともに、高速に限らず、二人乗りライディングの安全とリスクについても、同時に理解が広まることも期待したいところです。

というのも、高速の二人乗り解禁によって、いままで二人乗りすることのなかったライダーでも、だれかを後ろに乗せて、高速を使って遠出することがあろうかと思います。それは、なにも高速だけの話ではなくて、高速に入るには、また高速から降りて目的地に着くためには、当然一般道もタンデムで走行することになります。

ですので、二人乗りは高速だけの問題ではなくて、一般道を含めて、ライダーに自覚と技量を突きつけるものでもあります。とくに、現在自動二輪の販売で主流になっている大型スクーターは、もともと二人乗りを考慮した設計になっています。

これまで高速道路での二人乗りについては、それが安全か危険かの議論ばかりが目立っていました。法律を制定する側からすればそれももっともなことで、これまで見直しもされずに一方的に危険のらく印が押されてきただけの話です。解禁されたこと自体は、誤った規制が是正されたと見ることが妥当でしょう。

けれど、それは同時に、これまでライダーが真剣に考えてこなかったことにも、目を向けさせることになります。それはバイクの任意保険です。

「損害保険料算出機構」の2003年3月末統計によると、125cc超の自動二輪車の保有台数は約307万台。そのうち任意保険で対人賠償保険に加入しているのが35.8%、搭乗者傷害保険の加入率は32.9%とあります。四輪の加入率が75%超といいますので、バイクの保険普及率がいかに低いか分かります。

これは、おもにバイクの乗り手が若年層であること、あくまで趣味の乗り物なのでたまにしか乗らないこと、バイク取得金額に比べて保険料が高いこと、加えて、自分の腕を過信しがちであることが理由と思われますが、一人で乗るからには全責任は自分で、という割り切りもあるやも知れません。

危険回避能力の高いバイクですが、それでも、相手に過失のある場合は防ぎきれない「貰い事故」もありえます。自分ひとりならという割り切りでこれまで来たライダーも、いやしくもタンデムシートに人を乗せるからには、不測の事態には自分も含めて、同乗者を守らないとなりません。搭乗者傷害保険はそのためにあります。

保険についてはこれまでバイク雑誌で取り上げられることが限られていました。どちらかというと「保険に入っておこう」式のアドバイスにとどまりがちです。そのために、ライダーにとっても保険とその内容についてあまり知られていないようです。強制保険とも呼ばれる自賠責保険が対人賠償だけを目的としたものであって、しかもその最高額が4000万円と、高額賠償が普通となった現在では小さすぎる補償額であることが、いったいどれだけ知られていることでしょう。

ひとつには、保険というと、保険会社を選んで申し込みするだけのことと思われているので、たとえば盗難対策なら自分で工夫して、みずから納得の行く対策をとれるのに、保険となると保険会社のメニューを選択するだけの、どこか受け身の、保険会社任せの印象があるのも事実です。高速二人乗り解禁を契機に、同乗者を守るとはどういうことか、その議論の延長に保険も加えて欲しいものです。

いまでは、インターネットで検索すると保険会社ごとに保険料率を計算できますので、保険内容と料率を比べることも簡単です。また通常の保険会社ばかりでなく、営利を目的としない全労災のマイカー共済にもバイク保険がありますので、合わせて検討されるといいでしょう。ちなみに私は二輪も四輪も全労災を利用しています。

私自身はずっと無事故で来ているので、CBXを盗まれた時点では保険の割引率も最大で、負担も小さいものでしたが、盗難されてからはいつ再び自動二輪に跨がれるか見通しも無かったので、解約してしまいました。今回ナナハンでライダーに復帰するにあたり、またあらたに6等級から始めることになります。でもブーツは20年前の愛用のクシタニのまま。私にとってはこのブーツがいつも安心してライディングに集中させてくれる「保険」の一部でもありました。



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