ツアラーのパニアケース (05.9.24)


旅行に出るときにまず必要となるのが旅行かばんで、それが日帰りや1泊の旅なら肩に かけるバックや、大きめのザックで済ますことができるでしょう。飛行機を使う場合なら ハードカバーのスーツケースというところでしょうか。最近は国内旅行でも、キャスター 付きで機内にも持ち込めるコンパクトなスーツケースが用途を広げているようです。

バイクでツーリングに出ようというときも、まず問題になるのが、どうやって荷物を 積むか、ということでしょう。ツアラーと呼ばれるタイプ、とくに一日に何百キロも 移動することが当たり前のヨーロッパのメーカーのバイクは、最初からキャリアケース が装着されていたり、またオプションでいろんなケースが選べるようになって います。ハーレーなどは革製のサドルバックが似合うのは、馬に見立てているせい でしょう。

語源は分かりませんが、樹脂製のハードのキャリアケースをパニアケースと総称して います。防水性能があり、カギがかかり、外したいときもキーで簡単に脱着できるように なっています。両サイドに大きく張り出しているものが普通ですが、幅が小さいタイプは シティケースとも呼んでいます。

私が中古で購入したK75Sには、このシティーケースが付いていました。そのときは、 とくべつ有り難いと思わなかったのですが、使い出すとこれがまた便利なすぐれ物。いままで ザックをロープで後部シートにくくり付けていたのがいかに面倒くさいことだった のか、あらためて思い知ることになりました。

ケースが横に張り出すことに抵抗があるのは、もちろん見た目の問題もあるでしょうが、 すり抜けに邪魔になると思われるせいでもあるでしょう。その点、この薄型のシティ ケースはハンドル幅よりも出ていないのですり抜けも違和感なし。温泉に入るための タオルや着替えはもとより、雨具や防寒着も余裕で収納できます。

初めはちょっと奇異な感じがしたパニアケースですが、いまでは、すっかり見慣れて 使い慣れたせいか、同じモデルを写真で見るとき、パニアケースが付いていないと、なにかが 欠けているかのようなアンバランスを感じてしまいます。それはきっと、バイクのそもそもの 設計コンセプトがパニアケースを取り付けることを前提にしており、またケースそのものも バイクに似合うようデザインされていることに起因しているのでしょう。

そう考えて、あらためてバイクのカタログ雑誌を眺めると、日本製のバイクは その後部の処理をテールカウルとマフラーだけに任せて、前部のエンジン、フェアリング、タンク ほどにデザインの自由度がなかったことに気づきます。ゴールドウイングや輸出モデルの STX1300 パンヨーロピアンなどはツアラーモデルとしてパニアケースが一体化したデザイン がされていますが、日本製バイクはいったいに「スポーツ性」を出すことに注力する あまり、「ツーリングモデル」を謳うことが少ないのが事実です。

でも、現在売れている大型スクーターはなぜ人気かというと、その大きな収容スペース も理由の一つと思っています。それは原付きバイクにメットインが標準になって いることからも想像できます。

だから、つぎのバイクのデザインの可能性はパニアケース、または収納スペースに あると思っています。

これまでデザイン上の工夫に乏しかったリアまわりに、うまくマッチするような マフラーとパニアケースにデザインの新領域があることに、デザイナーが気づいてくれる ことを期待しましょう。バイクと一体化するもよし、オプションとしていろんな サイズのケースがサードパーティから選べるようにするもよし。

ちょうど一つのモデルに、フェアリングありとネイキッドタイプがあるように、 パニアケースありのツアラーモデルと、ケースなしのモデルを揃えることもあながち 現実味のないことではありません。そのときは、パニアケースのない「ネイキッド」 モデルは、なにか「あるべきものが付いていない」という、奇異な目で見られてしまう ことになるかも知れません。



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