コーヒーブレーク 「耳をすませば」(99.6.26 / 追記 00.5.5)


いい年してアニメもないだろう、という気分も少しはありましたね。私、あまりアニメを見る習慣がなかったんですよ。映画館で見たディズニーアニメはいくつかあるけど、それでも、ひとりで見ていると場違いみたいな気がしてね。おれはアニメマニアじゃねえんだぞ、って顔してチケットを渡したりして。ばかだね。

宮崎駿の作品も、特別思い入れがなかった。ナウシカもそんなに面白いとも思わなかったし。あっ、ナウシカファンの皆さん、ごめんなさい。

それが先日、「耳をすませば」というタイトルの宮崎アニメが、私の住んでいる聖蹟桜ヶ丘を舞台にしているというので、どんなものか、ビデオを借りてきて見たんですよ。そしたら、冒頭からそれと分かってしまう馴染みの風景が出てくるじゃないですか。私が毎日通る駅の階段もそのままで、とてもリアル。特別美化されていないし、違和感もない。

それだけなら、どうってことないんだけど、意外なことにこの作品、傑作でした。あくまで、私の個人的好みで言っております、はい。引き込まれてしまいました。自分の生き方、可能性を捜して、悩み、自分を問い直す、そんなごく普通の女子中学生が主人公ですが、細部にこだわった描写にアニメーターの意気を感じるし、背景の音楽が効果的だし、さらに、声優さんたちの「演技」がまたすばらしい。アニメにこんな表現力があることを知らないでいました。

それがきっかけで、一連の宮崎アニメ、というより、スタジオジブリ作品、と言ったほうがいいのかな、のビデオを借りてみることになりました。「おもひでぽろぽろ」なんて、ちょっとカウンターに持っていくのが恥ずかしいタイトルだったけど、これもよくできているじゃないですか。

この面白さって、アニメーションとしての面白さと言うより、脚本の良さと監督の想像力の魅力だと思うんですよ。子供よりも、大人のファンが多いんじゃないかしら。私のカンでは、原作者または脚本、監督の人たちと私が同じ世代で、なにか共通のものがあるような気がする。

そう思うと、マンガの立ち読みみたいには、ジブリアニメを見れなくなる。「魔女の宅急便」も初めて通して見たけど、ただホウキに跨がって空を飛ぶ少女のお話ではなくて、「耳すま」とテーマが重なるものがあるし。そうそう、刀がバイクデザインのヒントになるんだから、ホウキから新しいバイクデザインが生まれる...わけないか。でも、あのホウキに跨がって旅立つ少女の姿は、上京した若い頃や、初めてツーリングにひとり出かけた時のときめきを思い起こさせるね。





追記:The Rose(00.5.5)

「おもひでぽろぽろ」のエンディングでThe Roseを使ったのは、ベット・ミドラー主演の同名の映画の完全なパクリですが、都はるみが日本語歌詞で歌っていたので、そのことに気づかない人もいたのではないでしょうか。私は「The Rose」のこのエンディングの曲が好きで、ベット・ミドラーのCDも持っていたせいもあり、アニメの終わりでこの曲のピアノ前奏が鳴りだしたときは、まさか、と思ったほどでした。

あれから1年経って思い返すと、折角の訳詩で歌われたThe Rose の、その歌詞の記憶が全くありません。どうやら、私の耳の中では、都はるみの声に重なって、ベット・ミドラーの歌うThe Rose が聴こえていたようです。それで思うのは、はたしてThe Rose を日本語歌詞で歌わないとならない必然性があったのかどうか。はるみ節で原詩のまま歌わせて、日本語訳を字幕にしたほうが良かったのでは、と思うんですよ。そうしたらこの曲は、原作の映画よりもぴったりはまったエンディングを、このアニメ作品に見いだしていたかも知れないですね。その時は、バラは紅花になったでしょうか。

It's the heart afraid of breaking
That never learns to dance
It's the dream afraid of waking
That never takes the chance
It's the one who won't be taken
Who cannot seem to give
And the soul afraid of dyin'
That never learns to live

心は挫けることを恐れて
踊ろうとはしないのか
夢は覚めることを恐れて
チャンスをつかもうとしない
与えることをためらうのは
束縛が待っていると思うからか
いのちは死を恐れて
生きることを知らないでいる




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