ヘリオブルー
レディッシュ


キョウ、
待ってよっ…!

しょうが
ないなぁ…。
セイ、
早く来いよっ




 あの頃は、僕が呼び止めれば、キョウは必ず立ち止まって待っていてくれたのに…。

 どうして変わっちゃったのかな……。





 僕とキョウは、二卵性の双子だった。…いや、“だった”っていうのはオカシイ。今だってそうだ。
 ただ…、僕たちが他の双子と違うのは、二人の誕生日が別々だって所。キョウが深夜11:58に産まれて、僕はその4分後の日付けをまたいだ00:02に産まれてしまったからだ。
 そして運の悪いことに…、その日は4月1日と4月2日の境界線でもあった……。





僕たちの間には、
たった4分の差で
1年の溝が
できてしまった。




 それでも、小さい頃はどこに行くにも一緒だったのに…。





(ここがキョウの部屋……)

 華宮(かみや)高校学生寮の廊下、48と書かれたドアの前で、鈴久那生一(すずくな せいいち)は小動物のように背中を丸めて立ち尽くしていた。

(お母さんに聞いてきた番号だし、ネームプレートにだってキョウの名前書いてあるし、大丈夫っ)

 緊張で震えるこぶしを握り締め、生一が意を決してドアをノックすると、中から返事と共に扉が開けられた。

「は〜い。…ん?どちら様?」
 出てきたのは、生一よりも頭一つ大きい、眼鏡をかけた利発そうな少年だった。生一の双子の兄である共一(きょういち)は2年生なので寮は二人部屋…。ネームプレートに共一と共に名がある、清水遙(しみず はるか)だろうか。

「あ、あ、あの…、キョウ…共一は、いますか?」
 生一は、ともすれば下に落ちそうになる視線を必死で上げて、目の前の少年に尋ねた。

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