ヘリオブルー
レディッシュ

11


「清水…先輩……?」
「共一は、やめておいた方が良いんじゃない?」
「…っ……」

 共一の恋人である遙にそう言われて、何を言い返すことができるだろう。生一は悔しくて悲しくて、薄い唇を噛んだ。先程まで思う存分共一の話をして幸せだった気持ちは、一気に吹き飛んでいた。

「君達は、双子として産まれた時から同じ時を過ごしてきた…。それが突然、学年という壁によって引き裂かれてしまった事で、愛着心が変な執着心に変わってしまっただけなんじゃないのかな?…もう共一の事は忘れて、ただの双子の兄弟に戻りなよ」
「………」

「そして僕の事を好きになってみない?」

 ・

 ・

 ・

「……え?」
 は?なに?今なんて?

 軽く5秒は固まっていた生一は、いつの間にか遙がすぐ隣にまでにじり寄っている事にも気付いていなかった。
「ほんと、可愛い…」
 耳元で囁かれ、ビクリと全身を揺らす。
「…な、なんでっ…?」
 床に押し倒され、慌てて抵抗を試みるが、震える手には力が入らず、遙の手によってあっけなく組み敷かれた。

「何でって…。可愛い子を口説くのに、一々理由が必要なの?」
 熱っぽい声で囁き唇を寄せてくる遙に、体を強張らせて拒絶するが、遙はそんな反応すら楽しむように、弧を描いたままの唇を生一のそれと重ねた。

「!!」

 固く閉じた唇をサラリと舌先で撫でられ、嫌悪感と恐怖で涙が溢れ出す。

「ヤダッ…!キョウ!キョウ…っ!!」


ガチャッ


 突如響いた音に驚き顔を上げると、部屋のドアを開けた共一が、顔を強張らせて立っていた。

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