・后(きさき)兄弟・
ゴキブリ、そして… 16
●和也
「しかし、それって要は
ナンパだろう?俺は今まで
ナンパなんてした事が無い。
俺にそんな事が出来るのか…」
●尚也
「兄さんが声をかければ、
大抵の男は乗って来るさ」
●和也
「そうなのか……?…だが、
俺は尚也みたいに口も上手く
ないし、手も早くないし…。
本当に大丈夫だろうか?」
●尚也
(………)
「何を言っているんだ、兄さん。
俺たち兄弟は見てくれが良い。
なんだかんだ言ってもこれは
大きな武器だぞ?
もっと自信をもってくれっ」
●和也
「そうか……」
●尚也
(よし、上手くいきそうだ
…ニヤリ)
●尚也
「そもそも動物は、
自分により近い見た目の者と
結ばれるのが自然なんだ。
ゾウがネズミに恋をしても
困るだろう?だから兄さんも
並以上の男と結ばれるべきだ!」
あ、肩に糸くずが。
それっぽい事を言いながら、他の事に意識をそらさせるテクニック。
●和也
「な…なるほど……」
(というか、男限定なんだな…)
●尚也
「ところで汐瑠君、
さっきの続きだが…。
どうだろう?この際、
私達も ―――」
●和也
「こらこら尚也、
汐瑠君が困っているだろう?
はっはっはっ」
珍しく、まともな和也。
ダウンタウンへの夢が膨らみ、
心に余裕ができたようです。
それにしても尚也はこんな話ばかりしている…。
黙っている時も、唇マークやおしゃぶりマークを思い浮かべたり。
というか、度重なるセクハラに、さすがの汐瑠も険しい表情に…っヾ
●和也
「あ〜…、なんか眠い……。
…ぐぅ」
●尚也
「あ、寝た」
ご飯食べながら寝る、
子供のような和也。