・后(きさき)兄弟・
お年頃ですから 20
●イブキ
「欠点の多い方ほど、他人に厳し
くて、愚痴も多いですよね」
●シュリオン
「ああ〜…、なるほど。
“同属嫌悪”だけにね…」
●イブキ
「はい。嫌悪するべき部分が、
自分自身に多いですから。
人間は、自分に理解できる範疇で
しか他人を見ることができません
からね。他人を蔑んでばかりいる
人は、裏を返せば、自分自身が
他人に蔑まれるような精神構造を
しているという事です。
ただ、この手の方は、自分が感じ
ている嫌悪感が同属嫌悪による物
だとは、毛ほども思っていません
ので、まずはそれに気付かせて
差し上げるべきですね」
●シュリオン
「そっかー、気付かせて
あげた方が良いんだ?」
●イブキ
「さあ?
良いかどうかは知りませんが、
その方がスッキリしませんか?」
●シュリオン
「あ…、そうね……;」
●尚也
「………」
●尚也
「アーロンというと、小さい頃か
らよく家に遊びに来ていた近所の
子の一人だろう?
そんなに問題のある子なのか?」
●シュリオン
「問題って程でもないんだけど
ね。ちょっと、周りに不快感を与
える事が多い人なんだ」
●イブキ
「彼の言葉から推測すると、
どうも女性…、ひいては母親に
対する嫌悪感が強いようです」
●尚也
「そうか…」
●汐瑠
「親子間に問題があると、
人格形成にも影響が出やすい
ですからね…」
●尚也
「そうだな…。
私はまだ面識がないのだが、
どのような母親なんだろうな…」
●マリオン
「あ、僕知ってるよー。
なんかちょっとエラそうな感じの
人で、ママ仲間のあいだでも
評判良くないみたい。
僕も、アーロンママに“無神経
だ”って言われた事あるんだー」
●和也
「なんだって!?
それは酷いな…」
かわいそうに…
●イブキ
「自分が無神経な方ほど、
やたらと他人を無神経呼ばわり
したがるものです。
気になさらない方が良いですよ」
●シュリオン
「正に同属嫌悪ってやつだね」
●汐瑠
「無意識の自己防衛で、
他人を先に攻撃する事で、
自分自身の欠点から周りや自分の
目をそらそうとする行動ですね」
●尚也
「そんな事をしても、誤魔化せる
のは自分だけで、他人の目は
誤魔化せないんだがな…」
●マリオン
「そっかー。
なんか、いつもバッチリ化粧して
るからさ、化粧しないと外に出ら
れないなんて不便だなー、と思っ
て『化粧するより整形したら?』
って言ったら『無神経な人ね!』
って怒られちゃって、
ビックリしちゃった」
●●●●●
(そ…、それは…………)
●マリオン
「でも他のママ達からは、
『シュリ君ママ、すご〜い!』
って褒められちゃったよ」
●シュリオン
(アーロンママ、
よっぽど嫌われてるな…)
●和也
(どっちもどっちだが、
…女性って怖いな………)
そんな所も女の可愛さサ…。
…と、思えてこそ真の男。