「え〜つしっ ![]() 「うわぁ!!」 目が覚めたら かんない 管内一のスケコマシの顔が、目の前で笑ってた――― 「ああ〜〜、朝一から悦司の愛のムチっ!テンション上がる〜!!」 「うるさいっ!この変態っ」 なかつがわ とびと 蹴られた脇腹を押さえながら、スケコマシこと中津川飛鳥は楽しそうに笑った。 そう、スケコマシ……。女好き…。のはずなのに。 (なぜ、男である自分がこんな目に……) えつし 悦司は、寝起きの頭を振って溜め息をついた。 たくと とびと そんな様子を見ていた卓翔は「なんか飛鳥、この頃ホントに変態じみてきたよね…」と呟 たけみ き、それを聞いて竹御は無言でうなずいた。 かつゆき ともなり あさくら とびと かみや 竹御克征、友成卓翔、浅倉悦司、中津川飛鳥の4人は、華宮高校学生寮で同室になり 知り合った。入寮早々、卓翔は竹御に一目惚れしたのだと公言し、話の流れで竹御の 猫≠ニしてくっついて歩いている(猫というより、ほとんど犬状態なのだが;)日常だった。 とびと そんな訳もあり、残された飛鳥と悦司は自然と二人で行動することが多くなり、親しくなっ ていった。そこまでは良かった。もともと親しかった友人達とは学校が分かれてしまい、学 とびと 校内に知り合いが少なかった悦司としては、飛鳥のような友人ができた事を心強く思ってい とびと たのだが…。いつの日からか飛鳥の言動がおかしくなり、愛情表現はエスカレートし……、 いた 今に至る。 (一体何がいけなかったのか……) とびと 思い当たる点といえば一つ、一度飛鳥に「子供の頃、この辺に住んでいなかったか?」と き 訊かれたことがあった。 とびと 確かに悦司は4歳くらいまでこの近くに住んでいた事があった。実家が近いという飛鳥と は昔、会っている可能性はあるし、だからこそ突然そんな事を訊いてきたのであろうが…、 とびと いかんせん、悦司の記憶の中には、飛鳥の姿はどこにも見当たらなかった。 (あんな派手なの、会ってたら絶対憶えてるよな…) 直接会った訳ではないのか、それとも、たまたま誰かから耳にした話を確かめる為に 訊いてみただけだったのか…。 まあ、それがわかった所で、この現状を打破する答えになるかもわからないのだが…。 |
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