ヘリオブルーレディッシュ

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「清水…先輩……?」

「共一は、やめておいた方が良いんじゃない?」

「…っ……」

 共一の恋人である遙にそう言われて、何を言い返すことができるだろう。生一は悔しくて

悲しくて、薄い唇を噛んだ。先程まで思う存分共一の話をして幸せだった気持ちは、一気に

吹き飛んでいた。



「君達は、双子として産まれた時から同じ時を過ごしてきた…。それが突然、学年という壁に

よって引き裂かれてしまった事で、愛着心が変な執着心に変わってしまっただけなんじゃない

のかな?…もう共一の事は忘れて、ただの双子の兄弟に戻りなよ」

「………」

「そして僕の事を好きになってみない?」



 ・

 ・

 ・



「……え?」

 は?なに?今なんて?



 軽く5秒は固まっていた生一は、いつの間にか遙がすぐ隣にまでにじり寄っている事にも気付

いていなかった。

「ほんと、可愛い…」

 耳元で囁かれ、ビクリと全身を揺らす。

「…な、なんでっ…?」
                  こころ
 床に押し倒され慌てて抵抗を試みるが、震える手には力が入らず、遙の手によってあっけなく

組み敷かれた。

「何でって…。可愛い子を口説くのに、一々理由が必要なの?」

 熱っぽい声で囁き唇を寄せてくる遙に、体を強張らせて拒絶するが、遙はそんな反応すら

楽しむように、弧を描いたままの唇を生一のそれと重ねた。

「!!」

 固く閉じた唇をサラリと舌先で撫でられ、嫌悪感と恐怖で涙が溢れ出す。

「ヤダッ…!キョウ!キョウ…っ!!」



ガチャッ



 突如響いた音に驚き顔を上げると、部屋のドアを開けた共一が、顔を強張らせて立っていた。




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