ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その２０

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

二

ⅶ

「あなた外部から来た方なの？」

　律子の住んでいる黄梅市という場所は

市外へ出ることはもちろんのこと、

入ることすら数々の手続きを踏まないといけない。

本当に存在しているのかさえわからない黄金梅を守るためとはいえ

ずいぶんと大仰ではないかと思ってしまうが、

それがこの市の決まりなのだから仕方がない。

（まぁ、ここから出て行くつもりのない私には関係のない話だけどね……

それにしてもこんな若い子がねー）

　閉塞感でいっぱいの黄梅に移り住もうなどと考え、

実行してしまうなんて。

律子が目を見開き女性を凝視すると、彼女は照れ臭そうに頬をかいた。

「はい。東郷都から来たばかりで」

「へぇー都から。わざわざなんで黄梅に？」

　面倒な審査をしてまで黄梅に来たのだから、

それ相応の理由があるのだろう。

（学生さんだろうから親御さんの都合とか？

でも外部から移住なんてないわよねー。

あっ、もしかし好きな人が黄梅にいるから家出してきたとか？

いやーん、ロマンチックー）

　長女の萌とそう大して変わらないであろう女性を、

律子は期待を込めて見つめる。

「それは命れ……

じゃなくて、い、田舎っていいな～ってずっと憧れてて！」

　しかし、少女から告げられた言葉は

律子の想像していたものよりも遥かに安易なものだった。

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