ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その２３

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

二

ⅹ

「だから、ええっと。最近何かを収穫しませんでしたか？

ちょっと見たことのないものを」

　麻里は主婦の顔の前へ胡桃割りを振って見せる。

露骨に顔を顰めて顔を背けた主婦だったが、

何か思いついたのかぽんと一つ手を打った。

「収穫？

そういえば、今朝拾ったわ。どんぐりみたい大きな実」

　主婦の言葉に麻里は歓喜した。

瞳を大きく見開いて主婦の顔を覗きこむ。

「それだわ！　それですそれです！　それ私にください！

お願いします！」

　必死に頼み込むが、なぜか主婦の顔は険しいままだった。

近づけた顔を押し戻してきながら何度も頷く。

「えっ、えぇ。わかった、わかったから、顔近づけないで」

「あ、ありがとうございます！　ありがとうございます！」

　姿勢を正し主婦に一礼すると、

うろたえたように身を引き手を挙げてきた。

「そ、そんな大袈裟な。

じゃあ、ちょっと取ってくるから待ってて」

「はい！　待ってます」

　麻里は逃げるように去っていく主婦の後ろ姿を嬉しく見送った。

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