ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その８７

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

五

ⅹⅹ

「えっ？　何？」

　髪が乱れるほどの突風に驚き目を瞬いていると、

転んだままの状態で放心していた麻里がぼそっと呟いた。

「……わかりませんけど、

なんかすっごくバカにされた気分です……」

「上手くできないとブーイングされるのか……」

　どうやらこの像はちゃんと踊れているのかを審査する機能が

ついているらしい。

（何このハイスペック……）

　ただの石像にしか見えないが、

なんて面倒な機能を持っているのかと

律子は鈍痛がしてきた頭を押さえた。

「ブーイング……。私、人生で初めてこんな目に会いました……」

　よほど吽像の評価がショックだったのか

麻里のやる気が明らかに減っている。

律子はなんとか励まそうと、

いまだに座ったままでいる彼女へ手を差し伸べる。

「とりあえず、もう一度やってみましょうか？」

「はい……」

　律子は、のろのろと立ち上がる麻里の手を勢いよく引っ張った。

「じゃ、最初からね」

「はい」

　気分を取り直すように明るく返事をする麻里に安堵しながら、

律子は再び黄梅音頭を踊り始める。

「前へ進みながら大きく円を描いてー」

「描いてー……」

「横向きの八の字を描きながら回って」

　先ほどよりもゆっくりと踊っているから今度は麻里も成功する

だろう。

律子が自信を持ちながら後ろへ回ると、

足をもつれさす麻里の姿が目に入った。

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