ＧＰ２～麻里＆律子の場合～その８６

Gold Plum

第二章

交錯

～麻里＆律子の場合～

五

ⅹⅸ

　満が後ろについたのを確認した律子が両手をあげる。

「まずは下から上へ大きく円を書くように２回繰り返して」

「は、はい」

　麻里は律子の動きを必死に追いながらぎこちなく手を動かした。

（やっぱり思った以上に難しい……）

　内心で脂汗をかいているのをよそに律子のレクチャ―は続く。

「腰らへんで八の字を描きながら一回転をしてー」

「こ、こうですか？」

　なんとか一回転してみせると律子が頷いてきた。

「そうそうそんな感じ。あっ、でも前に進みながらやってね」

　さらに高難度のことを要求してくる。

（こ、これ以上はちょっと……）

　ついていけない気がするが、

頼んだ手前律子の要望に応えないわけにもいかない。

「右手をあげながら、１、２、３、ちょん、

反対の手をあげながら１、２、３、ちょん」

「ま、前に進みながら……っととと！」

　言われたとおりに一歩前へ進む。

だが、反対の足を出そうとしたとたん、前足と絡まった。

バランスを崩して尻餅をつくと、

上のほうからぎぎぎっと重苦しい音がする。

音に驚き上を見あげると吽像が動きだし、

口をすぼめて顔を振ってきた。

『ブー！』

　吽像の息が突風になり全身に吹きつける。

勢いに圧され麻里は思わず顔を覆った。

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