ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その１２０

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

四

ⅹⅹⅹⅲ

（やっぱり何か知ってるの？）

　上司と知り合いだったらどうしよう。

背中に嫌な汗が流れるのを感じているその横で、太一がうなった。

「じゃぁ、すごいのは校長先生かー！

でも校長先生の言葉を覚えてるお姉さんもすごいよね」

　邪気のない笑みで同意を求められ、麻里は言葉に詰まる。

「ま、まあね……」

　こんないい子に嘘をついているのは心苦しいが、今はどうしようもない。

（あとでちゃんとみんなに本当のこと言わないと……）

　ずっと真意を隠し続けることはできない。

曖昧な笑みでなんとか誤魔化しながら心に誓っていると、

邦夫があー、と頬をかいた。

「リオが言ったのは、ここでグチグチ考えても仕方ねーから

宝物庫へ行こうって言ってたんだべ」

　邦夫の言葉に麻里は目をしばたたかせる。

「そうだったんですか」

　てっきり自分の嘘を追及されるのかと思っていたのだが。

首をかしげて邦夫を見ると、邦夫が頷いた。

「んだ。とりあえず、行ってみんべ」

「はい」

　視線を上向け話す邦夫がきまり悪げな感じなのは気になるが、

今は他にやることがある。

麻里はくるりと踵を返す邦夫に返答すると、

宝物庫へと歩きだす彼の後ろ姿を追った。

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