ＧＰ２～太一＆麻里の場合～その９

Gold Plum

第二章

交錯

～太一＆麻里の場合～

一

ⅸ

　翌日も一日いい天気だった。

麻里は廊下の窓辺から見える青空を眺めつつ、

昨日のことを反芻する。

（高松室長が黄梅市出身だったなんて）

　梅畑市長と別れたその後、

駅まで送ろうと高松へ申し出てみたところ、

しばらく黄梅に留まると言われた。

実家に身を寄せる、と告げた高松に驚いていると、

昔色々とあってね、と微苦笑を浮かべていたが。

（他の市ならともかく黄梅市をでるなんてよっぽどよね）

　麻里は吐息し、職員用の昇降口へ向かう。

今日は高松室長の口添えのおかげか、

理由もそこそこにすんなりと早退させてもらえた。

と言っても深い事情があるわけでもなく、

しいて言えば律子から借りた自転車を返すことくらいなのだが。

自転車置き場に向かい鍵を解除する。

まだ一日しか乗っていないが、不思議と愛着が湧いてきてしまった。

（早く返さないと……）

　このままでは泥棒と一緒だ。

「あ、でも待って！」

　食材の買い出しがあるのを忘れていた。

「先に寄っちゃおう」

　麻里は一人頷き、自転車を漕ぎだした。

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