ＧＰ２～善郎＆律子の場合～その４０

Gold Plum

第二章

交錯

～善郎＆律子の場合～

三

ⅴ

「あら、もしかしてここってあなたの恋人の家なの？」

「は、はい！　い、いえ、えっと、恋人っていうか、婚約者っていうか……」

　律子の言葉に顔を熱くさせながら飛田は答える。

「あら、そうなの。いいわねー。

じゃぁ、今、最高潮な時期なんじゃない？　うらやましいわ」

「は、ははははははははい……」

　なんの衒いもなく言葉を紡いでくる律子を前に、

かえって緊張してしまった。

（最高潮って……）

　芽衣子の笑顔が思い浮かび、口元が緩む。

（芽衣子ちゃん……）

　彼女と添い遂げたい。

だが、そのためには芽衣子の父親を説得しなければならない。

（それが一番難関なんだよなあ）

　内心でぼやいていると、目前の和子が再度口を開いた。

「さあさあ、お２人とも、どうぞ中へ」

「お邪魔します」

　律子がにこやかに一礼して前をいく和子についていく。

後を追って通された茶の間に座して沈黙していると、

まもなく柔らかな茶葉の香りが漂ってきた。

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