Gold Plum





第三章


救出


〜涼介&みのりの場合〜




IIIE




「そんな猪、ですか……」

 碧の声が一段低くなったのは気のせいだろうか。

涼介は碧の顔を盗み見る。

(目が笑ってない……)

 こんな不穏な雰囲気を纏った彼を見るのは初めてのことで、

涼介は唾を飲み込んだ。

それなのに、山波の怒りは治まらない。

「そうだ! 獣人と共存なんてできねえって梅を守る会の会長さんにも

重々言われてきてたんだ! それなのに俺って奴ぁ!」

 自らの頭をガンガンと叩く山波を前にして、みのりが碧へ近づく。

「碧、ダメよ。山波さん冷静になってください。

何も飛田さんと決まったわけではありませんし、

すべての獣人たちが悪いわけでもありません」

 みのりが冷静な声で諭しにかかるが、それは却って火に油を注ぐことになった。

「はあ? みのり様こそ冷静になるべきだ! 即刻獣人は排除するべきです!」

 山波が怒りに燃えた瞳でみのりを見据える。

その後ろ手で、小越が小さく呻いた。

「そ、そんなこと……!」

 なんとかしなければ。

涼介は唇を噛み締めみのりの前へ割って入ろうとしたが、

すんでのところでみのりが山波へ一歩を踏み出してしまった。










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