Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
六
IIIE
「そんな猪、ですか……」
碧の声が一段低くなったのは気のせいだろうか。
涼介は碧の顔を盗み見る。
(目が笑ってない……)
こんな不穏な雰囲気を纏った彼を見るのは初めてのことで、
涼介は唾を飲み込んだ。
それなのに、山波の怒りは治まらない。
「そうだ! 獣人と共存なんてできねえって梅を守る会の会長さんにも
重々言われてきてたんだ! それなのに俺って奴ぁ!」
自らの頭をガンガンと叩く山波を前にして、みのりが碧へ近づく。
「碧、ダメよ。山波さん冷静になってください。
何も飛田さんと決まったわけではありませんし、
すべての獣人たちが悪いわけでもありません」
みのりが冷静な声で諭しにかかるが、それは却って火に油を注ぐことになった。
「はあ? みのり様こそ冷静になるべきだ! 即刻獣人は排除するべきです!」
山波が怒りに燃えた瞳でみのりを見据える。
その後ろ手で、小越が小さく呻いた。
「そ、そんなこと……!」
なんとかしなければ。
涼介は唇を噛み締めみのりの前へ割って入ろうとしたが、
すんでのところでみのりが山波へ一歩を踏み出してしまった。
一つ前に戻る GPの部屋に戻る 次を読む
|