Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
六
IIID
部屋をでていくみのりを涼介たちは慌てて追いかける。
「そうはいかないって言ってるだろう? 野木崎さん。
さっきも訊きましたけど、
何か相手の手がかりになるようなことはありませんか?」
「はぁはぁ、えっと、そうね、
さっき聞かれたときから思い出してたんだけどたしか……
よくは聞き取れなかったけど、
確かたぬきと黒い男の人が『鹿の奴が言ってた通りだな』
とかなんとかって言っていた気がするわ」
走りながら尋ねると、
息を切らせつつ紡ぐ野木崎の言葉に山波が目を剥いた。
「鹿? 鹿だと! アイツ! そうか!
やっぱり飛田の野郎がみのり様のお命を狙うために
うちの娘をたぶらかしやがったんだな!!」
走りながらギリギリと歯ぎしりをする山波の横で涼介は慌てて口を挟む。
「いや……野木崎さんはそこまでのことは言ってな……」
「鹿さん、いい鹿さん」
言わんとしていたところを先に紅に言われ口を噤むと同時に、
宿のエントランスへでた。
「いや! 絶対そうだ! だから獣人なんてロクでもないんだ!
どいつもこいつも! みのり様! 貴女もそんな猪連れてちゃダメです!」
山波が赤いマットの前で地団駄を踏むと、碧が目を細めた。
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