Gold Plum
第三章
救出
〜涼介&みのりの場合〜
六
IIIG
「でも間違いだった!
あれだって飛田が仕組んだ罠だったかもしれんじゃないですか!
まったく! 貴女と現当主では月とすっぽんですな!
雪姫の再来だかなんだか知らないがこんな分からず屋のお嬢様では
彼女の苦労がうかがい知れる……」
小馬鹿にするかの如く首を大げさに振ってみせる山波に対し、
みのりが長い溜め息を吐いた。
「分からず屋はあなたのような人です。
現当主にのみこびへつらうような社会を作ってしまったあなた方が
獣人たちを差別し続けてしまった結果、諍いが増えてしまったことを
あなただって知っているでしょう」
ヤバい。みのりの言葉に涼介は本気で焦った。
山波よりみのりのほうがどうにも口が立つ。
これ以上言い争いが続いたら怒りに我を忘れた山波が何をするかわからない。
涼介はみのりの肩を掴もうと試みるが、それより先に山波が吼えた。
「差別じゃない! 区別だ!」
「ではその区別とやらを私があなたにしてもかまわないといいということですね。
何せ私は次期当主になる身ですから」
ふん、と鼻を鳴らすみのりに向かい山波が絶叫する。
「何をぉ!」
「くっ!」
みのりへ振り落とされそうになった山波の拳を、涼介は間一髪で受けとめた。
一つ前に戻る GPの部屋に戻る 次を読む
|