Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


一

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「獣人の娘は人間の娘に『待ち合わせの場所が変わったから迎えにきた』と

言って娘を連れだすの」

「毒を渡されるんじゃないんだ」

　太一の嬉しげな声に野木崎が瞳の色を深くする。

「そうね。毒のほうが良かったような気もするけど……どうかしらね」

　じっと双眸を見つめられ、涼介はその深い目を見つめ返した。

「さあ……。俺にもわかりません」_

　その時自分だったらどちらを良しとするかなど、今はわからない。

目を合わせたまま答えると、野木崎が微笑した。

「じゃあ、それについては結末まで聞いたあとに改めて聞くわね。

娘が連れて来られた先は、若者が息絶えた場所だったの」

「え、そんな」

　太一が悲痛な声音で小さく叫ぶ。

（俺だったら……）

　 涼介は視線を下向ける。

ふと浮かんだのは悲しげな顔で山波へ反論するみのりの姿だった。

この昔話の彼らとは違い、自分は彼女と見合いすることができる身分だ。