Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


五


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（あれ、でも梅酒って男の人も飲むんだ）


　母と祖母がときおり梅酒を飲んでいることは知っていた。

だが、父親が梅酒を飲んでいるところは見たことがない。

てっきり、女の人だけが飲むものだと思っていたのだが、

どうやら違うらしい。

太一が目からうろこが落ちるような気分になっていると、

忠信が嬉々とした表情を雅仲へ向けた。


「雅仲さんもなかなかいける口だったんですね」

「ええ、もちろんですよ。兄にも負けないくらいです」


　雅仲が口角をどこか自慢げに胸を張る。


（一番上のお兄さんも好きなら、お兄ちゃんも梅酒が好きかな？）


　太一はちらりと涼介へ目を向けた。

だが、涼介はこの状況についていけていないようだ。

目を白黒させながら忠信と雅仲の顔を交互に見ている。

そんな弟のことなど気がついていないのか、

雅仲は忠信との会話に夢中になっていた。


「そうそう、ついでに例の件についてもお話しておきたいことが

あるんですよ」

「それじゃ早速冴島教授に今夜のご予定を聞きに行きましょうか」


　話の決着がついたらしい。

忠信が子供のように瞳を輝かせ雅仲を促した。