Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


七


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「お……僕が、ですか？

僭越ながら僕はそのような器ではないと考えておりますが……」

（やっぱり忠臣さんの目は確かね）


　これなら簡単に意のままにできるだろう。

次期当主の婿として。これ以上の人間はいないに違いない。


（だけど待って、決めつけるのはまだ早いかもしれないわね）


　ふと脳裏をかすめた不安材料に美都子は考えを改める。

あの若さで市長にまで上り詰めた涼介の長兄、梅畑雅秋の存在だ。

彼が陰で何かを企んでいることはすでに掴んでいる。

しかしながらその詳細がまだはっきりとわかっていない。

この青年がそれらに関わっている可能性は低い気もするが、

ゼロではないはずだ。とりあえず他愛もない話で場をつないで、

長兄のことを探ってみることにしよう。


「あれはいつだったかしら？……

そうそう、確かあの子が５歳くらいの頃だったわね。

一族の集まりであの子と遊んでくれていたでしょう。

そのときにわたくしは直感したのよ」


　美都子はまったく視線を合わせようとしない涼介へ、頬を緩ませた。