Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


二


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「太一君はおばあさんのために黄金梅を咲かせようと

頑張っているんです。だから！」


　涼介が懸命に説得を続ける。

それは落ち込んでいる自分を励ますかのような言葉だった。

しかし、やはり祖母にはもちろんのこと母にも

意味のないものだったようだ。

不快気に眉を顰めながら、涼介の肩を押し門扉の外へ追いやろうとする。


「申し訳ないですけど、帰ってください。

もう二度とうちには来ないでください。

それと金輪際太一とも関わらないでください！」


　ぴしゃりと言い切る一美の甲高い声に眉をひそめながら、

太一は涼介へ頭を下げた。


「お兄ちゃん、せっかく送ってくれたのにごめんなさい」

「太一、あんな男と話すんじゃありません！」


　間髪を入れずに節子が言葉を被せる。

そして無理やり家に入れようと腕を引っぱってきた。

抵抗を試みたが、意外にも力強い祖母の力に抗うことができず

涼介との距離が少しずつ離れていく。

その間にも一美と涼介との攻防は続いていた。


「いいえ。お気持ちは大変よくわかりますが

僕はこのまま帰るわけにはいきません。どうか話を聞いてください。

聞いてくれるまで僕は帰りません」

「太一を送ってきてくれたことは感謝します……

ありがとうございました」

「太一君！　おばあさん！」


　押し込まれる形で家の中へ入る。

バタンと玄関の扉を閉められた向こう側から涼介の叫びにも似た声が

いつまでも耳に残った。