Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


一

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「うん。そう。昔話のことだよ」

　律子の言葉に肯定すると、太一が何度も首を上下に振る。

「そっかー。お兄ちゃんも黄梅の昔話、たくさん知ってるの？」

　尋ねてくる太一を前に、涼介は一瞬言葉に詰まる。

梅八家として、話して聴かせていいものと悪い物があるだけに、

どう答えたらいいのか判断がつかなかった。

（そもそも、由真にしか話してやったことなかったもんなあ……）

　姪っ子は梅八家の一員なので、話すことにためらう必要もなかったのだが。

「俺はあんまり知らないんだ。俺の友達はよく知ってるけどね」

　くわしくは研究室で教授に話してもらおう。

事実をオブラートに包んで曖昧に答える。

だがやはり、少し不満だったのだろう。

「そうなんだ」

　頷きながらも、太一が律子へ視線を向けた。

「……おばちゃんは？」

「私？　そうねー、あんまり知らないけど１つだけ知ってる話があるわよ」

　律子の言葉に涼介は目を見開いた。