Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


一

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　あれだけ黄金梅の話は嘘だの新興宗教だのと言っていた人が、

いったいどんな話を知っているのだろう。

俄然興味が湧いて、涼介は尋ねた。

「そうなんですか？」

「ええ。人間と獣人の恋の話。でもとても悲しい結末なの」

　律子の言葉に涼介ははっとする。

黄金梅の逸話の中でも、獣人がらみの話は亜流とされている話だ。

梅八家はもとより一般の人間にあまり普及させないよう、

現当主がコントロールしている。

（それでも知ってるってことは、もしかしてこの人獣人とつながりがあるのか？）

　獣人とつながりがあることくらいはどうということもない。

だが、それがみのりを狙う人間たちの罠なのだとしたら大問題だ。

　涼介は頭に手を置き、溜め息を吐く。

「それを訊きに行きたいと思ってたんですけど。ご存知なら教えてくれませんか？」

　尋ねながら、涼介は自分を嫌悪した。

この人は悪人ではない。

それをわかっていてカマをかけなければならない状況に、心底嫌気がさしていた。