Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


三


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　朝になり太一は目ボケ眼の目をこすりながら階段を下りた。

ふいにガチャリと鍵を閉める音が聞こえ、視線を向ける。

慌てた様子で入ってくる一美と目が合った。


「あ、太一、おはよう」


　涼介を批難した昨日のことなど忘れてしまったのだろうか。

いつも通りに挨拶をしてくる母にムッとし、太一は視線を逸らした。

昨日のことを納得したわけではないのだ。返事などしてやるものか。

ぎゅっと口をつぐみ、一美が立ち去るのを待つ。

しかし一向に動く気配のない母に耐え切れなくなり、

太一はボソッと挨拶を返した。


「……おはよう」

「はい、おはよう」

「……どいてよ。ぼく顔を洗いに行くんだから」


　くすりと笑う母に負けた気がしてカッとなる。

太一はその場から逃げるように一美を押しのけた。


「あ、そうそう。太一、今日は学校をお休みしなさい」

「え、どうして？」


　太一は背後からかけれた言葉に怒っていたことも忘れ、振り返る。

まばたきを繰り返しながら母親を見つめるが、

彼女からの説明は納得できるものではなかった。