Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


三


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「いいから。今日は家から一歩も出しませんからね」

「そんな、横暴だよ」

「さ、朝ご飯にするから早く顔を洗ってきなさい」


　背中を押され、太一は強制的に洗面所へと送り出される。


「なんなんだよ。お兄ちゃんにひどいこと言ったり、

ぼくはまだ怒ってるんだからな」


　太一は母へ面と向かって言えない文句をぶつぶつ言いながら、

歩を進める。


「……あの子、一晩中あそこにいたのかしら？」


　背後から聞こえてきた一美の呟きに足が止まった。


（あの子？　一晩中？　もしかして！）


　カチャリとリビングへ入って行った音が聞こえると同時に太一は

駆け出す。

急いで自室へ戻り、枕元に置いてある携帯を開いた。

一美からもたらされ衝撃的な言葉に手が震える。

昨日メールをしたときにはそんなこと一言も言っていなかったはずだ。

あのあと涼介は家に帰ったものだと思っていた。


（ママはお兄ちゃんがいるから外に出ちゃダメだって言ったのかな……）


　涼介が外で待っている。それだけで太一は勇気が沸いてきた。