Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


三


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「そ、それじゃあ、いきます」

　ゆっくりとチャイムを鳴らすと、しばらくしてくぐもった声がした。


　チャイムのスピーカーから聞こえてくる硬い声は太一の母のもので、

涼介は一瞬言葉に詰まる。

弱気の虫をなんとか追い払い、慎重に言葉を紡いだ。

「昨日はすみません。梅畑涼介ですがお話をきいてくださいませんか？」

　柔らかく聞こえるよう留意しつつ問いかけるも、

太一の母の声は冷たい。

「その話は終わったはずです。

もう二度とうちの子に会わないでくださいと言いましたよね。帰ってください！」

　そう言われて、はいそうですか、と引き下がれるものなら、

こんな頭の悪い行為をしてはいない。　

予想済みの答えに対し、涼介は食い下がった。

「お願いします。もう一度だけ話を聞いてください。お願いします」

　とにかく許してもらわなくては。

必死の思いで懇願すると、横合いから野木崎が声をかける。

「あ、あの！　カズちゃん。

おはよう。こんな朝早くから連絡もしないでごめんなさいね」

「りっちゃん？」

　野木崎の声に太一の母が驚いたような声をあげる。