Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


三


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「お義母さん」

　一美の呟きは深い苦悩の色を帯びていた。

涼介は唾を飲むことも忘れ太一の祖母を見つめる。

時計の秒針が規則正しい音を刻んでいく。

長い沈黙を破ったのは太一の祖母の深い、深い溜め息だった。

「一美さんの好きになさい。私は疲れたから、少し休むわ」

　心の底から疲れ切った表情で視線を足元へ向ける。

やがて、ゆっくりとソファから立ち上がった太一の祖母へ、

涼介は今日何度目かの礼を述べた。

「若造の勝手な話を聞いてくださりありがとうございました。

生意気言って申し訳ありません」

　改めて謝罪するも、太一の祖母が立ち止まる気配はない。

（やっぱりそんな簡単に納得してくれるもんじゃないよな……）

　わかってはいるが、やはり切ない。

それでも「好きにしなさい」と言ってくれた。

ほんの少しは譲歩してくれたと見ていいのだろうか。

自分の足元を見据えながら唇を噛んでいると、隣で太一の声がした。

「ばぁちゃん！　ぼく絶対黄金梅を咲かせて見せるからね！」

　太一の声は子供ながらに硬い意志を感じさせるもので、

涼介は彼の願いを叶えようと心に誓う。

やがて、おもむろに扉の音が響き、

太一の祖母が部屋をあとにしたことを知った。