Gold Plum

第四章


疑惑


〜涼介＆太一の場合〜


四


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　ドアの右側でお茶を用意しながら楽しそうに話している

男性と女性の後ろ姿をぼんやり眺める。


（えっと、お姉さんのほうが丸山さんで

お兄さんのほうが友永さんだったかな？）


　廊下で涼介が言っていた名前を思い出していると、

ふいに頭上から声が聞こえてきた。


「冴島先生。お久しぶりです」

「本当にねえ。どうなんだい？　卒論の具合は？」

「あーまあ、そこそこです」


　涼介が斜め後ろで立ったまま冴島と話している。

きまり悪そうな顔の顔をする涼介に太一は親近感を覚えた。


（お兄ちゃんも勉強が嫌いなんだ。ぼくとおんなじだ）


　ふふふ、と声を出して笑いたい気持ちを

ぐっとこらえていると、冴島がパイプ椅子に手をかける。


「そうかい？　じゃあ、まあ、ここに座って。

今羊羹とお茶がくるからね」

「はーい」


　太一が手を挙げ元気よく返事をすると、

部屋の中を立ったまま見回していた律子が右隣に座った。


「失礼します」

「はい、どうぞー」

「お待たせしました。どうぞ」


　友永がお茶を机に置いて行く。

その隣に丸山が持ってきた羊羹が並べられた。